ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

8/14 Download Japan 2022 at 幕張メッセ

コロナが蔓延する世の中、まさかこの短期間で2回もフェスに馳せ参じるとは思いませんでしたよ。

 

2019年に日本に上陸した(規模は本場海外のものとはだいぶ劣るとは思いますが)Download Festival。2020年はMY CHEMICAL ROMANCEをヘッドライナーに、多彩な顔ぶれをそろえた面白いラインナップで、かなり高い期待感を持っていたのですが、みなさんご存知の通り、開催中止を余儀なくされました。

 

そこから待つこと2年ほど、とうとう開催に漕ぎ着けることに成功。フジロックサマソニも海外アーティストを迎えたフェスを開催することができており、ここにきてようやくフェス復権の兆しが見えてきている感じがします。

 

しかしこのDownload Japan 2022、規模としては2020年のそれよりもさらに小さく、今回は1ステージのみで、オープニングアクトBAND-MAIDを含めても全9アクトのみ。そのためフェスというよりは、規模が大きめなライヴイベントってな塩梅になってしまっている。

 

それにDREAM THEATERBULLET FOR MY VALENTINEなどは、単独公演でも多くのオーディエンスを集められそうなものの、全体的にすごく豪華といったラインナップではなかったためか、開催前日になってもイープラスのチケット情報は余裕あり。これはややチケットの売り上げが厳しいのではないか...と心配になる。

 

こんな時こそ海外アーティストを呼び込むプロモーターには金を払わねばとチケットを確保。ROCK IN JAPANの日焼けがヒリヒリ痛む中、明日普通に出社するという現実から目を逸らして、当日は幕張メッセに直行しました。

 

海浜幕張駅を降りてメッセへ向かう道中、もちろんメタルヘッズの姿は見かけたのですが......やはりと言いますか、数が少ない。かつてサマソニで同会場へ向かった時は、ヌーの大群かと思しき群衆が詰めていたのに対し、今日の歩道橋のなんと閑散としていることか。

 

とはいえ流石にメッセ内の入場口においては、ズラッとした行列ができており、建物の外へ出ていかないほど伸びている。ここまで人がいるのであれば、とりあえず閑古鳥は避けられるだけに、ちょっとここで一安心。とはいえ去年のDownloadとグッと人数が減っているのは明らか。

 

......しかしアレですね。つい先日ロッキンに行ってきたばかりだから余計にそう思うのかもしれないですが、来場しているお客さんがものの見事に黒い。色味が全然ない。

 

 

ロッキンは色とりどりのTシャツや夏フェスグッズを身につけた人たちがひしめきあっていたのに対し、この日の黒一色っぷりは、あまりにもわかりやすく「客層の違い」という事実を突きつけており、なんだか笑けてくる。蘇我スポーツ公園にここまで陰キャっぽい人たちは全然見なかったけどな。本当に同じ「日本のロックフェス」の光景なんだよな?

 

「メタルは所詮暗い日影者の音楽」という無慈悲な現実がありありと伝わってきて、直前にロッキンで楽しいフェスの空気を味わっていたことから、そのあまりのギャップに何だかいたたまれなくなってしまい......

 

精神の安定を図るため、列に並んでいる間ずっとsumikaを聴いてました

これからメタルのライヴだってのに。

 

列の進みのペースを考えて、THE HALO EFFECTに間に合うかちょっと心配してましたが(BAND-MAIDは完全に間に合わないことが確定)、何とか時間までには会場入り。幕張の大きなステージ、何だか久しぶりで感慨深いものがありますね...

 

 

 

THE HALO EFFECT

この日一番観たかったライヴが一番手。体力満タンの状態で観られるわけです。

 

かつてIN FLAMESに在籍していたメンバーで構築されたバンド(プロジェクト?)で、アルバムデビューして速攻来日というところに、いかに日本のメタルファンは彼らのような音を欲しているのか、という事実がわかる。

 

ただ精神的に不安定なところがある、イエスパー・ストロムブラードは本日のライヴには帯同せず、代役としてTHE HAUNTEDのギタリストのパトリック・ヤンセンが参加。イエスパーの生ギターはこれからも聴けそうにはないな〜...。まあこのご時世、外タレライヴが観られるだけありがたいと思わなきゃ。

 

デビューアルバム『Days Of The Lost』は、この日の二日前に発売されたばかりのためろくすっぽ聴き込めていない。そのためほぼ聴き覚えのない楽曲ばかりが披露される形になります。

 

しかしそんな予習不足の僕でも、このバンドが放つ哀愁の効いたメロディー、リードギターの泣きっぷりは存分に感じ取ることができる。ルックスだけでいえば、ベースのピーター・イワースが一番カッコよかったな。

 

ヴォーカルのミカエル・スタンネはオーディエンスからの熱い支持にかなりご満悦、といった感じでMC中はにこやかな笑顔を浮かべる。パフォーマンスも至極安定していて、独特なしわがれた感じのデスヴォイスが、哀愁叙情メロデスサウンドによくマッチしています。

 

アルバムに先駆けて先行配信された「Days Of The Lost」、「Feel What I Believe」における劇的なツインリードは、耳に入ってきた瞬間にハッとする魅力に満ちていて素晴らしい。特に後者はかなりツボな旋律なだけに、握りしめたメロイックサインにさらに力が入るというもの。

 

欲を言えば、せっかくミカエルがヴォーカルをとって、IN FLAMES人脈からなるバンドメンバーがいるのだから「Behind Space」とかでもやってくれれば、もうワンランク上の盛り上がりになったんだろうなあ。まあTHE HALO EFFECTとして来てるのだから、このバンドの曲のみでも不満は全くないのですが。

 

 

CODE ORANGE

2年前に発表した『Underneath』で、大きなインパクトを与えてくれたインダストリアルメタル/ハードコアバンド。

 

このバンドも、トップバッターのTHE HALO EFFECTに次いで楽しみにしていたバンド。音源の時点で只者じゃないオーラを出していたバンドでしたからね。ライヴも凄まじいものになりそうだと予感していました。

 

そして実際ライヴパフォーマンスはその期待に十分に応えてくれるもの。バックのスクリーンに、MVの雰囲気をそのまま持ち出したような、不気味で狂気的な映像がバックスクリーンに映されながら、各メンバーがアグレッシヴにステージ上を動き回る。オープニングのキャッチーな「Out For Blood」に、耳をつんざくほどの絶叫(さすがにこれは同期音源でしたが)が得体の知れない興奮を引き起こす「In Fear」といった楽曲には高揚させられますね。

 

先ほどの古き良きメロデスから一変、狂気の破壊音がスピーカーから垂れ流される様は実に爽快。メンバーの激しいパフォーマンスと合わせて、体を揺らしたくなりますね。こういう音はやはり生のライヴでこそ進化を発揮するのです。

 

長髪を靡かせながら、マイクスタンドを振り乱しつつ歌う、フロントマンのジャミー・モーガンは存在感抜群。収まり切らないと言わんばかりの怒気を発散し続ける。

 

しかし、そのアグレッションが高まりすぎたせいか、オーディエンスに向かって「サークルピット!」と煽り出し、それに釣られるがままフロア前方付近ではサークルが発生。大丈夫?運営側から文句言われない?

 

さすがに放置するわけにもいかないのか、スタッフの人たちがちょいちょい合間に入って動きを静止していたようですが、やはりこの怒涛の音塊にノせられてしまうと、いてもたってもいられなくなる模様。まあその気持ちはわかる。

 

本日中の出演バンドにおいても、最もハードコアを感じさせる音楽性だけに、ここで溜まりに溜まった鬱憤を晴らしたる!と意気込んでいた人は多いでしょうね。ラストの「Swallowing The Rabbit Whole」が終わった後、特に後を引く感じもなく、サラッと立ち去っていく姿も、甘さのないハードコアっぽくて素敵でした。

 

 

At The Gates

THE HALO EFFECT、CODE ORANGEに次いで楽しみだったアクトが彼ら。前半だけでお目当てのバンドがドドっと出てきてしまった。

 

このバンドについては2018年の来日公演で、かなり間近で観ることができたバンド。そのため、前2バンドに比べればそこまで是が非でも...!ってほどではなかったはず。

 

しかしこの日は、世紀の名盤である『Slaughter Of The Soul』の完全再現というではありませんか。バックのスクリーンにはそのジャケットがデカデカと映し出され、否応にも期待が上がってくる。これは観なければならないステージですよ。

 

当然ながらオープニングナンバーは「Blinded By Fear」。不気味なSEから、切れ味MAXのリフで爆走し、当たり前だと言わんばかりにサークルピットが出現。屈強なセキュリティのお兄さんが、なんとか沈静化させようと真ん中に入って捌いていく。

 

僕のすぐそばを、セキュリティさんに腕を掴まれたまま、外へと連れ出されていく人も見受けられ、その人たちにはご愁傷様...という感じでした。うん、暴れたくなる気持ちはわかるよ。この激音だもんね。

 

Slaughter Of The Soul」では、トーマス・リンドバーグの"Go!"の掛け声に合わせて、さらにオーディエンスの熱気は高まる。セキュリティの働きも虚しく、どんどんサークルはでかくなるばかり。

 

個人的には、振り絞るようなヴォーカルが怒りと共に強烈な泣きを帯びた「Nausea」の叫びにグッときましたね。音源通りの激情がここにある。

 

ザクザクしたギターリフも、疾風怒濤の疾走ビートも、文句をつける要素は何一つない潔いライヴでしたが、トーマスの赤のチェックシャツにポッコリお腹のルックスは、その殺気立ったライヴの雰囲気を少し緩めてしまっているような...(笑) まあ彼に限らず、平均的に太めでしたけど。

 

ちなみになぜかラストは『At War With Reality』収録の「The Night Eternal」。スローテンポならではの強烈な哀愁を醸し出す楽曲で、このドラマチックな旋律に合わせて、少し、また少しずつメンバーが退場してゆく様は、どこか裏寂しく感じられる瞬間でした。

 

 

ここで3本ガッツリ観て失った体力を回復するために、少しばかり休憩時間。外にあるキッチンカーで、ビーフライスのガーリックを注文してがっつく。

 

似たようなやつ、つい先日のロッキンで食ったばかりのような...。まあ気にするな。

 

どの店も列の長さはたかが知れており、すぐに食べることができるのはありがたいのですが、やはりお客さんの少なさは寂しいものがある...

 

白桃サワーを飲みながらSOULFLYを観てましたが、ドラムがかなりパワフルで上手いことがわかる。ルックスは短髪の白Tで、ブッチギリで一般人臭が漂っていたのに、プレイの迫力がすごい。

 

グルーヴィーで跳ねるようなリズムの面白さもあり、大勢のオーディエンスが飛び跳ねる光景を後ろから見るのが楽しい。これこそフェスの景色って感じで良いですね!

 

 

STEEL PANTHER

本日のメンツの中では、おそらく僕の好みからは特に縁遠い音かもしれません。

 

80年代ヘアメタルというのは、僕は世代でもないし、特に好みというほどでもない。しかしそういうバンドを観られる機会に恵まれるのがフェスというもの。

 

VIPの人が入れるスペースを見てみると、派手めのうちわを持っているような人もいて、今回唯一そういったノリが似合うバンドだなと。

 

ド派手な衣装とヘアースタイルで登場してから、早速ドキャッチーなハードロックがでお出迎え。何気に本日初の歌モノアクトでは?

 

正直琴線に触れるタイプの音楽性ではないんですが、演奏がうまいし華があるので観てて単純に楽しいです。さらに演奏前に着物を着込んだ芸者さんを呼び込んで、さらにステージがより一層賑やかに。今までのバンドとあまりにもカラーが違いすぎるな。

 

しかしこの芸者さん、どうやら本業はポールダンサーだったようで、出てきたらすぐに着物を脱ぎ散らかし、やたら露出度の高いハイレグ衣装を見せつけるように体をよじる。この日一番下品な瞬間だ(笑)

 

ただラスト付近になると、実際にポールダンスを始め、その強靭な体幹を遺憾無く発揮し「やっぱプロはすげえんだな」という気にさせてくれるのだからすごい。

 

途中にはキーボードを配したバラードをプレイしたり、オジー・オズボーンのモノマネ(結構似ている上にコウモリのぬいぐるみを咥えてた)をしながら「Crazy Train」をカバーしたりと、ストイックに自分達のスタイルを貫く他のバンドには見られない瞬間が多く、フェスの中盤としていいスパイスになっていました。

 

 

BULLET FOR MY VALENTINE

以前サマソニで前方付近で観たMASTODONは少し休憩がてら観るようにし(あの時と同じようなサイケな映像が流れてた)BULLET FOR MY VALENTINEに備えて、フロアの真ん中、VIPではない一般のチケットとしてはかなり前方付近へ。真後ろがPA卓になっているので、幕張としては良い音が期待できそう。

 

このバンドを観たい層は結構多かったようで(着ているTシャツの率も多かった)、開演直前になるとかなりの人口密度。自分の前に背の高い人がいるので、少しステージは観づらくなってしまったな。

 

そして暗転されてからの、叩きつけるようなドラムとリフ。「Your Betrayal」からのスタート。名盤の1曲目から始まるということで、僕以外のオーディエンスも皆が一様に士気が上がる。

 

そして2曲目に「Waking The Demon」。この名曲2連打で、もうこっちはできあがっちゃいましたね。僕のすぐ左隣で巨大なサークルピット(+セキュリティのお兄さん)が発生し、一気にフロアの熱量が増加。

 

個人的に「よくぞこの曲をやってくれた!」は「The Last Fight」で、豊かな歌メロと熱過ぎるシンガロングが交錯する名曲。まあ実際声は出しちゃダメなので、手を振り上げるくらいのことしかできないのですが。

 

頻繁にドラムセットの後ろに設置されたマイクスタンドに構えるヴォーカルのマット。インスタの写真とかライヴ映像でなんとなく知ってましたが、やはりかつての爽やかイケメン感から、だいぶムサい男臭さを漂わせている。歌は以前観てきたのと比べると割と安定していたような。

 

新作からの「Knives」「Shatter」のようなアグレッション重視の楽曲はもちろんですが、「Piece Of Me」「Over It」といった、アルバムで聴いたらさほど勢いのないと思っていた楽曲でも、ライヴでのリフの音圧だと迫力増で聴こえる。これは前回サマソニで観た時と同じですね。

 

とはいえやはり盛り上がるのは「Tears Don't Fall」、そしてラストナンバーとなった「Scream Aim Fire」という鉄板の楽曲。意外性はありませんが、やはり名曲は強い!

 

...なんですが、「Tears Don't Fall」は、なぜか曲中のバックスクリーンに、STEEL PANTHERのロゴがチラついているのと、「Scream Aim Fire」は歌もギターも思いっきり音が下がっているのが気になってしょうがない。マットのヴォーカルはまだ仕方ないとしても、ギターソロまでガッツリ下がってしまっているから、音源の高揚感が半減してしまっているのが実にもったいなかった...

 

 

そんなこんなで楽しい時間も終了。トリはDREAM THEATERですが、プログレメタルにはさほど惹かれないのと、明日は普通に仕事があることもあって、とりあえず最初の1曲だけ観て会場を後にしました。スクリーンに映った映像のクオリティーが、2022年にしてはだいぶチープだったのが気になったな...(あの展望台にある双眼鏡みたいなの何?)

 

規模も縮小され、メンツも豪華というほどではなく、さらにコロナの感染者が増えているという実情もあってか、フェスとしてはやや寂しい客入りだったことは否めませんが、それでもまたこういった海外メタルフェスが帰ってきた実感を味わえたのは、貴重な体験でしたね。

 

次のDownload Japanは早速来年の春に予定されているということなので、これからまた少しずつ以前の海外アーティストのライヴが観られる形になっていくといいですね。さらに言うなら好きなバンドの時だけでもモッシュピットの中に混ざれるようになりたいもんです。モッシュの感覚、もうだいぶ忘れてるもんな...

8/11 ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022 at 千葉市蘇我スポーツ公園

え〜〜どうも、ひっさしぶりのブログ更新です。

 

ここまで更新ペースが落ちているのは、まあ以前も書きましたが仕事が忙しくてブログに向き合う時間がないからです。

 

完全に残業が常態化して、休日出勤もまだまだわんさか。あ〜〜〜やだやだ。9mm Parabellum Bullet「Sleepwalk」の"増え続けるのは日付と溜め息"というフレーズが刺さりますわ。

 

閑話休題

邦楽の祭典・ROCK IN JAPAN FESTIVALに行ってきました。5日間あるうちのちょうど真ん中、8/11のみの参加です。

 

国内トップクラスの規模と知名度を持つこのフェス、過去20回も開催されてきた歴史あるフェスですが、僕はこの21回目が初めてのロッキン。

 

今までずっと行かなかったのは、まあ身も蓋もない言い方をしてしまうと、茨城遠征までして観るほどのメンツではないから、というもの(笑) 

 


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2008年のBRAHMANこそ「このライヴを生で体感したかった...」と思わせる凄まじいものでしたが、正直これクラスのライヴを観せてくれるバンドが、今のロキノン系と称されるアーティストにいるのかな...?という、だいぶ失礼な思いが頭の中にあって、正直自分には縁の無い祭典だと思ってました。

 

しかし、やはり日本に生まれたロックファンとしては、どこかしら憧れというか、「一回は行っとくべきだよな」という気持ちがあったのも事実。行けば行ったで良い思い出になるんだろうな...とは思っていました。

 

そんなロッキンが、今年はJAPAN JAMと同会場の蘇我スポーツ公園にて行われるとのこと。蘇我も決して近いとは言えない場所ですが、東京近郊住みの僕からすれば、ひたちなかとは比べ物にならないほど好アクセス。総武快速使えば一気に行けますからね。ここなら参加へのハードルはガツンと下がるというもの。

 

さらに皆さんもご存知の通り、このフェスは2020年、2021年と2年にわたって中止の憂き目に遭っています。新型コロナウイルスが流行ってまもない2020年はまだしも、2021年は開催1ヶ月前という時期になって、地元の医師会だか何だかから、突如脅迫めいた要望を出されハシゴを外された(?)という、あまりにも気の毒な仕打ちを受けている。

 

音楽ファンの端くれとしては、やはりこういったライヴ・フェスを運営する企業には儲かってもらわなきゃ困るわけですし、rockin'onにちょっとでも金を落とせたらと、そういう気持ちも少なからずあり、1日のみではありますが足を運ぼうと思った次第です。

 

前日はここ最近の忙しさもあり当然ながら残業。早く帰って体調万全の状態にしたかったのですが、早くもその目論見が崩された感じ。

 

しかしそんなことでめげることはなく、祝日ながら頑張って早起きし電車に乗り込む。蘇我まで直通でいける総武快速の中は、当然ながらこれからロッキンに行くってナリの人たちがたくさん。

 

混雑緩和のため参加者の入場時間はざっくりと分けられており、僕は8:30〜9:00の部。時間ちょうどくらいに会場の蘇我スポーツ公園に到着したのですが、もうこの時点でかなりの人が入場列で待機していました。さすが日本トップクラスのフェスだ。

 

ただ、これだけたくさんの人だかりになっていても入場自体は比較的スムーズ。それほど待たされることもなくすんなり会場入りできました。LOUD PARKもこれくらい快適だったらな(ーoー)ボソッ

 

とりあえず最初のアクトまで時間があるので、会場内を一通り散策。GLASS STAGEとLOTUS STAGEという大きめのステージが芝生エリアを挟んで向かい合っており、その隣には大きめの飲食スペース、さらにそこを抜けるとPARK STAGEとHILLSIDE STAGEという小さめのステージが並び立つ。

 

 

どどーんと大きなライヴセットを目にすると「夏フェス来たな〜!」って感じがしていいですね。開放感ある芝生もあって天気も良いし、清々しい。

 

ただ、PARK STAGEとHILLSIDE STAGEは、隅に追いやられているかのような立地もさることながら、規模がだいぶ小さめで、いかにもサブステって印象。

 

比較的空いている時間帯なので、早速フードエリアへと直行。朝も何も食べてないし、何より久しぶりのフェス飯ですからね。金銭感覚をバグらせていこうじゃないですか。

 

フワッフワのかき氷。暑い日はやっぱりこれを食わなきゃいかん。フワッフワすぎて、口の中でシュルシュル溶けてしまい、ちょっと損した気分にもなる(笑)

 

フェスお得意のいちごけずり。美味いけど上のクリームがちょっとぬるかった。

 

美味い。

フェスで何度も僕の心を鷲掴みにしたマンゴースムージー。やはり美味い。この神の液体を飲み干さなければ、俺の夏は始まらない。

 

腹に溜めるならこういうのも食わなきゃね。

 

十分に腹ごしらえしつつ、10時にLOTUS STAGEへ向かうと、rocking'onの代表の方が挨拶をして、オープニングアクトの紹介をしている。高校生アマチュアバンドの大会で優勝し、このステージに立てる切符を手にしたのだとか。

 

Maverick Momという4人組のバンドで、ドラムは10代らしい垢抜けないルックス(辺りから頻繁に可愛いと声が上がっていた)ながら、普通にソロとか上手い。そしてベースは俺より年上なのかと思うくらいに渋い見た目をしている。

 

当然MCとかはこなれてない感じなのですが(それでも十分喋れてましたが)、こんな大舞台なのに普通に演奏がしっかりしていて、オーディエンスの体を揺らし、クラップを誘発させるなど躍動。10コも下の子がこんな立派に大役を果たすなんて凄いとしか言いようがない。

 

そして開始時間を見計らって、最初の目的であるCreepy Nutsを観にLOTUS STAGEへ。開演15分くらい前に移動しましたが、やはり高い注目度ゆえか、すでにかなりの人だかりとなっており、ステージをまともに視認するのは困難な状態になっていました。

 

 

Creepy Nuts

大ブレイクを果たした二人組ヒップホップユニット。仮にもロックフェスなのに、出だしがヒップホップになっていいのかという思いもありつつ、このフェスにおいて細かいジャンル区分はどうでもいいでしょう。

 

しかしここでまさかの事態が。先ほどまでかなりの日光が降り注ぐ晴天だったのに、灰色の分厚い雲が登場して、ライヴの開幕と同時に雨が降り出す(マジでドンピシャのタイミングでした)

 

当初は「暑い日だったから、これくらいの細かい雨だったらむしろ気持ち良くてありがたいな」なんて思っていたのですが、そこからどんどん雨足が強くなっていき、ついには本降りと言い切ってしまえるほどの降り方に。もう髪の毛もTシャツもベッシャベシャ。なんでだよ!さっきまでスッキリ晴れてたじゃねえかよ!

 

しかし、野外のライヴでビショ濡れになりながらフロウに体を揺らすのは、なんだか非日常の多幸感に溢れていて、これはこれで良いんじゃないか?そんなことを思いながら「よふかしのうた」を聴いていました。

 

R-指定さんがMCで「久しぶりだな!大雨の野外フェス!こんな雨でも楽しめる方法をお前たちは知ってるはず!」と、横殴りの雨に打たれながら「2way nice guy」へと移行したのですが......

 

その時に見計らったかのように晴れ間が顔を覗かせ、一気に雨が遠のいていく。「過ぎ去った嵐の後」というフレーズがある歌を歌っている最中に天気が回復するという、奇跡的なタイミングだったためか、思わずあちこちから歓声が。こういうのを「持ってる」って言うんだろうな。

 

さすがにここまでベストなタイミングで天気が変わるのは驚きだったのか、曲終わりでは「天気ってこんなに早く変わるものなの?」「こういう演出だったんじゃないの?」と、舞台上の二人もなんだか嬉しそう。

 

この日は彼ら以外にもラップ、ヒップホップアーティストが多いというラインナップであり、そんな他出演者に対抗するボースティングとして、最初から最後まで怒涛のリリックで攻め立てる「生業」をラストに添える。みんな楽しいフェスティバルという舞台において、あえて歌モノではなくゴロゴリのラップで締めるところに、彼らのヒップホッパーとしての矜持みたいなものがあるのかもしれない。

 

 

NUBMER GIRL

今日まで活動する数多くの邦楽アーティストに多大なる影響を与えた、国産オルタナの重鎮のような存在。

 

正直なところ僕は彼らに対して思い入れみたいなものはなく(そもそも世代じゃないし)、曲だって「透明少女」くらいしか知らない。

 

とはいえ、いわゆるロキノン系バンドの元祖のような存在ですから、ロキノンフェスであるこの舞台でちょっと観てみたかった。フェスくらいでしか観られる機会もなさそうですしね。

 

登場SEもなく、静か〜にテクテク歩いてメンバーが登場。上手側の前方に陣取っていて、そこまで人も密集していないため、本日一番ステージングがよく見えました。

 

パフォーマンスについては、本日観たアクトの中で最も落ち着いて、そこまで大きなアクションや派手なことをすることはない。MCも自己紹介・メンバー紹介・曲紹介くらいしかなく、たまにヴォーカルの向井さんが「千葉ッ!」と叫ぶくらい。大御所ですし、バンドのスタイル的にそこまではっちゃける必要もない感じ。ドラムは結構アグレッシヴでしたが。

 

そんな中でも存在感が強かったのはギターの田淵さんで、時折前に出てきてはグッと屈んでギターソロをギャンギャンにかき鳴らす。決して難しい速弾きをしてるとか、そんな感じではないんですが、プレイ自体に華があって視線を惹きつけられますね。

 

続け様に淡々と曲が消化されていきましたが、こうやって聴いてみて、特に「透明少女」が飛び抜けて良い曲とは思わなかったかなあ。

 

 

NUBMER GIRL終演後は、次に観たいTHE BACK HORNまでだいぶ長めのインターバル。さすがに暑っついのでまたまたかき氷を食す。

 

特に考えもせずにイチゴ味にしましたが、どうやらここのかき氷は果実をそのまま使ったシロップが売りらしく、イチゴシロップ入りかき氷は、さっき食べたいちごけずりと味がダブってしまう。完全なチョイスミスだ。

 

その後はLOTUS STAGEとGLASS STAGEの間にある芝生に座り込みながら、合間にやっている04 Limited SazabysとMY FIRST STORYをのんびり鑑賞。といっても肉眼で見える距離ではないので、ステージ横の大型モニター頼りでしたが。

 

失礼ながらこの二組は、前者はチャラめのアイドルバンド、後者はONE OK ROCKのヴォーカルの弟がやってるバンド、それ以上の認識は無かったのですが、ライヴでの楽曲を聴いていると割と印象が良く聴こえる瞬間も多い。

 

04 Limited Sazabysは、意外にも全英語詞の本格的な疾走メロコアもプレイしていて、ドラムのタイトな疾走感がなかなか心地よい。まあそれでも個人的な感覚からすると、ちゃんとメロコアとして聴くにはメロディーの青臭さが強すぎるのと、ヴォーカルの声が可愛らしすぎるので、違和感が拭えないのだけれど。

 

MY FIRST STORYはやたらスラップを多用するベースに、骨太なギターによりサウンド面がなかなかカッコいい。シャウトと共に爆走する瞬間もあったりして、正直海外のポップス、アリーナロック的なサウンドに変貌した今のワンオクより自分の感性に合うかもしれん。ただ、なまじバンドサウンドの圧が強いがために、高音主体の掠れ気味なヴォーカルがどうしても弱く感じられてしまうのがネックだな...。

 

 

THE BACK HORN

MY FIRST STORYが終わった段階で、次に向かうのはPARK STAGE。ずっと立ちっぱなしだった足も、芝生に座り込んでたおかげでだいぶ回復しました。

 

THE BACK HORNが登場するのは、フードエリアを挟んだPARK STAGE。何気に距離があって大変ですが、全体的にチャラめなメンツが多いこの日において、数少ない"漢"を感じさせるバンドなので、これは観ないわけにはいかない。

 

ちょうどステージ正面くらいに位置する場所に待機。メンバーが登壇し、サウンドチェックを済ませてからライヴがスタート。白一色で短パンの岡峰さんが何だか新鮮。

 

最新作のオープニングナンバーである「ユートピア」からスタートし、潰れたような歪みのギターと、非常にテクニカルなベースが、タイトなリズムに引っ張られてサウンドを形成していく。全身全霊・全力投球なライヴパフォーマンスは相変わらず男らしくてカッコいい。音響がなかなか良くて、全楽器バランス良く聴こえたのも良かった(ソロになるとだいぶベースの音量が大きくなりましたが)

 

しかし、そんなバンドサウンドの良さに反して、山田さんのヴォーカルはなかなか厳しかった...!2曲目の「シンフォニア」の時点でメチャクチャ声を出しづらそうにしており、お立ち台に片足を乗っけて、顔を歪めて圧す!......のですが、肝心の歌声がかなり引っ込み気味。

 

バンド随一のキラーチューンである「コバルトブルー」において、その調子の悪さはMAXに至り、2番のサビなんかはガッツリと音が下がりロングトーンが伸びない!

 

この曲はもちろんテンションが上がるのですが、それと同時に彼の喉への心配も強くなる。「おいおい、喉大丈夫か...?」という思いが頭をもたげて、フルマックスで楽しみきれんよ。

 

最後の「太陽の花」においては、多少は調子は戻ったかな...?とは思いましたが、どうも彼のコンディションが心配だ...。以前豊洲で彼らのライヴを観た時も調子悪めで、その後喉のトラブルにより療養期間に入りましたが、それと似たようなことが起きなければ良いのですが。

 

 

9mm Parabellum Bullet

THE BACK HORNのライヴが終わってすぐに、隣のステージで9mmのパフォーマンスが始まる。ファン層がだいぶ被っていると思しき2バンドだけに、僕だけでなく多くの人が、横にスライドするように移動していました。

 

サウンドチェック時に「(teenage) Disaster」とTHE BACK HORNの「コバルトブルー」をちょろっと演奏してから、Atari teenage riotのSEが流れ、おなじみ「Black Market Blues」が始まる。

 

ギターの滝さんがジストニアを患ってからというものの、ライヴはサポートギタリストを帯同させていた彼らですが、今回はメンバー4人のみの演奏。もうサポートは必要ないくらいには回復したのでしょうか。

 

シングル曲が大半を占めるセットリストは、意外性こそなかったものの、どれもこれも珠玉の名曲ばかり。研ぎ澄まされた演奏とダイナミックなパフォーマンスによって、最高潮の熱狂を演出する......はずなのだが。

 

先ほどのTHE BACK HORNのステージと対照的に、こちらは音響面でかなり損をしていた感じでした。まず滝さんの特徴的な歪みをかけたギターの音がかなり汚く、それでいて音量が大きくなったり小さくなったりと波があり、数少ない和彦さんのシャウトもイマイチ通りが悪いし、どうも安定しない。PAどうしたよ。

 

せっかくの9mmの強みである、切れ味鋭いギターリフの魅力が、この音響のせいでうまく味わえないのが残念。その代わりと言ってはなんですが、卓郎さんのヴォーカルは非常に安定していて、歌謡的なメロディーの妙はしっかりと出ていたな。

 

今月発表される新作から、新曲である「All We Need Is Summer Day」をプレイされる。これがまた9mmらしい歌謡クサメロがイントロから炸裂していて、新作への期待も高まりました。シンガロングは流石に滝さん一人だったので、ちょっと薄いのが物足りなかったですが。

 

 

マキシマム ザ ホルモン

9mmを全部観終わってから、すぐさまLOTUS STAGEへ移動。間髪入れずにホルモンのライヴ時間になってしまうから、ここは少し急ぎめで。

 

トリのバンプを別格とすると、本日のラインナップでは最も集客が見込めそうなくらいの人気バンドな訳ですから、当然ながらスペースは人がギッチリ。それでも上手側前方は多少人数が絞れていたのでそこへ位置取る。メンバーの姿は人と人の間からチラチラ見える程度ですが、このくらい視認できるだけでも充分でしょう。この人の多さなら。

 

maximum the hormone」からスタートしたライヴは、基本的には以前までフェスで聴いてきた楽曲で締められており、新鮮味はあまりない。しかしどれもヘヴィでアグレッシヴ、かつ最高にメロディックな名曲ばかりなので当然テンションは上がる。

 

ヘヴィでダーク、かつメロディアスなホルモンの強みが活きた「シミ」はやはり素晴らしく、ダイスケはんのAメロの捲し立てでは、高速のヘドバンでバンドのパフォーマンスに応える。

 

映像を使ってボケ倒したりすることも多い彼らですが、本日は3年ぶりの悲願の開催ということもあってか、いつにも増して真面目なMCを披露。ダイスケはんが「元々はひたちなかという大海原を進んでいた船が、今年は蘇我という海へ出た。そんな航海に一緒に着いてきてくれる仲間を紹介する」と、恐らく当日ブースを出展していたワンピースの映画になぞらえて、ホルモンのライヴとしては珍しい特別ゲストを呼ぶことに。

 

そしてステージ下手側から登場したのは、Creepy NutsのR-指定さん。Creepy Nutsを組む前のソロアルバムで、ホルモンの「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」をサンプリングしていたように、昔からホルモンの音楽に触れていたらしく、本人曰く「この光景を昔の自分が見たら、カビの生えたカラオケボックスの中で中でブチ上がっていた」とのこと。

 

そこからスタートする「爪爪爪(相変わらずライヴだと、イントロのギターリフの段階では曲がわかりにくい)、コラボした割にはR-指定さんの出番はそこまで多くはなかった印象ですが、クライマックスでは流石のマシンガンラップを披露。ヘヴィパートでは自慢の長髪を振り乱し、どことなく亮君と被る。

 

しかし「爪爪爪」をはじめ、「恋のメガラバ」に「ぶっ生き返す!!」と、中高生の時に狂ったように聴いていたアンセムを生で聴きながらヘドバンできるのは、やはり他に類を見ない高揚感に包まれますね。ヘヴィでありながらメチャクチャキャッチーな楽曲の魅力は、あの頃から10年以上経っても色褪せることはない。

 

不満としては、僕が上手側の方に陣取っていたからか、左のスピーカーに対応していると思われる上ちゃんのベースがなかなか聴こえず(近くにいた女性二人組も「真ん中の方がバランス良いかもね〜」と言ってた)、彼の代名詞であるスラップがほとんど味わえなかったことかな。特に「ぶっ生き返す!!」なんてスラップ大盤振る舞いの楽曲なだけに。

 

 

BUMP OF CHICKEN

トリとなるバンプまで結構時間が空くので、ここで最後のマンゴースムージータイム。PARK STAGEから聴こえるストレイテナーサウンドに包まれながら、この神の液体をじっくり味わう...

 

この辺りになると日もかなり暮れてきていて、嫌でも祭りの終わりを実感させられる。情緒があっていいけど、やっぱりちょっと寂しいな。

 

GRASS STAGEでやってるsumikaを聴きながら、最後のLOTUS STAGEで待機。やはりトリ、かつ本日のラインナップでも屈指の知名度を誇るアクトだけに、当然ながらかなりの人だかり。僕の位置からじゃメンバーの姿はほとんど見えない。

 

2000年代にバンド音楽を好きになった人としては、RADWIMPSASIAN KUNG-FU GENERATIONELLEGARDENとかと並んで、好きで当然、ハマって当然な存在である彼ら。しかしパンク・メロコア系統のサウンドから本格的にバンドにハマった僕としてはほとんど触れてきておらず(というか前述したバンド群で唯一ちゃんと聴いてるのはELLEGARDENくらい)、知ってる曲も有名どころばかりといったところ。

 

そんなわけで是が非でも観たい!というモチベはなかったんですが、こういった機会でもない限り観られない存在ですし、ドーム公演とかもやれてしまうバンドのライヴってだけで、観る価値はあるだろうと。

 

先ほどのマキシマム ザ ホルモンがかなりアッパーで激しいステージングだったのに対し、メンバーのアクションは派手さとは無縁。唯一ステージ端まで移動してアピールしていたベースの直井さん(なぜかアキラのTシャツ着用)は比較的"動"のパフォーマンスが目立ちましたが、それ以外のメンバーは激しさが皆無。

 

本人もそれを自覚しているのか、ヴォーカルの藤原さんは「さっきホルモンがバチバチにアゲてくれたんでしょ?ごめんね、その後に俺らみたいな暗い奴らが出てきて」と、なんだか申し訳なさそうなことをMCで話していました。

 

ギターもヘヴィな歪みはカケラもなく、やはりロックに激情や衝動を求めている僕としては、どうしても平坦な感じは受けてしまいます。

 

とはいえ数少ない知っている曲である「天体観測」「花の名」「K」あたりを聴けたのは良かった(欲を言えば「カルマ」あたりも欲しかった)

 

特に「花の名」は、すっかり日が落ちてゆっくりと雲が動いているのがわかる空に満月が浮かび、オレンジ色の照明が煌々と照らされている中、ゆったりと歌に聴き浸るという時間帯となり、ラストアクトとしての寂しさが十二分に演出されている。シチュエーション完璧。

 

最後まで動かず観ていたい気持ちもあったものの、前方付近の規制退場に巻き込まれてしまうと、蘇我駅に到着するのが相当に遅くなってしまいそうなので、最後の曲が終わった後にそそくさと後方へと移動。アンコールとなった「ray」は、LOTUS STAGE後ろの芝生で観ていました。人混みじゃない分こっちの方が快適だったかもなあ。どうせ近くてもステージはほぼ見えないんだし。

 

最後に披露された「ray」、CD屋でバイトしてた頃に何となく聴いたことがあるような気がしたものの、ほとんど知らない曲だったのですが、なかなか良いメロディーだな〜と聴きながら思ってました。初音ミクコラボの曲なんですねこれ。

 

曲が全て終わった後に、藤原さんが一人で舞台上に出てきて「ここまでの2年間、音楽っていうエンタメは厳しい状況に立たされていたけど、今日こうやってフェスができたのは、この音楽を守り続けてくれたみんなのおかげです。ここにいるみんなに、今日一番の大きな拍手をください」と語りかけ、ステージ後方に花火が打ち上がって、ひと夏の祭りを締めくくりました。

 

ちなみにその時に「もう汗乾いてると思うけど、この後また汗かいて、電車の冷房とかで冷やされちゃうと思うから、ちゃんと風呂入るんだよ」と、ロックミュージシャンとは思えぬ優しい心配をしていたのが、何だか印象に残りました(笑)

 

 

その後は千葉駅行きの無料シャトルバスが出ているのがわかり、蘇我駅へは向かわずバスの待機列に並ぶ方へ変更。やっったら長蛇の列になっているものの、増便によるバス数の増加によるものか、想定よりも短い時間で乗り込め、無事に千葉駅まで到着しました。

 

こうして人生初のロッキンは終了。ひたちなかとは違う会場のため、本当に「ロッキンに行った」と言っていいのか、どうしても以前行ったJAPAN JAMっぽい雰囲気があったと思ってしまうのも事実ですが、まあロッキンの名を持つフェスなのだから細かいことはいいのだ。

 

LOUD PARKや、それこそこの3日後に行われたDownload Japanと違って、全アクトしっかりと観なきゃ!って思いはなかったものの、それ故に会場をぶらついてフェスの雰囲気を味わう楽しみ方も十分にできただけに、トータルの満足度は高かかったです。

 

今後もまだ蘇我でやるっていうのであれば、多少メンツの影響はあるものの、今後も足を運ぶ選択をするのも検討しようかな。チケットが取れるかどうかは別として。

 

なお、日焼け止めなんていう気の利いたモノなんか持っていない僕、当然のことながら二の腕と首元、マスクで隠れていない目元に尋常じゃない日焼けを発症したのは言うまでもない。8/14にDownload Japanに来ていたみなさん、当日会場で「やたら腕とか目元が真っ赤なヤツがいるな〜」なんて思ったとしたら、それ僕です。

THOUSAND EYES 『BETRAYER』

  • メンバーチェンジと腕の故障を経ての最新作
  • 従来から全くブレない慟哭を貫くデスラッシュ
  • ミドル曲の存在も大きく、突き抜けっぷりは少々控えめ

 

慟哭の暴君、帰還。

 

中心人物であるKOUTAさんの腕の故障や、ドラマーのFUMIYAさんの脱退などを乗り越えて新体制となった、日本が世界に誇れるメロディックデスラッシュバンド・THOUSAND EYESの待望の4thアルバム。

 

前作『DAY OF SALVATION』時には自身のレーベルを立ち上げていたのですが、本作は国産インディーズメタルを数多く手掛けるワルキューレレコードからリリースされています。せっかく自主レーベル作ったのに何ででしょう。

 

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FUMIYAさんに代わり加入したドラマーのYU-TOさんは、FUMIYAさんのような多彩で鮮やかなスタイルよりも、もっとストレートで剛直なタイプとのことですが、本作を聴く限りリズム隊のクオリティーは申し分無し。

 

とはいえ確かに、ド派手に乱舞するドラミングを展開していたFUMIYAさんと比べて、YU-TOさんのプレイは幾分シンプルに感じられる。突進力はピカイチで、時折挟まれる超高速のバスドラ連打、およびブラストビートは迫力満点のため、個人的には不満は無いのですが、この変化をして面白みが減ったと感じる人も中にはいるかもしれません。

 

そしてキモであるツインギター、怒れるヴォーカルには寸分の狂いもありません。怒りを放ちサウンドに激情をもたらすヴォーカルとアグレッシヴなリフ、そこへ強烈な泣きを帯びたリードギターが加わり、天を突くかのようにどこまでも狂い鳴いていく...。劇的で悲痛な悲しみと怒りのコンビネーション、相変わらず恐るべき完成度。

 

M1「Garden Of Thorns」は、ヘヴィで切れ味鋭いギターリフで疾走し、凶暴極まりないヴォーカルの咆哮が合わさって、サビに至る頃には哀しみに満ちたリードギターが暴れたおし曲タ、イトルのシンガロングが繰り出される、THOUSAND EYESの王道とも呼べる曲。オープニングから期待にバッチリ応えてくれる。

 

タイトルトラックであるM5「Betrayer」や、インストのM8「Vanishing Hope」を挟んでからのM9「Crimson Sentinel」あたりは、THOUSAND EYESというバンド名に期待される哀愁・激情・疾走が揃った見事な慟哭デスラッシュナンバー。こういった楽曲をアルバム各所に配置してくれる構成も見事。特にM9は後半にかけてのハイライトになり得る名曲じゃないでしょうか。狂おしいほどの哀しみを描くギターがたまらん。

 

デスラッシュというジャンルはやはりスピード感が大事になってくるはずですが、本作は何気に疾走に頼らない、ミドル〜アップテンポの曲の存在感も大きい。先行配信されたM3「Everlasting Trail」は、往年のIN FLAMESっぽさのあるギターが非常に耳に残るメロディーを奏で(制作初期の段階ではIN FLAMESのモロパクリのような曲だったらしい)、M10「Shadow Dancer」でも一度聴いただけで彼らのものとわかるような、クサいギターのメロディーが終始鳴り止まない。

 

全編通して「さすが俺たちのTHOUSAND EYES!」と称賛できる、激情慟哭エクストリームメタルを貫いていて、彼らのスタンスのブレなさ、および楽曲制作能力の高さが今一度認識できる。

 

楽曲の平均的なクオリティーは文句なしといえますが、しいて言うなら過去作にあったアルバムを代表するほどの抜きん出たキラーチューンが欲しかったかな。「DEAD NIGHT, MOONLIGHT」「ONE THOUSAND EYES」「RAMPAGE TYRANT」のような超強力デスラッシュがあれば、さらにアルバムの印象が締まったものになったかと。

 

前述したM5やM9といったキラーもあるのですが、過去三作(特に前作、前々作)と比べると、カッチリとまとまった印象が強く、有無を言わせぬ突き抜けっぷりは少し鳴りを潜めた感があるので。これは過去作が全て同一路線だったことによる、リスナー側の慣れの問題もあるかもしれません。

 

なお、僕が買ったデラックスエディションは二枚組であり、ボーナストラックやデモ音源、過去曲のアコースティックアレンジが収録されたディスクは、オマケとしてはなかなかボリュームがありお得です。

 

本編に入れても違和感の無いような強力なナンバーから、このバンドとしては珍しいピアノとギターのユニゾンが聴ける曲もあって、ボーナスだからって舐めた出来にはなっていません。デモ音源だけにヴォーカルは小さめですが。

 

以前のブログ記事で書いた通り、ここ最近は仕事が忙しく、残業・休日出勤当たり前の状態になってきて、つい先日なんか、土曜の朝から出社して昼過ぎくらいに帰れる仕事に着手したのですが、同行する作業員がチンタラチンタラ不具合の調査に時間をかけ、予定スケジュールが延びに延び、終わった頃には終電の無い深夜帯にまでなるという、実にファックな出来事があったんですね。

 

そんなフラストレーションの溜まりがちなここ最近の自分の精神に、ネガティヴな感情を浄化させてくれる彼らの楽曲は、これ以上ないほどの優れたサウンドトラックになるのです。

 

 

個人的に本作は

"全くブレない千眼流デスラッシュを貫く安定&ハイクオリティーな出来。ミドルから疾走まで慟哭は止まない"

という感じです。

 


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NO USE FOR A NAME 『The Feel Good Record Of The Year』

  • ベテランパンクバンドのラストアルバム
  • 全曲にわたって共通する哀愁の美メロ
  • 日本のエモ/メロコアバンドに多大な影響を与えた叙情性

 

ちょうど亡くなってから10年が経つのか...と思い、ここ数日はよくNO USE FOR A NAMEをよく聴いてます。

 

アメリカ西海岸パンクの代表的存在であり、ここ日本のメロディックハードコアバンドにも多大な影響を与えたNO USE FOR A NAME。そのフロントマンであり、メインソングライターであるトニー・スライは、今から10年前の2012年7月31日にこの世を去りました。

 

当時僕は高校3年生、メロディックハードコアというジャンルに入れ込んでおり(メタルはさして知らなかった時期)、もちろんこのニュースを聞いたときは驚いたものです。

 

ただ、そのときは国内のバンドを追うばかりで手一杯というか、あまり海外のパンク事情について追っているわけではなく、せいぜい「名前くらいなら知ってる芸能人の訃報」くらいのテンションであり、さほど大きなショックは受けていなかったというのが実際のところ。

 

その後大学時代にアルバイトを始めて経済的な余裕が多少生まれるようになり、過去の名盤を買いやすくなったことで彼らの音楽に本格的に触れる事が可能になりました。そこからNO USE FOR A NAMEというバンドが、いかに優れた楽曲を生み出してきた偉大なバンドであったのか、という事実を深く知っていくようになったのです。

 

2008年に発表された本作は、トニーが永眠する前に残した最後のフルアルバム。「ラストを飾るに相応しい」とも言えるし、「ここでバンドの歴史が終わってしまうなんて残念極まりない」とも言えるような、非常にクオリティー高く仕上げられた名作です。

 

海外の、特にアメリカのパンクバンドっていうと、メタリックなサウンドを取り入れアグレッシヴに攻めたり、はてはかなりポップな方向に振り切ったりといったイメージがどうしても強いんですが、本作で聴ける音はそういったスタイルとは別のもの。

 

まあ、本作でギターを弾いているデイヴ・ナシーは本作発表後にバンドから脱退し、エクストリームメタルバンド・BLEEDING THROUGHに加入する(!)だけあって、そこかしこでメタルに通じるソロを弾いたりはしているし、1stアルバム『Incognito』は、後期とはかなり距離のあるハードめなサウンドなので、パンクメタルスタイルとまったくの無縁ってわけではないんですけどね。

 

本作に収録された楽曲はどれも叙情美たっぷりのメロディーに満ちた、哀愁メロコア路線。実にフックに富んだ歌メロが盛りだくさんな内容はBAD RELIGIONとかに通じるものがありますが、土臭さや渋い男臭さが目立ちがちなあちらと異なり、よりエモコア的で、誤解を恐れずに言えば、日本のメロコアバンドに通じるようなメロディーセンスが支配的。

 

この歌メロに宿った胸焦がす叙情性、締め付けるように迫ってくる哀愁の泣きメロはかなり魅力的で、トニーのヴォーカルも実にマッチしていますね。彼らからの影響が特に大きく感じられるNorthern19のソングライターの笠原さんとかは、この哀愁にヤられてしまったクチでしょうきっと。

 

M1「Biggest Lie」はオープニングを飾るにふさわしいアグレッシヴな疾走チューンで、速弾きギターソロも飛び出す、これぞ高速メロディックといった楽曲。しかしそんな中にも歌メロは哀愁バリバリのキャッチーさがあり、こういったフックの設け方にバンドのセンスが表れています。

 

そのままM2「I Want To Be Wrong」はこれまた哀愁際立つリフに、仄暗い歌メロの出だしからサビに至るまで美しく切ない。ミドルチューンのM3「Yours To Destroy」も、淡々とした中にしっかりとメロディーが宿り、疾走曲には出せないエモコア/パワーポップ的な叙情性が煌めく。

 

アコースティックな小曲から、いかにもメロコア的な疾走曲、比較的ポップさを強めに押し出したミドル〜アップテンポの曲まで、メロディックハードコアというジャンルに期待される曲は一通り揃っており、それら全てに共通して言えることは、哀愁叙情美に満ちたメロディー。下手にポップパンクめいた能天気な明るさは皆無と言っていい。本当に全曲美メロ。ここまでメロディアスさに徹底した海外のパンクというのも珍しい。

 

捨て曲なのはもちろん存在しませんが、個人的に特に気に入ったのはM9「Night Of The Living Living」。メロディーが良いのは言わずもがなで、特に強烈なのが中盤のサビ→美麗コーラス→ギターソロにかけての一連の流れですね。どこを切っても切なさ全開のメロディーばかりで、疾走感に合わせて畳み掛けてくるのだからマジでたまらない。そこからノンストップで続くバラードのM10「Ontario」もまた心に染み入るな...

 

全14曲と、この手のジャンルのアルバムとしてはやや曲数が多いのですが、一番長い曲で3分ちょいというコンパクトさなので、スッキリ聴き通すことができるのも嬉しいところ。

 

これほどまでに優れた泣きのメロディーを生み出したトニー・スライという人物、どれほど素晴らしいソングライターであったのかが、本作をあらためて聴き込むことで、今一度思い知らされました。まさに"The Feel Good Record"というタイトルに偽り無しですね。

 

 

個人的に本作は

"全ての曲に泣きの叙情メロディーが息づいた、哀愁メロディックハードコアの決定盤。日本のメロコアに一切引けを取らない美メロの宝庫"

という感じです。

 


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トニーの死後、彼に捧げられた日本のメロコアバンドの曲。死してもなお、彼のDNAは遠く離れた島国のバンドたちに引き継がれています。

CROSSFAITH 『ZION EP』

  • 日本のインディーっぽいイモ臭さ完全消滅
  • デジタルサウンドが目立っても骨格はモダンメタルコア
  • 最初と最後にバンドを象徴する名曲

 

前回の記事はヘヴィさを排した音楽を取り上げましたからね。こっからは本腰入れてメタルを聴きましょう。

 

ただやっぱり仕事の忙しさは今後も続くので、ガッツリフルアルバムを1枚通して聴くよりも、短い時間でサッと聴ける作品というのがありがたい。そんな時に重宝するのがコレ。

 

国産メタルコア/エレクトロニコアバンド・CROSSFAITHの、2012年に発表されたEP。20分ちょいというコンパクトな1枚で、ヘヴィで攻撃的なメタルの気分だけど、あんまり長いと疲れちゃうな〜...という精神状態の時には、この上なくピッタリな作品です。

 

本作りリース前のCROSSFAITHのアルバム『The Artificial Theory For The Dramatic Beauty』および『The Dream, The Space』は、エレクトロサウンドとアグレッシヴなメタルコアの融合という点において、初期作ながらすでにバンドの指針が確立されている感がありました。

 

が、やはり初期の作品ということもあり、どことなく日本のインディーズバンドらしい垢抜けなさのようなものが漂っていました。

 

しかし本作において、そんな垢抜けなさは一変。サウンドプロデュースをLamb of GodやSUICIDE SILENCE、MISS MAY Iなどを手がけているMACHINEが行い、明らかにパワフルで引き締まったバンドサウンドへとレベルアップしているのがわかります。

 

ヘヴィなギターリフはより太く、どっしりとした重厚感を増し、単なる添え物にはならないド派手なデジタルサウンドが、ヘヴィな攻撃性を邪魔することなく絶妙に溶け込んでいる。

 

現在の彼らの音楽性はクリーンヴォーカルもふんだんに取り入れ、よりダンスミュージック的要素、ダンサブルでキャッチーな色を濃くしているので、純然たるメタルコアとは言い難い面もありますが、本作においてはあくまで楽曲の骨格はメタルコア。どれだけデジタルサウンドを入れても、重厚なメタルとしてのアイデンティティーが中心にある。これが嬉しいんですよ。

 

ヘヴィでタイトなサウンドが全面に出てきたことで、過去作にあった叙情的なメロディアスさはだいぶ希薄。良くも悪くもモダンメタルらしさ全開になり、音楽的な面白みはやや削がれた感があるのは仕方ないところですかね。その分、海外志向のメタルコアとして本格感が増したとも捉えられますし。

 

M1「Monolith」はそんな本作の特色を端的に示した名曲。印象的なシンセと、超骨太なヘヴィリフが叩きつけられるイントロが流れ出した段階で、どれほどのアグレッションが渦巻いているのかが窺い知れようというものです。

 

以前まではやや線の細さを感じさせていたKoieさんによるヴォーカルも、ここで聴けるものは一切の甘さを排除した獰猛なもの。低音グロウルから噛み付くようなシャウトまで一線級で、強烈に音圧を増したバンドサウンドに決して埋もれない存在感を放っています。

 

デジタル×ヘヴィのバランスが特に秀でたM2「Photosphere」に、ライヴで大盛り上がりになることが確約されたパーティーチューンM3「Jägerbomb」、猛烈な突進力を見せるドラムから、ハードコアモッシュの乱舞が目に浮かぶヘヴィパートまで迫力十分なM4「Quasar」と怒涛の勢いで続く様は圧巻。

 

インストのM5「Dialogue」を挟んで、最後を飾るM6「Leviathan」。これまでの楽曲で提示してきた、彼らの音楽性の集大成といえるドラマチックなメタルコアナンバー。中盤の高速リフによる疾走からのヘヴィリフの刻み、そこから静けさを伴うパートへと急転直下に移行し、劇的なラストを迎える展開はいつ聴いても痺れますね。「MIRROR」「Daybreak」と並んで、CROSSFAITH随一の名曲であることを確信しています。

 

総じてヴォーカル/サウンド両面においてイモ臭さが完全に一掃され、目に見えてクオリティーを向上させることに成功しています。2ndアルバムから1年程度でこれほどまでパワーアップするとは、やはりライヴしまくって場数を踏んだ経験が活きたのでしょうか。ついでに言うと、バンドのルックスもここらへんから一気にスタイリッシュになった感じ。

 

メタルコアというジャンルからブレず、それでいてバンドのカラーが最もバランス良く、かつハイクオリティーで配合された1枚です。楽曲の平均点は最高かも。

 

 

個人的に本作は

"デジタルサウンドによる個性と、飛躍的にレベルアップしたメタルコアの理想的融合"

という感じです。

 


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ハードなサウンドに疲れた時によく聴く楽曲7選

ここ最近のこのブログの更新頻度が下がっているのは、仕事が忙しいからだとご理解いただければと思います。

 

特に7月から9月にかけては、今動いているプロジェクトが俄然忙しさを増してくる時期で(下手すりゃ11月あたりにまで響くかもしれない。いやもっとか...?)、残業当たり前、休日出勤も頻繁にあり、深夜帯の時間制約がある作業まで...。いや〜参った参った。

 

しかも今関わっている案件のうちの一つに、やたら話が長い&嫌味ったらしい言い方する人がいる(幸い僕はメインのターゲットからは外されていますが)のも、ゲンナリさせられる要素の一つ。

 

さらにそこへ夏のうだるような暑さもプラスされ、ここ最近はなかなか「感想文が書けるくらいまでCDを聴き込む」ひいては「パソコンに腰を据えて向き合い長文を書く」という行為へのモチベーションが湧きにくかったのです。

 

まあ6年くらいやってるから、そういった時期が来るのも仕方なかろうと思っていますし、せっかく初期から比べて閲覧してくれる方がかなり増えてきているのですから、スローペースになろうともブログの更新を止めるという選択肢は取らないつもりです。

 

さて、そんな心身への疲れがたまりがちな現在の僕。こういった状態の時って、実はヘヴィメタルハードコアパンクみたいな、激しいバンドサウンドを持ち味とした音楽を聴くのが、少々難しく感じる時でもあるんですよね。

 

ハードな音楽ってエキサイトできる分、やはり聴く分にも相応のカロリーが必要になりますし、濃密な演奏をずっと鼓膜に響かせているのは、どうしても聴き疲れを誘発してしまうのも事実です。

 

そんな時は普段メインで摂取してるジャンル以外の音楽で、癒しや落ち着きを得たいというもの。特に仕事帰りの電車の中とか、帰り道にはよくそうなりますね。

 

そこで、今回は夏の暑さと仕事の忙しさに塗れた時のように、疲れた時にふと聴きたくなる楽曲を取り上げてみようかと思います。

 

 

オボロナアゲハORANGE RANGE

以前このブログでも取り上げたことがありますが、僕がバンド音楽というものに実質初めて出会ったのがこのORANGE RANGE。頻繁に聴かなくなってしまったとはいえ、やはりその存在はそんじょそこらのJ-POPアーティストとは違います。

 

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存在感あるどっしりベースラインと、三者三様の怪しげなヴォーカルが織りなす、彼らの楽曲としてはロック色の強い曲。

 

2010年ごろに自主レーベルを構えてからの彼らは、ソニーミュージックブイブイいわせていた頃のチャラチャラポップス加減はかなり落ち着いて、よく言えばバンドらしく、悪く言えばとっつきにくい感じになった印象があります。

 

サブスクでサラッと聴くくらいしかしてないので、あまり偉そうなことは言えないのですが、ソニー時代のわかりやす〜いサウンドからだいぶ様変わりしてて、一般ウケはしなさそうな曲が多く、メジャーに媚びずにバンドらしい活動に切り替えたことへの好感度はあったものの、まあ個人的にはあまり琴線に響くタイプではなかったです。

 

しかしこの曲は、一時期の弾ける陽キャっぽさこそ低いものの、歌モノのJ-ROCKとしてなかなかフックに富み、太いベースのサウンドが聴いてて心地いいんですよ。ラストの"ひらひら 花弁 舞い散る"のフレーズは、どうにもマネしたくなるようなキャッチーさがあって良き。

 

 

「ウェカピポ」 SOUL'd OUT

すでに解散した日本のヒップホップグループの代表曲。

 

彼らの存在自体はCDショップでバイトしていた学生時代の頃から知っていて、「ダサいジャケットのアルバムを出すグループ」と認知してました(笑)

 

そんな彼らの曲を聴いてみようかと思ったのは......とっても恥ずかしながら、この動画がきっかけでした。

 


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彼らの音楽、ひいてはDiggy-MO'さんの熱烈なファンからは殺されそうだ...すんませんすんません。

 

当初はただ単に爆笑していただけだったんですが、次第に「どんな歌い方してる人なんだよ」と興味が湧き出し、Spotifyに登録してから代表曲である「ウェカピポ」を聴いてみて「すごく特徴的なラップするんだな」とポジティヴな驚きを覚えたものです。

 

ラップという唱法、およびヒップホップというジャンル自体が、リズムによる気持ちよさを味わうものだと思うんですが(ですよね?)、彼のラップはメチャクチャ癖がありつつも、響きの気持ちよさが素晴らしくてスッと鼓膜に入ってくる感じ。

 

この手の音楽には門外漢の僕ですが(むしろJ-POPで使われるラップは気恥ずかしいとすら思ってる)日本語ラップによる快感というものを初めてしっかり味わえたような気がします。

 

あと上の動画にあった"猿 見たことない骨ガメている ケツ見てる鑑真"が、モロに「To All The Dreamers」だということがわかるようになりました(笑)

 

以前感想文を上げたCreepy Nutsのアルバムも普通に聴けてるし、こりゃ僕も日本語ラップの苦手意識が薄れてきたんだな!なんて思っていましたが、最近YouTubeの広告でよく出てくる「モンスター娘TD」のラップ風CMはウザったくてしょうがない(笑)

 

 

葛飾ラプソディー」 堂島孝平

みなさんご存知、こち亀の曲です。

 

僕は特にこち亀の漫画やアニメを見ていた訳ではないので(両さんと中川が電車のホームで握手して、中川がいつまで経っても手を離さず、そのまま両さんも電車内に引っ張り込まれる回を見て爆笑した記憶はある)、特に思い入れがある曲ではないですけど、このなんとも言えない郷愁というか、哀愁が気持ちいいですよね。

 

夕日と日本家屋、ゆったりした川や電車を見ながら散歩している時に聴いてみたら最高だろうなと。実際に葛飾に行く機会があったら、この曲をBGMにして歩きたい。

 

昔は日本的な風情を感じさせる景色とか、下町みたいな人情味ある風景とか、そういったものにはさして興味を持つタイプではなかったんですが、年齢を重ねるごとにそういった景色が魅力的に思えるようになりました。この曲はその風景を脳内に描きやすいから好き。

 

葛飾区とは全然関係ないけど、子供の頃、父に連れられて北海道の利尻島礼文島に行った際、父が「俺はこういう田舎っぽい風景が好きなんだよ」と言っており、当初はイマイチピンとこなかったのですが、今ならその気持ちが少しわかるなぁ...としみじみ。

 

 

1/6の夢旅人樋口了一

 

みなさんご存知、水曜どうでしょうの曲です。

 

先ほどのこち亀と同様、僕は水曜どうでしょうを見てきた訳ではないので(札幌に住んでいたのに)、これまたリリース当初から思い入れがある曲ではないです。そもそも僕が札幌に住み始めた同年にレギュラー放送終わってますし。

 

ただネットが発達していくにつれて、「自分が住んでる北海道を舞台とした面白い番組がある」という情報は得ることができ、当時DVDも買うお金のない学生の僕は、ニコニコ動画にアップされた違法動画を見るという、決して誉められたやり方ではない方法で断片的に視聴したものです。

 

内村プロデュースとかにも同じことが言えますが、このような番組を大学生くらいの年齢でリアルタイムで視聴できた人がたまに羨ましくなります。

 

まあそんな番組の思い出云々関係なく、どこか外へお出かけしたくなるような、絶妙なワクワク感に満ちた楽曲。土日にあてもなく出かけて、散歩したり電車乗ったりしたくなりますね。

 

なお、この曲は作者である樋口さんが同じメロディーをV6の楽曲に提供したことで、権利問題がめんどくさいことになり、歌詞はほぼそのままにメロディーが一新された2002年バージョンが製作されたという経緯があります。両方とも良い曲で、気分によって聴き分けてる感じです。

 

 

「Right?」 日向坂46

こちらもORANGE RANGE同様、以前ブログで取り上げましたね。東京ドーム公演も成功させて、ノリにノってるアイドルグループです。

 

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この曲はグループの中でも年少組である三期生4人による楽曲。テンポが軽快なのと、アコギを中心としたバッキングが終始軽やか、少数精鋭ユニットだから他の楽曲と比べて声の層が薄いという点が重なり、とっても耳馴染みしやすいのがポイント。

 

いや、このグループの楽曲に聴き疲れを誘発するほど情報量の多いものってないと思うんですが(笑)、特に聴きやすさのハードルが低く、ストレス無く染みるのはこの曲がベストかなと思うんです。

 

単に自分の好みという話であれば、ギターソロとスラップベースまで飛び出す(ギターはともかくベースはバックのチョイ役にしかなってませんが...)日向坂流疾走メロコア(?)と呼べるような「好きということは...」の方が近いんですが、疲れた時にふと聴きたくなる、という点ではこちらの方に軍配が上がるかな。

 

ちなみにコロナが流行り出してからというものの、節目となるような大きなライヴは生配信をしてくれるのが多くなり、僕もちょいちょい見てるんですが、どうも僕が見る際は三期生楽曲の中で、この曲が歌われること少ないんですよね。昨日のW-KEYAKI FESの配信でも「夏ジャム」と「ゴーフル」はやったのに、これはやんなかったし。

 

 

「ひとりごつ」 ハチワレ

Twitterにおけるかわいい系漫画界で大革命を起こしている「ちいかわ」。

 

僕はもともと作者ナガノさんの「自分ツッコミくま」が好きだったこともあり、最初期のちいかわのツイートも見ていたのですが、その時はまさかここまでの一大コンテンツになるとは思いもしませんでした。

 

この手のコンテンツは他にも「可愛い嘘のカワウソ」「コウペンちゃん」「ちこまる」「おぱんちゅうさぎ」など色々ありますが、やはり2022年現在は、ちいかわが頭一つ抜きん出た人気を得ていると言ってもいいのではないでしょうか。

 

この曲はちいかわの友達であるハチワレが作中で弾き語りしていた楽曲に、アニメ化にともなって、ミュージシャンのトクマルシューゴさんがメロディーをつけたもの(ちなみにこのトクマルシューゴさん、Wikipediaを見てみたら世界的に高い評価を得ているすごい人だった)

 

 

ナガノ節全開の歌詞に、ハチワレの子供らしい素朴な歌声、そしてポップな中にもどこか憂いを帯びたメロディー、のんびりした感じと楽しげな感じが同居したアレンジが合わさって、これまたじんわり染み入るんですよね〜...

 

1分半という短さもあり、歩き疲れた時にとりあえずサッと聴く一曲としては最適です。弾き語りバージョンもありますが、個人的にはアレンジが光るバンドバージョンの方が好き。

 

ちなみに僕がちいかわで好きなキャラクターはうさぎ・ラッコ・くりまんじゅうです。

 

 

「さんさーら!」 ARuFa

ゆるく笑えるWebメディア「オモコロ」のライターであるARuFaさんが、自身の20代最後の記念として、プロの作詞家・作曲家に「自分のテーマソングを作ってほしい」と依頼したことで生まれた楽曲。

 

omocoro.jp

 

中学からブログをずっと続けて、さまざまなオモロ企画を考案し、やたら手間暇かけて奇行を繰り返す......。そんなインターネットの申し子である彼の生き様を如実に描いた歌詞、それを活かすどこか切なさを漂わせたポップなメロディーが心地いい曲です。

 

ARuFaさんは一応都内の広告代理店に勤める一般人という位置付けなのですが(メディアに出ている時点で一般人ではないかもですが)、素人離れした自慢の歌唱力により軽妙に歌いこなし、普通にJ-POPとして聴けるレベルまで落とし込めているのがすごい。

 

まだまだインターネットでやりたいこと、叶えたい想いがわんさかある彼の心情を表した歌詞には、ブロガー時代だった頃から見ていた人にとっては感慨深いものがあるのではないでしょうか(僕が彼を知ったのはオモコロライターになってからです)

 

そんな彼がWebライターとして書き上げた抱腹絶倒ものの記事は、未読の人は是非一度読んでみてほしいですね。テキストサイトが廃れ、YouTubeをはじめとする動画がネットのメインコンテンツになって久しい昨今、画像と文章でもメチャクチャ面白いものが提供できるということを完璧に証明してくれる名記事ばかりです。

 

omocoro.jp

 

 

以上、疲れてメタル/パンクの気分じゃないときに、ふと聴きたくなる楽曲7選でした。

 

ハードなサウンドで興奮できるラウドミュージックが最高なのは、今も昔も変わりませんが、たまには趣向を変えて、普段あまり聴かないタイプの曲に身を浸すのも、良い気分転換になります。

 

時たまこういう曲を聴きつつ、今後の休日出勤に備えなければ...。とりあえずこの記事がアップされる今日も深夜に会社行きますよ、ええ。

ALESTORM 『Seventh Rum Of A Seventh Rum』

  • 楽しく陽気な、愛すべきヴァイキングメタル
  • 一見バカっぽくも、優れたメロディーとアレンジのオンパレード
  • ストロングゼロ 儚き夢 散る花のごとく ここに眠る

 

Evoken Festにおいて、デッカいアヒルさんをステージ上に召喚しての愉快・痛快なライヴを披露してくれたことも記憶に新しい、イギリスはスコットランド出身のヴァイキングメタルバンド・ALESTORM。前作『Curse Of The Crystal Coconut』以来2年ぶりとなるフルアルバム。

 

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ここまでコンセプトが固まっているバンドだけに、前作からおおきく路線変更することなどあるはずなく、本作においてもまた酔いどれ万歳・宴万歳・陽気で楽しいアッパーなヴァイキングメタルが展開されています。なんとまあ聴いて楽しくなる音楽ですこと!

 

フォーキッシュなメロディーを奏で続けるキーボードの音色を主役とし、時に疾走し、シンガロングをふんだんに取り入れ、メロディックなギターソロをも武器にしながら、パーティーメタルを一貫してプレイ。

 

そしてこのバンドの美点としては、単にバカっぽくて陽気で楽しいだけに終わらせず、きちんとメロディックヘヴィメタルとして、高いクオリティーを誇るメロディーを有しているところ。

 

特に前半の畳み掛けが良くて、勇ましい主旋律に導かれ堂々と進むオープニングM1「Megellan's Expedition」でスタートし、そのままALESTORMの王道とも言えるフラフラとした酔いどれ感満載のキーボードが鳴り響くM2「The Battle Of Cape Fear River」、初っ端の"Let's go!"からモッシュさせる気満々の疾走へ繋がり、シンガロングパートも実にライヴ映えしそうなM3「Cannonball」へと移行していく。勢い抜群でナイス。

 

M4「P.A.R.T.Y.」は、クリストファー・ボウズが手掛ける別バンド・GLORYHAMMERでも見られる、電子音を用いたダンサブル・チューン。こういった曲が単なる風変わりな曲だけで終わらず、バンドの個性を保った上で、ちゃんとメインコンテンツとして成立しているところに、彼らの作曲とアレンジセンスの高さを感じ取ることができます。

 

M5「Under Blackened Banners」は、モダンなメロディックメタルかと思うような出だしから、強烈なフックをもったメロディアスなギターで展開、彼ららしいフォーキッシュな旋律に、ちょっとおマヌケな印象を与えるキーボード、デスヴォイスとヘヴィリフでガシガシ進むパートも設けつつ、一緒に歌いたくなるほどキャッチーなサビが登場する、まさに全部盛りと言っても過言ではない、本作のハイライトとなり得る名曲。もうこの時点で名作認定ですよ。

 

この前半の勢いは後半に至っても絶たれることはありません。雄大なスケールとコミカルなキャッチーさが共存したM7「Seventh Rum Of A Seventh Rum」に、最もアグレッシヴなリフに、熱すぎるシンガロングパートが盛りだくさんなM10「Come To Brazil」あたりは、後半部のキメとなる楽曲ですね。

 

ラストのM11「Wooden Leg (Part Ⅲ)」は、SIGHの川嶋未来さんや、JAPANESE FOLK METALのメンバーが参加したミドル曲。前作に続いて日本語によるパートも含まれており、やっぱりここでもストロングゼロが推されています(笑)

 

M11以外はどれもこれもエネルギッシュな勢いに満ち溢れ、フザケつつも確かなキャッチーなセンスが息づいたアレンジも満載、純粋にメロディックメタルとして優れた楽曲が立て続く、強烈な一作に仕上がっています。アルバムのタイトルからネタアルバムだと思ったら大間違いですよ。

 

 

個人的に本作は

"陽気なアレンジ、おバカな個性はそのままに、優れたメロディーセンスが全編で冴えわたるヴァイキングメタル"

という感じです。

 


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