ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

聖飢魔Ⅱ 『THE END OF THE CENTURY』

  • ダミアン浜田が大きく携わった初期の名盤
  • スピードナンバーはどれも秀逸の出来
  • ヘヴィな曲から哀愁寄りの曲まで様式美センスが息づく

 

悪魔教を布教するため、魔暦紀元前16年に地球へやってきた悪魔たちによるヘヴィメタルバンド・聖飢魔IIが、今年23年ぶりに大教典『BLOODIEST』をリリースするというニュースが入りました。

 

www.seikima-ii.com

 

僕は1994年という、それこそ世紀末の生まれなので、当然ながら聖飢魔IIをリアルタイムでは通っていません。

 

とはいえ1999年のバンド解散後も、ヴォーカルのデーモン閣下はテレビのバラエティなどによく出演されていたので、小さい頃から彼の存在は認知していました。当時は「奇抜なメイクをした変わったオッチャン」以外の認識はなく、まさかヘビメタバンドのヴォーカルだとは思いもしませんでした。

 

そしてヘヴィメタルを聴き始めてから、彼らの音源にも少しずつ手を伸ばし始めたわけですが、お茶の間でネタにされているイメージからは意外なほどに、非常にカッコ良く、かつハイクオリティーな正統派メタルをプレイしていることを知り驚いたわけです。

 

バンド名がバンド名なだけに、新世紀に入れば活動規模が縮小するのは仕方がないのですが、近年になって小教典のリリースは何度かあったので、ひょっとしたら大教典もいつの日か...?なんて考えもなかった訳ではありません。ただ、いざリアルタイムで彼らの大教典を聴く機会に恵まれることがわかると、なかなか感慨深いものがありますね。

 

そのニュースに触発される形で、改めて彼らの初期の名盤であり、ある意味バンド名を冠した作品である本作をリピートして聴いていました。

 

1986年に発表された、彼ら2枚目の大教典。デーモン閣下のお言葉によると本作は「"怪奇物語"というイメージ・テーマに基づき、聖飢魔IIの教えが聴くごとに心に刻み込まれている仕組みになっている」とのこと。物語というコンセプトゆえか、曲間にはデーモン閣下による語りが挿入されています。

 

現在はDamian Hamada's Creaturesを率いてメジャーデビューを飾った、ダミアン浜田が作詞・作曲を手がけた曲が多いのも特筆すべきポイント。先生になるために曲だけ作って、バンドの音源には参加しなかった彼ですが、曲作りの才覚はこの頃から既に非常に高いものがあったことを証明しています。

 

イントロのM1「聖飢魔IIミサ曲第Ⅱ番「創世記」」から、"フハハハハッ....聖飢魔II、The end of the century!"の掛け声と共に、実にドラマチックなギターリフで疾走開始するM2「THE END OF THE CENTURY」。これがいきなりの名曲。メロディックなツインリードが駆け上がる出だしからゾクゾクさせてくれます。堂々たる閣下のヴォーカルパフォーマンスも見事。

 

IRON MAIDENばりの劇的なメロディーを紡ぐツインリードが聴ける、文句なしにカッコいい正統派メタルM5「JACK THE RIPPER」に、アルバムのラストを締めくくる疾走ナンバーM8「FIRE AFTER FIRE」は、前述のM2と合わせて、本作を代表するキラーチューンと言えますね。デーモン閣下の強烈なハイトーンシャウトに、様式美メタルらしい美しくメロディアスな旋律が絡み合う名曲群です。

 

世間一般においては、M6「蝋人形の館」および曲前にある「お前も蝋人形にしてやろうか!」のフレーズが一人歩きしている感がありますが、本作を聴けば聖飢魔IIというバンドが蝋人形一辺倒のバンドではないことがよくわかるハズ。もちろん蝋人形は蝋人形で、不気味さとコミカルさがうまく混在した名曲ですけどね。

 

その他ミドルテンポの正統派メタルM3「DEMON'S NIGHT」に、美しい哀愁美旋律が大きく顔を出すM4「悪魔の讃美歌」、ずっしりとしたヘヴィさ、ダークさを重視したM7「怪奇植物」と、様式美HR/HMの枠に収まる形でバラエティにも富んでいるのも魅力。とにかく楽曲単体の魅力が大きい。

 

聖飢魔II氣志團と並んで「存在と見た目は広く知られているけど、曲は代表曲以外ほとんど知られていない」というバンドだと思っていて、こういう名盤を聴くたびに「もったいないよなあ...」と思う訳ですよ。

 

今回の大教典のリリースを機に、「蝋人形の館」以外の名曲たちが少しでも知られればいいのですが、SNS映えする音楽が話題の中心となり、イントロが長いのはうんたら、ギターソロがあったらなんたらと言われる今の日本の音楽シーンだとそれも望み薄ですかねえ...

 

まあそういう世間的な動きがどうこう関係なく、過去作を聴きつつ、どんな新曲が披露されるか期待しながら動向はチェックしていきたいと思っています。

 

 

個人的に本作は

"バラエティに富んだ各曲に、様式センスが息づいたメロディーを導入した正統派HR/HM。蝋人形だけが聖飢魔IIではない"

という感じです。

 

 

6/3 Jupiter / LIVE 「Heavenly Vision」 at 初台The DOORS

先日の摩天楼オペラの15周年記念ライヴに引き続き、またもやV系ロディックメタルのライヴです。別にギャ男ってわけでもねえのに。

 

V系界隈において、最も正統的なメロディックメタルを追求する姿勢を見せるJupiterのツアーファイナル公演。場所は初めて訪れる初台The DOORS。ツアーファイナルと言っても、柏と横浜、そしてこの日の初台と、3ヶ所しか周ってない上に関東に集中しているという、ツアーと呼んでいいかもわからないレベルのもの。

 

壁に貼っているポスターを見た感じ、V系サブカル色の強いアイドルなどが主な出演者らしく、ライヴハウスによくある国産ロック/パンク系アーティストのものは全くなかったです。Jupiterのようなメタルバンドでも出ない限り、足を運ぶ機会にはなかなか恵まれなさそう。

 

同じ日に下北沢にてSable HillsとGraupelという、国産メタル界トップクラスの若手有望株が揃い踏みするというライヴがあり、僕個人の好みで言うなら、そちらの方が興味深かったんですけどね。その2組はここ最近何度か観る機会に恵まれていたので、せっかくならあまり体感したことのないバンドを優先しようかと思いまして。着てたTシャツはCRYSTAL LAKEで完全に下北仕様だったけど(笑)

 

Jupiterのライヴは、2015年にDragonForceが『Maximum Overlord』のツアーとして赤坂BLITZでライヴした際、オープニングアクトとして出演をしたのを観て以来です。もう7年近く前になるのか...

 

当時はJupiterの曲は全くと言っていいほど聴いておらず、「VersaillesっていうV系なのにガチのメタルやってるバンドの進化系」くらいの認識しかない状態だったので、熱心には観ていなかったかな。まだKUZEさん加入前で、小規模ながらサークルピットができるくらいには盛り上がっていたのを覚えています。

 

そんなことを思いながら初台まで到着すると、すでにバンギャと思しき女性たちが店前で待機中。ネクラなメロスピファンっぽい男性客も何人かはいましたが、やはり大多数は女性客。

 

そしてお客さんの数はなかなか少なめなのが気になりましたね...。僕は当日券組だったので、会場時間ちょうどくらいに着いたんですけど、並んでいる人数は50人もいないくらい。スムーズに入場が進んで余裕で当日券も買えたし(ありがたいことではありますが)、ご時世的に来場者数の上限をだいぶ絞っているはずなのに、後方にはだいぶスペースがありましたからね。

 

まあ平日18時半開演というスケジュール感が、社会人的には合わなかったというのもあると思いますが、それでも金曜日で新宿から一駅で来れる場所なんだがな〜。

 

開演時間の18時半ちょうどに幕が開く(2階通路にいたスタッフさんが手動で開けてた) 次々とド派手な衣装とメイクを施したメンバーが登場するも、やはり一番目を引くのは女形ギタリストのHIZAKIさん。本人の見た目のインパクトもさることながら、真っ赤なボディに金色のバラをあしらったギターの存在感が凄すぎ。

 

真っ赤な衣装に身を包んだKUZEさんが登場してから、早速最新シングルのナンバーからスタートするわけですが、始まった瞬間からこのバンドのレベルの高さが手に取るようにわかる。

 

とにかく巧い。ヴォーカルも演奏も。本当にアルバムの音源と遜色ないパフォーマンスをしてくれるんですよ。ドラムはアルバムの音よりも打音の迫力が増していて、さらに印象が良くなる(音源のちょっと角が取れたような音があんまり気に入ってなかったので)

 

KUZEさんのヴォーカルは最初ちょっと演奏に埋もれてしまい気味で、聴きにくい瞬間もあったのですが、音のバランスが改善されると問題なく声が届いてくる。これがまた堂々としたパワーシャウトっぷりで、音程もバッチリだし、ハイトーンの力強さも申し分無し。CONCERTO MOONで鍛えられたであろうヴォーカルはきっとライヴでも良いものだろうと予想はしていましたが、ここまで楽曲のスケールをしっかり再現してくれるとは。

 

ただ「SHOW MUST GO ON」のようなモダンなタッチの楽曲で披露されるデスヴォイスは、やっぱり本業(?)がパワーメタルシャウターであり、エクストリームなスクリーマーではないからか、そこまでド迫力にはなりませんでした。まあデスヴォイスにパワーを求める音楽性ではないので大した問題ではないですけどね。

 

そしてバンドの音楽的中心人物であるHIZAKIさんですが、ギターの正確なテクニカルっぷりが凄まじい。高速なリフの刻みから速弾きソロに至るまで、本当に滑らかに手が動いていて、予想以上にヘヴィな歪みを効かせたサウンドと相まって、非常に迫力あるプレイを見せる。

 

リードギターソロにおいても音源にしっかりと沿ったメロディーラインを紡ぎ、ここまで生の現場で音源を忠実に再現できるメロスピギタリストって、なかなかいないのではないかと思わずにはいられない。

 

モダンプログレとかDjent系のバンドは、ライヴもかなり上手いのが当たり前みたいな感じありますけど、メロスピ/メロパワ系のバンドって、ライヴがテクニカルなイメージあんまりなかったですからね。

 

そして女形を極めているのもさすがで、しなやかに手を振り乱すパフォーマンスが実に美しく決まっている。リフはあれだけパワフルに弾き倒すのに、こういう所作は柔らかいんですね。

 

またギタープレイとは直接関係ないけど、「Theory of Evolution」のMVでも見受けられましたが、首をバッと振り向かせての視線がかなり強烈で、ギタリストとしての技量だけでなく、目力もパワフルなんだと思わされました(笑)  幸か不幸か、僕と目が合うことはなかった。

 

HIZAKIさんとTERUさんという、バンドの音楽の中核を成すツインギターの存在感はもちろんながら、ベースとドラムのリズム隊も安定感抜群。特にギターが結構ヘヴィで爆音にも関わらず、ベースラインがかなりしっかりめに聴こえるのが、ライヴでの音圧をパワフルなものにしている印象。

 

さらに言うならベーシストの方はサポートメンバーであるからなのか、他のフロントメンバーに比べて衣装があまりゴテゴテしておらず、メイクもさほど濃くない、そしてイケメンということで、僕個人の感覚としては、ステージ上のメンバーで一番シュッとしててカッコ良かったです。

 

あと最近知って驚愕したんですけど、ドラムのDAISUKEさんって、もともとROACHにいた人なんですよね...。JupiterとROACH、あんまりにもイメージが異なるバンドなので、にわかには信じがたい...。

 

そしてこれまた意外だったのが、MCの雰囲気。母体となったVersaillesのKAMIJOさんは「ボンジュール、ハニー!」なんて言葉をかける人だったらしいので、そこまでではなくともバンドの世界観をある程度守って、「さあ、私たちと共に麗しき世界へ...」的なこと(?)言うのかと思ってたんですが、MCで繰り広げられるのは予想外なほどにフレンドリーなやりとり。

 

HIZAKIさんが「メイクしていればお客さんも綺麗に見えるね〜」と言った後にKUZEさんが「関西人なんだから、もっと気の利いたこと言うのかと思ったのに」とチャチャを入れたり、TERUさんは爽やか系の体操のお兄さんかのような元気な呼びかけをするし、曲に入る直前になってセットリストを見ながら「次の曲なんだっけ?」とボソッとつぶやいたり、かなり親しみやすい感じで場内からも笑いが生まれる。

 

前述したDragonForceのオープニングの時も、そこまで浮世離れしたことは言ってなかったはずですが、このくらい力の抜けた感じではなかったと記憶してたので、「この人たち、案外フツーな感じの価値観を持ったイイ人たちなのかも」なんて思ってしまいました。いや、もちろん実生活は普通の人なんでしょうけどね。

 

そんなちょっと和んだMCや、Jupiterとしては久しぶりになるらしいインストを挟み、新作『Zeus 〜Legends Never Die〜』を中心としたセットリストを組み立てる。「The spirit within me」「TEARS OF THE SUN」のようなメロスピチューンはやはり高揚させられますね...。

 

ただやはりV系故なのか、サビでは一斉にジャンプしたり、手を前に差し出しながら横にフリフリしたり、サビ終わりのフレーズで両手を上げ下げしたり、決まった振り付けがあるかのようなオーディエンスの反応には慣れん(笑) 特に彼らは音楽的にはヴィジュアルロックではなく完全にメタルのそれなので、余計に違和感を感じるのかも。

 

特に2ビートで疾走するドラムに合わせて手拍子するというのは、他で見たことがない(笑) そこは髪を振り乱すヘドバンの方がよくない?

 

まあ楽しみ方は個々人で異なるし、あくまで見るべきはステージ上の演者なので文句は言うべきじゃないでしょう。高速リフに煽られるようにメロイックサインとヘッドバンギングで応えました。

 

アンコール前、およびオーラスには、10分を超える大作である「Zeus:Ⅰ. Legend Never Die / Ⅱ. Conversations with God」、そして新体制になって初の楽曲となる「Theory of Evolution」をプレイ。特にドラマチックなメロディーが聴けるナンバーなので、ラストに配されるのは納得。

 

特に「Zeus〜」の方は長尺にも関わらずダレを産まない展開、ラストのクワイアと共に壮大に締めくくる名曲で、この曲を聴きたかっただけに感動もひとしお。この曲が終わった後に深々と頭を下げた瞬間は、「もうアンコールいらないんじゃ...」と思うくらいの大団円。

 

これからしばらくバンドはライヴ活動を休止し、アルバムの制作およびバンドのブラッシュアップに努める期間に突入すると発表がありました。現時点で発表された最新シングルは、KUZEさん加入以降のスタイルをしっかりと突き詰めた楽曲に仕上がっていたので、ニューアルバムにも期待がかかる中での幕引きとなりました。

 

7年前の時点で良質なメタルをプレイするバンドだということはなんとなく記憶していましたが、今回改めて間近で観て、予想を超えるライヴでの音源再現力、歌唱と演奏のクオリティーの高さに驚かされました。意外なほどに親しみやすいMC含めて、見応えあるライヴでした。

 

しかし、これだけのクオリティーのライヴができるバンドが、300人入ればいっぱいになっちゃうようなライヴハウスのステージで、これだけの人数にしか観られないというのはもったいないですね。

 

今日本のメロディックメタル系統のバンドで集客力がありそうなGALNERYUSとかと比べても、スタンスの違いはあれど、ライヴパフォーマンスのレベルの高さは引けを取らないだけに、バンドのスケール感と会場の規模が明らかに釣り合っていませんでした。

 

やはりメタルファンにとってはあまりにもゴテゴテしすぎたヴィジュアルが敬遠され、V系ファンには男らしいメタルな歌声、およびメタルすぎる曲が好みに合わないのでしょうか。もっと多くの人が体感すべきライヴのはずなのですが。

Gladenfold 『Nemesis』

  • メロディックデスメタル.....ではない?
  • 美しく悲しい旋律に満ちた北欧の世界観
  • クリーンヴォーカルとキーボードによる哀愁のメロディーが武器

 

前回amorphisについて取り上げたので、その流れに乗った形で、またフィンランドのメタルバンドの新譜についての感想書きます。

 

前身バンド時代を含めると、2003年に結成したという中堅クラスのキャリアを持つ、たぶんメロディックデスメタルバンド・Gladenfoldの最新作。前作『When Gods Descend』の時点で国内盤が出ており、存在自体は知っていましたが、実際に音に触れるのは本作が初です。

 

フィンランドっていう国は、本当にいろんなメタルバンドの活動が頻繁なんだな〜と改めて思わされますよね。ライナーノーツによると、フィンランドは人口に対するメタルバンドの比率が世界一なのだそう。そりゃ魅力的なバンドがわんさか現れるわけです。メタル大国は違うんだな。

 

さて、先程このバンドのことを「たぶんメロディックデスメタルバンド」と表現したのには理由がありまして、たしかにメロディアス、かつデスヴォイスが使われているものの、一般に「メロデス」という言葉から連想される音楽性とはちょっと異なるから。

 

メロデスっていえばメロディアスな要素こそあれど、やはりそこはデスメタル。どこかアンダーグラウンドな雰囲気だったり、邪悪さを含んだ音楽性であることが多いです(ARCH ENEMYChildren Of Bodomのようなメジャーバンドになると違ってきますけど)

 

しかしこのバンドにおいては、そんなデスメタルらしいドロドログチャグチャしたアングラ感は皆無。その実態は完全に美しく悲しい、北欧パワーメタルのそれ。デスヴォイスに負けず劣らず使用されているクリーンの存在感が、その印象にさらに拍車をかけています。

 

専任キーボーディストがいる強みを活かした儚い旋律に、シンフォニックメタル的バッキング。それらをふんだんに活用したサウンドは、どの楽曲においても北欧の寒冷な空気をパッケージングした哀愁に満ちている。

 

言ってみれば「北欧の哀愁メロディックメタルにデスヴォイスブレンドしたもの」といった感じのスタイルで統一されています。メロデスを「美」と「醜」を融合した音楽性とするなら、彼らの音に「醜」の要素はほぼ無い。

 

これ、特に北欧系のメロディックメタルを好む層には受け入れられると思いますが、ガチで激しさと慟哭を求めているエクストリームファンにはどう映るんでしょうか。「こんなヤワな音じゃ哭けねえんだよ」とか思われちゃったりするのかな。それでも、この麗しきメロディーセンスには、どこか惹かれるものがあるのではないでしょうか。

 

ブラストビートで爆走しつつ、透明感あるキーボードが覆いかぶさり、静かなパートで泣きに泣いたギターソロがツボをついてくるM2「Chiara's Blessing」、ファンタジー映画のBGMかというくらいに盛大なシンフォニックサウンドインパクトを放ち、壮大なクリーンヴォーカルの歌メロにもますます磨きがかかるM7「Revelations」などを筆頭に、北欧臭プンプンのメロウさが全曲から香ってくる様は強烈。この手の音を愛する北欧マニアならきっと満足するはず。

 

M5「Saraste」のようなバラードにおいても、かれらのメロディアスなセンスがクリーンギターとキーボード、およびバックのコーラスからビンビンに感じ取れますね。徹頭徹尾デスメタルなバンドであれば、きっとこういう曲に説得力をもたらすのは難しかったのでは。

 

全曲息を呑む美しさを醸し出す、美麗な北欧メタルラッシュを繰り出す力作。ここにアルバムを代表するキラーチューンが配されたら、さらにすごいことになりそうな予感がします。

 

なお、国内盤ボーナストラックのM12「Enter The Dreamworld」は、デスヴォイスすら取っ払われた、完全なる明朗系メロディックスピードメタル。ある意味一番インパクトあります。明るいイントロはぶっちゃけ本作の中でかなり浮いちゃってますが、曲としてはすごく良い感じです。

 

 

個人的に本作は

"エクストリームメタルらしさには頼らない、哀愁・美麗な北欧メロディックメタル meets デスヴォイス"

という感じです。

 


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amorphis 『Halo』

  • 安定感抜群、いつものamorphisワールド
  • 唸るグロウルと雄大なクリーンの使い分け
  • 時にシンフォニックに舞うキーボードが強み

 

こないだブログの更新頻度を少し上げたのですが、結局ガス欠になって一週間ほどまた空いてしまいました...。なかなか仕事と私生活との兼ね合いがね〜...

 

まあ仕事としてやっているものではないからそんなことはどうでもよくて、ここ最近のブログは国産バンドが立て続いたのもあり、久々に洋楽のメタルについて触れたいなと思った次第です。

 

メタル大国フィンランドにおけるトップランナー、唯一無二のフォークメタルを展開するamorphisの最新作です。

 

ここ近年に発表されてきた彼らのアルバムというのは、グロウルとクリーンヴォーカルを織り交ぜ、土着的な民謡風メロディーを多量に盛り込み、疾走感に頼らず雄大に展開していく、という作風でほぼ定着。一時期はメタルという枠組みから大きく外れた時期もあったそうですが、現在は完全に自分達のスタイルを確立したと言えます。

 

それは本作においても継続されており、近作からは全くといっていいほど路線変更は無し。トミ・ヨーツセンによる地を這い唸るようなグロウルと、神秘的なベールに包まれるかのようなクリーンヴォーカルの巧みさに聴き惚れ、キーボードとギターによる民謡的哀愁溢れるメロディーライン、女性ヴォーカルも適宜加えることにより、独自性極まる音楽世界を構築しています。

 

グロウルの迫力は十分にありますが、基本的には疾走パートなどは無く、エクストリームメタルらしいアグレッションはほとんど感じられない。彼らの音楽は神秘の魅力に酔いしれるのが正しい聴き方のはずなので、これがマイナス点になることはありませんね。

 

ただほとんどの曲が同一のテンションで流れていき、音楽性が完全に確立されているが故に、風変わりな面白い曲とか、箸休めになりそうな曲が一切無い。良くも悪くも遊びがないので、1時間ずっと正対して聴くとちょっと起伏が欲しくなってくる感覚はあるかも。しかも過去作からずっと似たような曲が並んでいるので。

 

まあ徹底的に世界観を演出するバンドの方向性ゆえ、下手にそぐわない楽曲を入れるのは厳しいですからね。楽曲のクオリティー自体は申し分ないものが揃っているので、彼らのアルバムはこれで良いのかも。

 

特に気に入ったのは印象的な哀愁のメロディーがキーボードで彩られていく様が、非常に美しく映えるM7「Seven Roads Come Together」、シンフォニックさが強く出て、徐々に迫ってくるようなサウンドのアレンジが際立ったM9「Halo」です。

 

ただやっぱり曲ごとに抜き出して聴くというよりかは、やはりアルバム全体を通して聴いて、この異国情緒、北欧の寒々しさ、独自性のある民謡風メロディーにじっくりと浸るのが一番良いですね。コンスタントに作品を出し続け、これだけのクオリティーと個性をしっかりと保っているバンドの力が存分に活きた作品です。

 

 

個人的に本作は

"土着的な民謡フレーズと巧みな演奏・ヴォーカルで、神秘的音世界を変わらず表現した安定感が光る"

という感じです。

 


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DIR EN GREY 『DUM SPIRO SPERO』

  • 超名盤の前作からさらに深化
  • 演奏の密度と強靭なヴォーカルは順当にレベルアップ
  • 複雑かつ難解、良くも悪くもアートとして頭抜けた完成度

 

前回でDIR EN GREY世紀の傑作『UROBOROS』について書いたので、それと双璧をなす名盤についても取り上げないとな、と思いまして。『UROBOROS』から2年強を置いて、2011年に発表された8thフルアルバム。

 

前作にて極めてヘヴィで陰鬱、そんな中に悲しい美を詰めた傑作を生み出すことに成功した彼らですが、本作においては、さらにそこから音楽性をアーティスティックに、複雑に深化させる道を選びました。決してとっつきやすいとは言えない内容だった前作に輪をかけて聴き込むハードルは高め。

 

何せイントロのM1「狂骨の鳴り」は、異様に重く、暗く、バックには不気味な叫び声も聞け、ピアノによる不協和音も登場するなど、リスナーを不安に陥れるのが目的なのかと言わんばかりで、そこから続く実質的オープニングトラックM2「THE BLOSSOMING BEELZEBUB(ベルゼブブと聞くと、どうしてもアザゼルさんの友達のペンギンを思い出す)は曲展開にあまり起伏を設けず、ひたすらにズルズル薄気味悪く進んでいくナンバー。

 

ロックアルバムの幕開けといえば、普通はエンジンをかけるために勢いのある曲で始まるのがセオリーのはず。それと完全に対極に位置するスタートを切る彼らは、やはりリスナーフレンドリーとは程遠い(笑)

 

ホイッスルヴォイスによるシャウトや、激しく捲し立てる金切り声もさらに増量。M5「「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨」やM6「獣慾」、M11「DECAYED CROW」といった曲で、ブチギレまくった狂気の叫びに存分に耳をつんざかれることができます。特にM5は前作収録曲の「RED SOIL」のインパクトにすら負けてないキチガイっぷり。

 

そんなヴォーカル面の向上に負けないほど、バンドサウンドのまとまりも順当にレベルアップ。特にToshiyaさんのベースプレイがかなり前面に出てきていて、低音部の説得力が増しているのが、ヘヴィロックとして非常に好ましい変化ですね。

 

彼ららしい気高きメロディーセンスもそこかしこで活きている。シングルとなったM3「DIFFERENT SENSE」、M12「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」は、彼らの王道を行くキラーチューン。スラップベースを目立たせたクセのあるM4「AMON」のような曲でも、サビにおいて壮大なスケールを感じさせるメロディーを聴かせてくれるのが美点ですね。

 

その一方で、9分近い大作であるM9「DIABOLOS」は、さすがに前作のリードトラックである「VINUSHKA」ほどの圧倒的存在感には至らず、バラード曲のメロディーも強く印象に残るほどのものでもなかったかな。この辺はやはり前作に比べ難解になり過ぎてしまった感は拭えません。

 

演奏の密度や濃厚な世界観など、アート作品としての完成度においては前作を凌駕し、DIR EN GREYのアルバムにおいてもトップクラスのレベルに君臨する作品になったのは間違いないと思います。シングル表題曲をはじめとするキラーチューンの存在感もあり、充分に名盤・力作と称するにあまりあるアルバムです。

 

しかしやはり何度も言うように、ちょっと作品としての完成度を突き詰めまくった結果、だいぶとっつきづらい作風になったことは事実。こう考えると、いかに『UROBOROS』が美しく普遍的な表現と、深淵かつ難解な表現のバランスが奇跡的だったかが伺えます。

 

まあ前作が超名盤だったから、その比較でうんぬん言いたくなってしまうものの、本作が国内ヘヴィロック界において、最高峰の充実度を誇る名盤である事実は揺るぎない。

 

 

個人的に本作は

"過去最高に不気味に、ヘヴィに、難解に深化させた、DIR EN GREY最高峰の音楽的完成度。良くも悪くも聴くハードルは高い"

という感じです。

 


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DIR EN GREY 『UROBOROS』

  • 極めて陰鬱かつ怪しき宗教的ムードを放つ怪作
  • 狂気と表現力が完成形となった圧巻のヴォーカルワーク
  • 鬱屈した中に差し込む、あまりに美しいメロディー

 

前回はヴィジュアル系において、本格的エクストリームメタル路線の先駆者であるNOCTURNAL BLOODLUSTについて取り上げました。

 

この次は、そんな彼らのさらに元祖的存在、ヘヴィなサウンドをプレイするヴィジュアル系勢の起源にして頂点と言えるDIR EN GREYについて書いてみようかなと。来月にはニューアルバムが出ますけど。

 

デビュー時から現在まで、音楽性もルックスも別バンドかと思えるほどに変容してきた彼らですが、僕が彼らの作品において最高傑作だと信じて憚らないアルバムがこの作品。まあ過去作全部洗った訳ではないので、偉そうなことは言えないのですが。

 

極めて陰鬱で重々しい空気を作品全体に漂わせ、そんな中にもアジア圏のバンドらしい湿った仄暗さと宗教的ムードも持ち、徹底的にヘヴィかつ狂気的に突き進む。クリーンヴォーカルにのみそれっぽさを残してはいるものの、これほどまでドロドロした邪悪さ、変態性を押し出してしまえば、もはやヴィジュアル系ロックの雰囲気はほぼ無いと言える。

 

バンドの看板である京さんのヴォーカルについては、常人には理解し難い凄まじいレベルに到達。十八番の低音グロウルから、悲壮美を見事に表現するクリーンへの切り替わりはもはや人間業とは思えない。金切り声を巧みに織り交ぜて、気が狂ったかのような絶叫をブチまける様は何度聴いても閉口してしまうほどの迫力を持っています。

 

ちなみに僕が初めてDIR EN GREYを聴いたのも、本作収録のM3「RED SOIL」のMVを見た時です。後半のイカれ切った叫び声的な何かは、彼らの存在が脳内にこびりつくのに充分すぎるほどでした(笑) プルッキャッキャッキャ!

 

しかし、それ以上に本作を名盤たらしめている要素は、サビなどで聴かれる美しく悲しいメロディーにこそあると思うのです。

 

M4「慟哭と去りぬ」のサビや、バラードのM6「GLASS SKIN」、M9「我、闇とて•••」、M15「INCONVENIENT IDEAL」などで特に顕著ですが、この狂おしいほどに悲しく、叙情的なメロディーライン。これこそ、彼らがただヘヴィで変態なことをやっているバンドではないことを如実に示すもの。メロそのものが良いこともそうですが、京さんの振り絞るような高音ヴォーカルに伴う感情表現により、美しさがより輝く。

 

前述のバラードナンバー以外だと、全編クリーンで通し、持てる感情を全て込めるかのような絶唱が聴けるM5「蜷局」、DIR EN GREY流ミクスチャーロックと言えそうな、スラップベースを主軸に弾み行くM7「STUCK MAN」、短い中に狂気のオーラをガッツリと詰め込んだM8「冷血なりせば」、キチガイ染みたヴォーカルにさらに磨きがかかり、本作中トップクラスのアグレッションでキレまくるM10「HYDRA 666」など、なかなかに曲調のバラエティも富んでいます。決して聴きやすいとは言えない音楽性ながら、聴いてるうちにズブズブと意識が取り込まれていく。

 

M13「凱歌、沈黙が眠る頃」は、そんな彼らの強みが全て活かされている名曲で、初っ端から狂気のホイッスル、グロウルと絶叫に塗れたパートでヘヴィに疾走し、突如として現れるハイトーンのサビの素晴らしさ!

 

インストを除けば実質的オープニングナンバーとなるM2「VINUSHKA」は9分越えの大作で、本作の核となるリードトラック。バンドのテーマである"痛み"を一貫して表現する名曲で、不穏なアルペジオに導かれるように呪術的に、怪しく、ゆっくりと、雄大に進んでいく。

 

そう思えば突如として疾走しエクストリームな疾走を見せ、そのまま静寂なパートへと急転直下。ラストのサビ、あまりにも痛々しい叫びへと至る展開が劇的で、長い曲を好まない僕ですら曲の世界観に魅了されてしまう、本作最高峰のキラーチューン。この曲の存在で、本作の名盤としての価値は決定づけられていると言っても過言ではないはず。

 

ヘヴィさと怪しさをゴチャ混ぜにして混沌の世界を描く演奏と、美と醜を完璧に表現する唯一無二のヴォーカルワーク、徹底的に陰鬱ながら、そこへ差し込む光を想起させるあまりに美しい叙情性。彼らの孤高の存在感、特別感は本作を持って完成形へと至ったと思っています。

 

なお、本作は2008年発売ですが、2012年にはリマスター盤が出ています。グロウルが奥に引っ込んでしまっているようなオリジナルの音質が劇的に良くなっており、サウンドもシャープで聴きやすいです。

 

さらに「HYDRA 666」はリマスターにしかありませんし、なぜかオリジナル盤では英語詞の収録となっていたシングル曲の「GLASS SKIN」「DOZING GREEN」が日本語詞に変わって、グッと味わい深くなってるのもオススメポイント。"奪われるまま 汚れるまま"の歌い回しが綺麗なのに、それを"please don't go, Ah, please don't go〜♪"って英語で歌われてもねえ...

 

そんなわけで、今から本作を購入するならリマスター盤を強く推奨します。

 

 

個人的に本作は

"陰鬱さと美しさを共存させ、唯一無二のヘヴィロックへと昇華することに成功した最高傑作"

という感じです。

 


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NOCTURNAL BLOODLUST 『ARGOS』

  • 生まれ変わってからの初のフルレンスアルバム
  • ストレートなメタルコアから暴悪なオーラを纏ったデスコアまで
  • オーケストレーションを用いた衝撃的キラーチューン

 

ヴィジュアル系にカテゴライズされるバンド群において、ヘヴィなサウンドを出すバンドというのは数多くいます。

 

その多くはDIR EN GREYのDNAを色濃く受け継ぐバンドですが、中にはそれ以上に本格的なラウド/モダンメタル、メタルコア、デスコア志向を貫くバンドもちょくちょく増えてきている昨今。

 

まあ僕はヴィジュアル系界隈に詳しい訳ではないので、パッと出てくるのなんてDEVILOOFとDEXCOREくらい。あとはJILUKAとか、解散したけどDIMLIMくらいなら名前を知ってるかなあ...という塩梅です。まだまだアンダーグラウンドを掘り起こせば、ヘヴィで危険なバンドはたくさんいるんでしょうねきっと。

 

そんなヴィジュアル系における、本格派メタル路線の先達と言っても過言ではない存在がNOCTURNAL BLOODLUST(元々ヴィジュアル系ではなかったようですが)

 

二度にわたるメンバーの脱退で存続の危機を迎えるなど、ここ数年はかなりキツい思いもしてきましたが、2年前に新ギタリスト二名を加えて、ついでにゴテゴテしたヴィジュアル系らしさもほぼ払拭した状態で完全復活を遂げることに成功。ミニアルバム『The Wasteland』は、派手なヴィジュアル系らしさを押し出していた頃に比べて、良くも悪くもシンプルになり、より普遍的なメタルコアサウンドを聴かせてくれました。

 

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そして新ラインナップも板についた状態で、満を持して発表されたフルアルバムが本作。フルアルバムとしては、なんと2014年発表の『THE OMNIGOD』以来8年ぶりというのだから驚きです......っていうか、"2014年が8年前"ってマジ?2014年ってつい最近じゃない?(汗) 

 

まあそれはさておき、現在のラインナップになって初のフルアルバム。モダンでヘヴィなメタルコア路線に舵を切った『The Wasteland』から、よりダークでドロドロしたエクストリーム要素、アンダーグラウンドなデスコア要素を強めた印象。曲によってはシネマティックと言えるようなシンフォサウンドの装飾も施し、邪悪な暗黒音楽としての説得力が飛躍的に増しています。さらにいうとサウンド・ルックス両面から、ヴィジュアル系としての要素はほぼ皆無。

 

こりゃ〜かなり攻めましたね。とにかくアルバム全体に渦巻く狂気と、暴悪なオーラが凄まじい。

 

地の底から聴こえてくるようなイントロから続くM2「Red Soil」はキャッチーな要素を極力廃して、不気味なギターフレーズをバックにヘヴィなリフで進み行く。オープニングにしてはやや無愛想な印象ながら、本作のダークな世界観をこれでもかと押し付けてくれます。

 

前作発表前にデジタルで先行配信され、ノクブラ復活を高らかに宣言した3曲を織り交ぜながら、タイトル通りストレートなメタルコアとしての魅力に満ちたM3「Straight to the sky」、本作中特に重心が下がりに下がったヘヴィさ、超速バスドラに代表されるエクストリームサウンドが武器のM4「Dagger」、従来の彼ららしいノリの良い早口ヴォーカルとリズミカルなリフに、シンフォニックサウンドの壮大な味付けをブレンドさせたM10「Eris」と、既存の楽曲含めて実にパンチのあるキラーチューンが並んでいきます。

 

ここまで極悪なメタルコア/デスコアとして振り切ってしまうと、先行シングルとなったM11「THE ONE」が、ちょっと爽やかっぽい浮いた曲に映ってしまうのは無きにしも非ず。まあ、これはこれで良い曲だから問題はない。

 

そんな本作を語る上で外せないのは、やはりリードトラックにもなった中盤に鎮座するM7「Cremation」でしょうか。映画的な映像展開のMVの時点で、従来の曲とは一線を画する感じでしたが、楽曲の方も凄まじい仕上がり。

 

本場海外のデスコア勢にだって引けを取らないであろうヘヴィリフと超速ドラムに、本格的なオーケストレーションを大々的に融合、ホラー映画のような緊迫感を持ち寄り、全てを叩き潰すかの如くブレイクダウン、ドラマチックで圧巻のラストを締めくくるまで、片時もサウンドから意識を離すことができない衝撃の名曲。

 

前作リリースの時点でバンドの復活は充分に知らしめることには成功した彼らですが、そこからさらに衝撃度・破壊力共に、遥かに上回る激作を生み出してくれるとは。8年ぶりという長い期間をおいて、高まった期待に完全に応えてくれたと言っていいでしょう。

 

本作の半分以上の楽曲は、新加入のValtzさんとYu-taroさんの手によるもので、新生ノクブラのソングライティングがいかに高い水準になったのかが窺い知れますね。一時期は半壊状態となってしまったバンドを、本作は立て直すを通り越して、大きくレベルアップさせることに成功しています。

 

 

個人的に本作は

"デスコアとしての極悪さとヘヴィさ、ダークな世界観を大幅にレベルアップさせた、暴虐の限りを尽くす衝撃作"

という感じです。

 


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