ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

初めてのワイヤレスイヤホン体験 『Sony WF-1000XM4』

ワイヤレスイヤホン

ここ最近街や駅構内を歩くとかなり頻繁に見かけるようになりました。AppleAirPodsが世に出た際は「耳からうどん」なんて揶揄されたりしてましたね。最近はこのスタイルが一般化されてきたのか、あんまり聞かない気がしますけど。

 

毎日のようにiPodで音楽を聴く身としては、もちろん関心が無いわけではありませんでした。でも実際買おうという気にはならなかったんですよね。

 

無線の場合音質は落ちてしまわないかとか、通信環境が悪いとブツブツ切れるんじゃないかとか、落としちゃったり失くしちゃったりしたら大変だぞとか。いかんせん値段がバカ高い故に、ドブにでも落としてしまったり、踏んづけてバキッといってしまったら目も当てられませんからね。

 

しかし有線のイヤホンを数え切れないほど断線させてきた僕、毎日のように使用するイヤホンなら、そう何度も買い替え直す必要のないものにすべきではないか、という思いもあり、かつ通勤のカバンの取っ手部分に線を引っ掛けて、耳からバツン!と外れるという、クソウザったい思いを何度もしていたので、次第に「こりゃ自分も無線モノの導入時期か?」と思うように。

 

そんなわけで一念発起して購入したものが、『Sony WF-1000XM4

 

www.sony.jp

 

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見た目からして高級感があってスタイリッシュでカッコいい

 

2021年9月現在、ソニーのヘッドホンのページを見るとトップに堂々と現れる、最新モデルであり看板商品。当然ながら高い注目度のようで、購入する際は次の入荷を待たねばならない状況でした(1ヶ月待ちと聞いてたけれど、思ってたよりずっと早かった)

 

お値段なんと33000円

た、高え...。今まで使ってきたイヤホンの10倍以上。

 

イヤホンにこんな出費をするのはいかがなものかと思ったんですよ。でもそう何度も買い換えるシロモノではなく、音楽好きを名乗るなら、ここでケチって中途半端なもの買うよりも、手が出せる一番良いものを買おうと、清水の舞台から飛び降りるつもりで買いました。安かろう悪かろうって言うじゃないか!な!?

 

メーカー側の売りとしては「業界最高クラスのノイズキャンセリング」「ワイヤレスなのにハイレゾ音質」の2点っぽい。

 

このノイズキャンセリングという機能は、ぜひ一度体験してみたかったんですよね。ハイレゾに関しては、まあ音質が良いならOK!って感じでそこまでこだわりないけど。

 

購入して2週間ほど使ってみた感想としては、十二分にアリだなと。

 

耳に装着してみると自動で電源が入り、「バッテリー、約100%」「Bluetooth、接続しました」と音声で教えてくれる。右耳の方をポンと指で触ると音楽の再生とストップが行え、左耳の方を触ればアンビエントサウンド(外音をちゃんと聞き取れるモード)ノイズキャンセリングの切り替えが一瞬で行える。耳から外せば自動で再生が止まり、ケースに収納するだけで電源も落ちる。

 

一言で言い表すなら「かがくのちからってすげー!」ですね。物理的に離れた機器の音声を流せるってだけで凄いのに、こんなことまでできる製品だとは。

 

肝心のノイズキャンセリング機能ですが、これが確かに効果抜群。左耳をポンと押して「ノイズキャンセリング」というアナウンスが聞こえた直後、身の回りの雑音・騒音の類いがスンッ...と消えてしまう。

 

今まで外で歩きながら音楽を聴いていると、どうしても周りの環境音によって音が聴き取れなくなってしまうのですが、コイツにはそれがない。外でしっかり聴き取るのを半ば諦めていたような静かなパート(BRAHMAN「霹靂」の出だしとか)でもほぼ問題なく聴くことができる。

 

それでいて音質も文句なし。「ワイヤレスなら音質は劣化しちゃうんじゃないの?」という懸念も何のその。従来のイヤホンと比べ、ギターに埋もれがちなベースラインや、聴き逃しやすいドラムのシンバル、か細いSEに至るまできめ細やかに聴き取れる(気がする)

 

バッテリーの保ちも特に不満は無く、数日の通勤くらいであれば1回も充電しなくていい。どうやらケースに入れてるだけで、しばらくコンセントに繋がずとも充電してくれる機能があるらしい。

 

一方のマイナス点として、ノイズキャンセリング使用時の耳や頭への妙な圧迫感、デカいものを耳につけっぱなしにしているが故の耳の穴の物理的な痛みや疲れ。まあこれは慣れの問題でしょう。

 

ただ看過できないのはやはり音飛び。有線に比べて間違いなく劣る部分だとあらかじめわかってはいましたが、これがなかなか大きなネックになります。

 

普通の住宅街みたいに、ゴミゴミしていない場所であれば基本何も問題ないんですよ。マズいのは通勤時とかで大勢の人がいる駅構内です。

 

周りの人のスマホの電波とか、携帯型wifiとかの影響でしょうか。スラックスのポケットに入れた状態だと、ほぼ確実に、頻繁と言っていいくらいに音飛びします。ヒドいときにはブブブッ!とノイズのようなものが走るくらい。そのため人が多い駅を歩く際は、ポッケから出してなるべく顔に近い位置で持っています。

 

これに関してはもう「通信の品質においては無線は有線には勝てないよ!」と割り切るしかないんだろうなぁ...

 

とまあ、必ずしもメリットづくしではなかったのですが、カバンに突っ込んだときの絡まりを始めとした有線の煩わしさから開放され、高音質で周りに邪魔されずに音楽を聴ける、これは大いにありがたいことです。操作自体も簡単だし、大枚はたいて購入に踏み切って良かったな!

 

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本製品を使用して初めて聴いた曲は、BRAHMAN x Fire EX.「兼愛非攻」でした

WARKINGS 『Revolution』

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  • 過去作と何も変わらないキャッチーな正統派
  • アルバム全体通して一本調子で起伏は少ない
  • 安定感とマンネリ感の狭間

 

正体不明の覆面ヘヴィメタルバンド(The Metal Archivesのバンドページでは、普通に"See also"で他の活動が見られますが/笑)WARKINGSの、前作『Revenge』よりわずか1年のスパンで届けられたニューアルバム。

 

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新型コロナの蔓延でライヴ活動が軒並み白紙になった状況を利用し、すぐに音源制作に取り掛かったのが功を奏して、こうも早いペースでのリリースが実現したのだとか。単に現状を憂うだけでない姿勢が素晴らしい。

 

これまでのアルバムでは、その風貌やMVの世界観に合わせた、エピカルな要素を多分に盛り込んだ正統派ヘヴィメタルをプレイしてきましたが、バンドコンセプトが完全に固まっているが故に、本作においても方向性は全くブレず。叙情的かつパワフルなサウンドでグイグイ引っ張り、充分に攻撃的なんだけど非常にキャッチーなパワーメタルのオンパレードで、これまでの作品を気に入ってきた人や、正統派メタルを好む層には問題なく受け入れられるはず。

 

メロパワ的疾走感を持った曲は全くありませんが、重戦車のようにゴリゴリと叩きつけられるヘヴィリフ(もちろんモダンにはならない)がミドル〜アップテンポで楽曲をリード、抜けのいいドラムの打音もあり、聴いた際の爽快感や気持ちよさは、決して疾走メロパワに劣らない。むしろそんじょそこらのメロスピ/メロパワより遥かに勢いづいていると言ってもいい。

 

ヴォーカルのザ・トリビューンの暑苦しくならない声質のおかげで、これだけ濃ゆいパワーメタルであるのに熱量が過剰にならないのも聴きやすさに拍車をかけ、40分ほどの収録時間も合わせて、クドくならないバランス感覚をしっかりと発揮しています。

 

......と、ここまで書いてきて気づきましたが、前作の感想文とほとんど同じこと書いてるな俺(笑) "「前作とほぼ同じような感じだから、前作聴いて満足した人は今回も聴いてみてね!」で感想文を終わらせちゃってもいい"と書いてますけど、本作に関しても全く同じことが言えるな...

 

まあそれだけバンドが目指す音楽的方向性が確立されているということですし、こういった保守本流のパワーメタルを好む人は、路線変更を嫌う傾向が強いと思うので、これはこれで良いのかも。

 

ただその新鮮味の無さはやっぱりどうしても「マンネリ感」とは無縁になれないですし、本作はどの曲も非常に良質ながら、際立ったキラーチューン、およびアルバム全体における明確なハイライトが無いため、そこで物足りなさというか、刺激の足りなさを感じてしまうのがやや痛いところか。

 

安定感が抜群な分、アルバム中盤に箸休めのインストを置き、核となるキラーチューンをガツンとかまし、ラストはクライマックスにふさわしいドラマチックな一曲で締め、みたいなアルバム構成の面白みが無いという弊害も生まれてしまっているように感じます。ラストのM10「Where Dreams Die」とか、安定して良い曲ではあるけど、アルバムのラストとしてはあまりに普通すぎる。

 

オープニングを力強いリフで飾り、シンガロング必至のサビと中盤のヘヴィパートが勇ましいM1「We Are The Fire」、民族楽器を用いて古代ギリシャの世界観を色濃く描き、これまた男臭さ全開シンガロングで煽るM2「Sparta - Part Ⅱ」、より叙情性を増した雄大なサビの歌唱で魅せるM7「Ave Roma」などをはじめ、楽曲単体のクオリティーはどれも文句なしなんですけどね。

 

そんなわけで「安心安定の高品質パワーメタルを聴かせてくれてさすがだぜ!このバンドは裏切らないな!」という気持ちと、「流石にマンネリ気味かもな〜。せめてコレだ!っていう必殺の曲で起伏を生んでくれたらな...」という気持ちがちょうど半々くらいです。

 

とはいえ何度も言うように、これぞ正統派ヘヴィメタルという方向性で、極めて高く安定したクオリティーを擁していることは間違いないため、正統派好きメタルヘッズは聴く価値大ですよ。

 

 

個人的に本作は

"過去二作と何ら変わらない高品質なエピック・パワーメタル。キラーチューンやハイライトの無さが気になるも安定感はさすが"

という感じです。

 


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AVENGED SEVENFOLD 『Hail To The King』

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  • 名実ともにメタルシーンのトップへと上り詰めた
  • メロパワ的疾走感は皆無
  • 徹底的にシンプルな正統派HR/HMスタイルへ

 

全米・全英チャートNo.1を獲得したAVENGED SEVENFOLDの6thフルアルバム『Hail To The King』が、つい先日8周年を迎えたそうです。

 

 

本作で2作連続全米1位、さらにその他の国のチャートでも軒並み好成績を記録した作品で、本作を以って、彼らは現代メタルシーンのトップの地位を得たと言ってもいいでしょう。

 

ただ従来の作品にあったバラエティーに富んだ作風は消え失せ、3rd『City Of Evil』で表出したメロディックパワーメタル的疾走感も皆無となった本作は、ここ日本ではあまり評価が芳しくないらしく…

 

確かに今までの(ドラマーのザ・レヴ在籍時)に比べてメチャクチャシンプルな作風になり、派手な聴き応えという意味では、4thのセルフタイトル作には到底及ばないとは思います。

 

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しかし!それを認めたうえでなお言いたいのですが、本作は決して悪い作品ではないと思うのですよ。ただ派手に疾走したり、様々な楽器を取り入れたりすれば良いというモノではないのです。シンプルイズベストって言葉もあるじゃないのさ。

 

というわけでこの『Hail To The King』、先にも述べた通り、過去作と比べて存外シンプルでわかりやすくまとまった一作。各楽曲の方向性もほぼほぼ揃っており、これまでB級色濃いメタルコアや、メロパワ的クサメロ疾走、シンフォサウンドや管楽器入りのシアトリカル大作など、色々と手を替え品を替えてきた彼らのキャリアにおいて、過去最高に王道で正統的なHR/HM路線を貫いています。

 

正統的なメタルリフと、常に不穏でダークなオーラを纏い、ヨーロピアンテイストな様式センスを取り入れた王道ヘヴィメタル。初期のアンダーグラウンド臭は見る影もなく、アメリカのバンドでありながらカラッとしたアメリカンなノリはさほど強くなく、大仰なアルバムタイトルに相応しく堂々たる雰囲気を醸し出して進んでいく。

 

また今作で大きなポイントとなるのはギターソロ。従来から流麗でダイナミックなギターは聴かせてくれていたのですが、本作は技巧に走りすぎず、メロディアスな泣きを増強したプレイを要所で披露してくれます。

 

タイトルトラックであるM2「Hail To The King」やバラードのM5「Requiem」、ラストを飾るM10「Acid Rain」においては、美しき泣きに満ちた極上の旋律が堪能できます。M5のツインリードが切り込む瞬間、M10のピアノやストリングスとともに描かれる哀愁が、この上なく切なくツボを突いてくるんだなあ...

 

そう言ったエモーショナルな側面を覗かせつつ、不気味な鐘の音から怪しく力強く、流麗なギターソロも武器として進み行くM1「Shepherd Of Fire」に、バッドボーイズ・ロックンロール風味をどこか感じさせる、ワルなハードナンバーM3「Doing Time」、サビのメロディーに翳りあるフックを携えたアップテンポメタルM8「Coming Home」など、強烈にキャッチーというほどではなくとも、単純にメタルとしてカッコいい楽曲が並んでいて飽きさせない。

 

まあ過去作と相対的に、ちょっとスローすぎてタルく感じてしまう瞬間も無いとは言いませんが、余計な要素を極力削ぎ落とし、単純ながら理屈抜きに魅力的な、正統派ヘヴィメタルアルバムに仕上がっていると言えましょう。

 

あと全く関係ない話ですが、本作は学生時代CDショップでバイトしてた時に、クリアランスセールで300円くらいになっていたデジパック輸入盤新品を購入しました。今まででトップクラスにお得な買い物だったと思ってます(だからなんだ)

 

 

個人的に本作は

"かつてのような派手な展開やスピードを廃し、さらに進化した泣きメロのセンスを発揮させた王道・シンプルな正統派HR/HM作品"

という感じです。

 


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8/28 LIVEHOLIC 6th Anniversary series ~Dear Insanity~ at 下北沢 LIVEHOLIC

 

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急遽当日券狙いでライヴに行ってきました。

 

特に予定などは入っておらず、近場のディスクユニオンでめぼしいもの漁るかと思っていた矢先、Twitterにて国産プログレッシヴメタルコアバンド・Earthists.が下北沢でライヴを行うという情報をキャッチ。

 

このバンドはギタリストのYUTAさんが抜けてから、まだライヴを観る機会に恵まれておらず、当日券も用意されているということだったので、急遽下北沢へ進路変更。当日券狙いて飛び入り参加することにしました。

 

会場となる下北沢 LIVEHOLICは、フリーペーパーの激ロックで有名な激ロックエンターテイメントが運営する、2015年にオープンした比較的新しいライヴハウス。キャパシティは180人という非常に小さめのハコで、こういう狭小なTHE・ライヴハウスは久しぶりかも。先日GALNERYUSのライヴで札幌のcube gardenに行きましたが、あそこはまだ300人以上は入りますしね。

 

近くのディスクユニオンで中古CDを物色し、ウェンディーズで休憩を挟んだ後会場のビルへ。すぐそばの本多劇場ラバーガールの公演があったようでそれにも若干惹かれましたが、ここはもちろんライヴが優先だ。

 

すると会場入り口付近に20代くらいの若い男性から「LIVEHOLIC行く人ですか?自分初めてなんですけど、どう行ったらいいんですか?」と尋ねられる。

 

「えっ?俺も初めてだし知らんよ。俺の方こそ教えて欲しいよ」と思いつつ、「自分も初めてなんですよ。このビルの5階らしいから、とりあえず階段登れば着くんじゃないですかね?」などと会話しながら、一緒にライヴハウスへ向かう。確かにここの入り口は若干わかりにくいかもな〜。居酒屋の入り口と併設してるし、階段狭くてホントに登っていいのか不安になるし。

 

そのままの流れで今回のライヴはその男性と一緒に観ていたのですが、彼は日本のバンドから音楽に入り、海外ではSAOSIN、The Usedなどのスクリーモや、Djent系メタルコアなどを聴くようになったとのこと。僕がやや古典的なメタルが好みなのと比べ、比較的モダンでラウドな感性を持った人のようでした。

 

ちなみに年齢は20歳で、僕がすでに27歳の社会人ということを知った時はだいぶ驚いていました。そうか......メタルのライヴでは周りがオッサンばっかりだったから全然意識していなかったけど、こういうモダン系のライヴでは、僕はもう年配者の部類に入ってしまったというのか...。いつまでも若手じゃいられないんですね...

 

なお「インスタのアカウントでも交換しません?」と言ってもらったのに、僕のインスタはこのブログとリンクで結びついてるため、「リアルで知り合った人にブログ見られんのなんか恥ずい」という心理が働いてしまい「SNSあんまやってないんですよ〜」とウソをついてしまいました...。ゴメンなさい!!!

 

 

CROWSALIVE

気を取り直してライヴに集中する。最初のアクトはCROWSALIVE。全く知らないバンドでしたが、今度CRYSTAL LAKEが主催するTRUE NORTH FESTIVAL 2021の出演権をかけたライヴオーディション「THE ROAD TO TRUE NORTH 2021」に出演するバンドだそう。

 

www.truenorthfest.com

 

音楽的には「ヘヴィサウンドを持つオルタナ」といった趣で、時折ビートダウンっぽいリフでヘッドバンギングを誘発させる瞬間がありつつ、シャウトの類は全くなし。かなりオシャレな風貌のヴォーカルが高音主体で歌い上げる感じ。

 

リズム隊のパフォーマンスが全体的に良くて、突進力と手数の多いドラムに、非常に狭いスペースながら、大柄な体躯をフルに躍動させる指弾きベースのインパクトはなかなか大きかったです。

 

クリーン主体の歌モノならもう少しメロディーにキャッチーさがある方が嬉しいかな。聴いて一発でハッとさせられるメロディアスなキラーができたら欲しかった。そんな楽曲作るの簡単ではないと思いますが。

 

純粋にメタルコアと呼べる音楽性ではないかもですが、演奏はタイトでヘヴィさもあるので、TRUE NORTHに行く人の感性には結構刺さるものがあるのではないかと思います。

 

 

Earthists.

お次は久しぶりのEarthists. DEAD POP FESTiVALの選考会以来ですね。4人編成になって少し寂しさが募る。多弦ベースのネックは少し細くなったような?

 

人数は減っても基本線はまったく変わりなし。ヘヴィで変則的なリフを主軸にし、狂気的なシャウトで進みゆく、無愛想なモダンメタルコア

 

中腰のまま一心不乱にヘッドバンギングし、狭いステージを暴れ回り、寝っ転がりながら絶叫するヴォーカルパフォーマンスは現在。迫力充分ですが、人によってはドン引きするでしょうね(笑)

 

ただヴォーカルの勢いは万全ながら、ギターソロの入りで若干モタってしまったり、クリーンによるメロウなコーラスがどうしても弱く、ヘヴィなサウンドに埋もれがちだったり、音楽的魅力の部分のパフォーマンスでやや損してしまった感があります。

 

あとやっぱり僕個人の感覚としては、キャッチーな要素が足りなすぎたのもあるかな〜。「Winterfell」「Resonating Light」みたいな哀愁曲が欲しいところ。ラストの「Memento Mori」の疾走感は掛け値なしにカッコ良かったけども。

 

 

Sable Hills

続いては名前は今まで聞いたことはあるけれど、音源には手を出せていないバンド・Sable Hills。ステージ転換時、ロン毛にCARCASSやDYING FETUSのタンクトップを着た屈強な男たちが動いており、今までのアクトと比べて明らかに"メタル度"が高い点に、こちらの期待感も煽られる。

 

そしてその期待にバッチリと応えてくれる素晴らしいライヴでした。ヴォーカルも演奏も、気合入りまくりの暴れまくり、硬質でヘヴィな迫力を携えつつ、メロディアスなリードギターも目立つなど、キャッチーでありながらメタルコアとしての攻撃性もしかとある。

 

本日唯一といっていいギターソロパートもある音楽性で、本日一番のメタルらしさを感じましたね。モダンなサウンドももちろん破壊力抜群ですが、やっぱり個人的にはこういう音こそ「ヘヴィメタル」を感じる。

 

ヴォーカルがハンドマイクで雄叫びを上げつつ、後ろでは弦楽器隊が飛び跳ねまくり、ここぞというギターソロでは、ビシッとフォームを固めて並ぶ。このステージの見栄えの良さも素晴らしいですね。見てて楽しいし単純にアガる。

 

GYZEのようなコテコテのクサメロではないものの、非常にキャッチー極まりないリードギターのカッコよさもあり(音響的にちょっと埋もれ気味だったのが実に惜しい)、抜群の疾走感で迫ってくる楽曲の魅力も合わせて、本日最大級に満足できたアクトでした。この短い持ち時間では足りないな!フルセットのライヴも観てみたい!

 

HER NAME IN BLOODが解散した今、日本のメロディックメタルコアを引っ張っていくのは彼らかもしれない。そんなポテンシャルを感じました。こんな良いバンドを今の今まで見落としていたとは、僕のアンテナもまだまだだな...

 

 

MAKE MY DAY

本日ラストは去年のA.V.E.S.Tでも観たMAKE MY DAY。モダンメタルコアらしいビートダウンを多用しつつ、クリーンヴォイスによる歌もかなり目立ったサウンド

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

前に観たときとほぼ印象は変わらず、ヴォーカルのイキリまくったパフォーマンスとヘヴィなサウンドは迫力充分ながら、やはりサビのクリーンなパートが圧倒的にチャラい(笑) 先ほどのSable Hillsが男らしいメタルをプレイしていただけに、その落差で余計そう感じるのかも。

 

個人的にはチャラい音楽もそれなりに耐性はある方だと思うんですが、やはりメタルコアとして聴く分には、ちょっとパリピな雰囲気が強すぎるな。これでもう少しサビにキャッチーさがあれば良かったんですが、メロディーラインは個人的なツボとはちょっとズレてる感があるな...。激ロック読者には刺さる音楽性だとは思いますが。

 

どうやらギター兼クリーンヴォーカル担当の人がコロナから復活したばかりだったようですが、特にパフォーマンス自体に破綻は無く、ヘヴィな演奏の安定感は文句なしだったように思えます。

 

 

トリのMAKE MY DAYもアンコールはなし。全バンド演奏時間はだいぶ短めで、4バンドも出た割にはややあっさりした印象でしたが、まあこのご時世に夜遅くまで営業はできないし、キャパを絞っているのにチケット代は安めだったのでやむを得ないでしょう。

 

しかしSable Hillsのライヴのカッコよさは目をみはるものがありましたね!この出会いがあっただけでもこの日は来た甲斐があったというものです。アルバムもチェックしてみようっと。

ARCH ENEMY 『War Eternal』

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当ブログ、2016年4月1日にスタートして約5年4ヶ月、ついに「CD感想」カテゴリの記事400回目となります~~!!

(。・ω・ノノ゙パチパチ ドンドンパフパフ

 

いや〜〜〜ついに400回ですか。というか、このブログももう5年選手か。開始した当初は1日に2,3人訪問があればいいくらいだったのですが、現在Google アナリティクスで確認できる限りですと、少なくとも50人以上は毎日記録されているようですし、PV数が200を超える日も多くなってきました。

 

人気ブログに比べりゃまだまだ全然大したことのない数値ですが、それでもまさか自分のブログがこんだけ読まれるようになるとは想像してませんでしたね。リピーターやコメントをくれる方もいらっしゃって、感謝感激です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします(90°礼)

 

さて、今までCD感想文が100回単位になった際は、ちょっとこのブログでメインで扱うアーティストとはテイストの違う作品でしたり、個人的な思い出と結びついているアルバムを取り扱ってきました。

 

今回扱う作品は、日本でも非常に人気の高い、スウェーデンメロディックデスメタルバンド・ARCH ENEMYの2014年作のフルアルバムです。これまでヴォーカルを務めていたアンジェラ・ゴソウが電撃引退、代わりにThe Agonistで活躍していたアリッサ・ホワイト=グラズが加入するという衝撃的な人事は記憶に新しい人も多いと思います。

 

本作の何が思い出に結びついているかっていうと、このブログでもちょっと書いたかと思いますが、このアルバムをリリースした後にLOUD PARK 14が開催され、彼らがヘッドライナーを務めた(というよりかは、MANOWARのキャンセルにより務めざるを得なかった)んですよね。そのLOUD PARKこそ僕が初めて参加した大規模フェスだったんです。

 

しかも当時はまだヘヴィメタルのライヴというもの自体ほとんど経験がなくて、何もかもが手探りの感覚というか、勝手が掴めていなかったんですよ。最初のBATTLE BEASTのライヴが始まったとき、いつものようなモッシュピットが発生せず、メロイックサインをその場で突き上げるというノリに馴染むのには時間がかかりました(笑)

 

そのフェスの大トリを飾ったARCH ENEMY。DragonForceが終わった後の隣のアリーナに残り、かなりステージに近い位置で(とはいえ角度がついていて観やすいという訳ではなかった)彼らのライヴを観たことが思い出されます。予習として行きの電車の中でウォークマンで最新作を聴いてましたね。

 

その後半年も経たない2015年3月に再び来日、TSUTAYA O-EASTでワンマンも観ました。この日はステージ正面間近の場所で、モッシュピットに揉まれながらガッツリ堪能。アリッサが歌う「Silverwing」というレアな楽曲を聴けたという意味でも印象に残っています。この時買ったTシャツは今も着てます。

 

それ以降海外メタルバンドの来日はちょいちょいチェックするようになったので、本作リリース直後のARCH ENEMYこそ、僕のメタルライヴの原点のような存在と言ってもいいかもしれませんね。

 

さて前置きが長くなりましたが、そんな新生ARCH ENEMYの本作ですが、内容は至って強烈な出来。アンジェラ加入後のARCH ENEMYに求められる要素全てが、非常に高い次元でまとまり、さらに従来とは一味違った要素も個性を殺さない程度に含まれている、かなりの力作と言っていい出来栄え。

 

音質がアンジェラ期よりもさらに現代的にアップデートされた感じで、初期のデスメタルらしい禍々しさはほとんど無し。しかしそんな中にもマイケル・アモット特有の叙情性抜群のリードギターは冴えまくる。かつての名作『Rise Of The Tyrant』並みにエモーショナルなリードギターの出番が多く、エクストリームメタルらしい攻撃性と同時にメロディアスさもバッチリ。

 

どうしても目立つリードギターにばかり注目してしまいがちですが、本作から新加入した(リリースして程なく脱退したっぽい)ニック・コードルとのコンビネーションによるリフの濃密さも充実しており、怒涛のごとく押し寄せるヘヴィリフはメチャクチャにカッコいい。バスドラ連打の猛烈な疾走に絡むリフ運びがヘッドバンギングを誘ってくれます。

 

新たなバンドの顔となったアリッサですが、The Agonist時代に鍛えられたデスヴォイスには何ら不満点はなく、むしろアンジェラよりも人間味みたいなものが増していて、より好意的に捉える人も多そう。僕は無機質で人間離れしたアンジェラのヴォーカルも大好きですけど。

 

いきなりのブラストビートからアリッサの咆哮が加わり、メロウなギターソロも飛び出すものの、依然としてブルータルな勢いを損なわない激烈ナンバーM2「Never Forgive, Never Forget(前述のTSTAYA O-EASTのオープニングで、アリッサがステージ中央に飛び出して叫びを上げた瞬間のインパクトはデカかった!)で、編成が変わってもカッコ良さは一切衰えない、極上のエクストリームメタルを早速提示。

 

アモット流のギターパート大盤振る舞いのエモーショナルなM3「War Eternal」、強烈な疾走感を見せるAメロから、テンポダウンしてメロウな旋律をギター、ヴォーカルとも聴かせるM4「As The Pages Burn」、これまたサビにおけるリードギターの嵐が合唱を呼び起こすM5「No More Regrets」、さらに哀愁寄りのメロディーセンスに磨きがかかったギターソロが泣かせるM6「You Will Know My Name」と、前半から容赦無し、攻め攻めのARCH ENEMYワールドが繰り出される様は圧巻の一言。

 

そして後半のM9「Time Is Black」とM11「Avalanche」は本作のハイライトたりえる名曲。ARCH ENEMYらしいブルータルサウンドに、重厚で壮麗なオーケストレーションが絡み、さらに一部ではアリッサのクリーンなコーラスを入れることで、今までのARCH ENEMYですらなし得なかったドラマチックさに到達しています。それでいて依然としてアグレッシヴな勢いは担保されているのがなお強力!

 

ARCH ENEMYというバンドが、大規模なメンバーチェンジを経てもなお、メロディックデスメタルというジャンルを代表するバンドであることを力強く示してみせた名盤でしょう。超アグレッシヴなのに超メロディアス、というバンドらしさが良いバランスで発揮された作品ですね。

 

 

個人的に本作は

"ブルータリティ満載のサウンドに、過去最高クラスのメロディアスなギターが融合した、新生ARCH ENEMYに相応しい強力盤"

という感じです。

 


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過去の100回単位感想記事はこちら

100回記念

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200回記念

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300回記念

show-hitorigoto.hatenablog.com

GALNERYUS 『絆 FIST OF THE BLUE SKY』

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  • タイアップ前提に制作されたミニアルバム
  • メロパワチューンはわずかでポップ寄りの作風
  • 濃密に練り上げられた疾走キラーももちろん有り

 

人間椅子、BLOODY CUMSHOTと日本のメタルが続いたので、流れに乗ってもういっちょ国産メタルの作品について書きます。J-METALの至宝GALNERYUSが、2012年に発表したミニアルバム。

 

表題曲であるM1「」は、ジャケットに堂々とケンシロウが出ていることからもわかるとおり(?)、「ぱちんこ CR 蒼天の拳」のタイアップソング。パチンコ・パチスロには全く縁がない僕にとって、パチンコのタイアップってどんなもんなのかはよく知らない。打ってる途中で音楽が鳴るとか?

 

M1は作詞者である小野さんが蒼天の拳を読み漁り、歌詞を原作者である原哲夫さんに見せてOKをもらったらしく、完全にタイアップありきで作られた楽曲のようです。

 

作曲面においても作品の雰囲気に合わせたようで、ミドルテンポで勇ましく進んでいきつつ、アニソン的なキャッチーさも多分に含まれた楽曲。演奏の主張もGALNERYUSらしくバリバリですが、あくまで歌メインの曲といった印象。

 

そして表題曲の音楽性は作品全体にも顕著で、6曲中メロパワ的疾走チューンはM3「ACROSS THE RAINBOW」と、M5「WINNING THE HONOR」のみ。しかもM3は2ndアルバム収録の「Whisper in the red sky」のリメイク楽曲なので、純粋なメロパワ新曲はM5しかないことになります。

 

M2「終わりなき、この詩」も過去曲のリメイク(こちらは曲名や歌詞はそのまま)で、やはり日本語歌唱がしっくりきやすい小野さんヴォーカルのおかげで、オリジナルよりもスッキリ聴きやすくなっていますね。泣かせるギターソロは相変わらず魅力的。

 

M4「TIME AFTER TIME」はこれまた歌モノテイストの強い楽曲で、メタルというよりはメロハーに近いかもしれない。爽やかな哀愁を効かせたメロディーが魅力で、超絶技巧でゴリゴリ聴かせるメタルだけではない、彼らの音楽的懐の深さが垣間見える。

 

M6「departure!」はGALNERYUSの曲ではなく、アニメ「HUNTER×HUNTER(単行本何冊か持っててメチャクチャ面白かった記憶あるけど、いつの間にか読むの中断しちゃってた)のオープニングテーマを全英詩にして、GALNERYUSが演奏を担当したもの。作曲者が別人なので、当然曲自体にGALNERYUSらしさはないのですが、テクニカルなソロパートを入れる自己主張は忘れていません。そしてこの曲はこれはこれで結構好きです(笑) ちょいと切ないBメロが特に好き。

 

メロディーセンスに定評のある彼らなので、歌モノ路線が中心でも十分に楽しめる楽曲が揃っていますが、やはりなんだかんだ言って最も気に入るのはM3、M5のメロパワナンバーですかね。メタルバンド・GALNERYUSの本領はこういった曲で100%発揮されるというもの。

 

特にYUHKIさんが作曲したM5は、異常に音数の多いギターとキーボードがバチバチに弾き倒されたまま疾走するド派手な1曲。クラシカルな要素も持ち合わせたキーボードのサウンドに、翳りつつも飛翔感を持ったヴォーカルメロディーが実にドラマチック!中盤のギターとキーボードソロもかなり気合が入っており、怒涛の如く押し寄せる勢いがたまらん。

 

トータル40分ほどで、GALNERYUSの作品としてはそこまでボリューミーではありませんが(6曲40分は十分ボリューミーじゃねえかと言われそうですが/笑)、彼らのポップサイドが強調されつつ、劇的なパワーメタルとしての要素も入れ込んだ、聴きごたえのある1枚かと。

 

ただまあポップに寄りすぎている感はあるので、最良の作品とは言えませんし、この1枚にGALNERYUSというバンドの真髄があるとも思いませんけどね。

 

 

個人的に本作は

"メロパワ風味控えめのポップな歌モノハードナンバー中心。良曲揃いではあるけど、メタルバンドGALNERYUSはこんなモンじゃないよ"

という感じです。

 


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BLOODY CUMSHOT 『NYMPHOMANIA』

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  • 歌謡クサメロプロジェクト第二弾
  • 単にクサイだけじゃない!まとまってるぞ!
  • メタル的迫力を付与したギターの魅力大幅増

 

一部のクサメロ愛好家の間で話題を振り撒いた、一人歌謡クサメロディックデスメタルプロジェクト・ZemethのJUNYAさんが立ち上げた、新たなメロデスプロジェクト。本作もまた楽曲のコンポーズから、ギター、ヴォーカル、打ち込みまで、全てJUNYAさん一人の手によって制作されているようです。

 

Zemethではこれまで3枚のフルアルバムをリリースしており、僕は2nd『MONOCHROME BLOOD』のみ聴いています。

 

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その時のアルバム感想文にも書き記しましたが、Zemethというプロジェクトは、そのクサメロのセンスにおいては凄まじいものを感じさせてくれました。

 

しかし、「楽曲が全体的に長めでアルバム収録時間も長い」「緩急のついた曲展開は皆無で終始クサメロ垂れ流し」「シンフォサウンドがメインで、ギターをはじめとするバンドサウンドの存在感が超希薄」という、かなり極端な作品に仕上がっており、さすがにちょっと聴き疲れというか、胃もたれがハンパない出来でした。例えるなら「焼肉屋さんでライスやサラダ、たまごスープの存在ガン無視で、ひたすらカルビだけ食わされ続ける」みたいな。

 

そんなわけで「過去最高レベルの楽曲を保存してある」と豪語していた3rdアルバムにはお腹いっぱいで手が伸びずじまい。前回感想文「応援したくなる」なんてこと書いといてスミマセン......

 

しかし新たに始めたこのBLOODY CUMSHOTは、「歌謡的クサメロを垂れ流して疾走する」という大筋はZemethと共通しているものの、楽曲の造り、アルバムの構成において、明らかにZemethより聴きやすくなっています。

 

まずなんといっても各楽曲、総収録時間が短い!!これがデカい!!(笑)

アルバム全編通しても30分を切る短さにまとめあげられており、これにより濃厚なクサメロを聴き続けた際の聴き疲れが大幅に緩和されます。これはナイス判断でしょう。

 

またほぼシンセ一辺倒で、他のバンドサウンドは軽い添え物くらいにしかなっていなかったバッキングは、ヘヴィメタルの生命線であるギターが完全に主軸になっているのが大きい。クサいメロディーをリードギターで泣かせるのはもちろんですが、メロデス的、曲によってはブラックメタルのような高速リフも頻繁に飛び出し、ヘッドバンギング欲をしっかりかき立ててくれる。リフがしっかり骨太になるだけで、メタルとしての聴きごたえはやはり段違いです。

 

さらにさらに、Zemethにおいては楽曲の個性が薄く、ほぼ全編似たような疾走クサメロシンセ祭でしたが、本作においてはリードに頼らず慟哭リフ主導だったり、キャッチーなキーボードを目立たせり、ややモダンなリフを用いヘヴィさを強調したり、ギャウギャウ叫ぶだけでなく低音グロウルを披露したり(Zemethでもあったっけ?)と、曲やパートにおいて、ある程度個性を持たせよう、多彩なアプローチを試みようという意志が明確に感じられる。

 

GYZEやTHOUSAND EYES、Serenity In Murderといった国産メロデスの先輩たちと比べれば、まだ一本調子感は強いし、未整理な部分もあったりするような印象ですが、これだけ曲を構築してくれるようになったことは間違いなく美点のはず。

 

唐突なテンポチェンジでギターがコテコテのクサメロを鳴らすM5「HATE FUCK」、『Follow The Reaper』期のChildren Of Bodomを思わせるような、ダイナミックなギターソロとキーボードが絡むM6「SLAVE HUMILIATION」、モダンなリフを適度に使いつつ、必殺の劇メロを疾走リードギターで放つM8「TRUE HUMANITY」が特に気に入りました。

 

「Zemethはクドすぎてちょっと...」と感じた人(僕以外にも結構多いと思う)も本作は聴く価値があるはずです。

 

 

個人的に本作は

"Zemethから歌謡クサメロ大乱舞の方向性はそのままに、楽曲構成力を大幅向上させた慟哭ギター中心メロデス"

という感じです。

 


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