ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Attick Demons 『Let's Raise Hell』 (2017)

Attick Demons 『Lets Raise Hell』

ポルトガル出身の正統派へヴィメタルバンドの約5年ぶりとなる2ndアルバム。

 

 

タワーレコードの試聴機に置かれているのを目撃し、帯の文句につられ手を付けてみたのが本作との出会いです(まるで成長していない・・・)。1stフルアルバムは2011年末の発売ということで新人バンドなのかな~と思ったら実は結成は20年ほど前の1996年にまで遡り、十分中堅どころといっていいキャリアがあるバンドのよう。地元のメタルフェスやバンドコンテストに出演し、EPを発表するなどしていたもののフルアルバムを発表する前に活動をしばらく停止してしまっていたようです。

 

 

音楽的には古き良きNWOBHMを彷彿させる正統派へヴィメタル・・・なんですが、これはもう文章であーだこーだ言うより聴いてもらいたいです。

 

 

本作収録の楽曲 「Adamastor」

 

 

80年代直下の正統派メタルサウンド、バキバキと目立ちまくるアタック音が特徴的なベース、そして伸びやかでありつつ迫力のある雄々しいヴォーカル・・・。彼らがどんなバンドなのか聴いただけでもうお分かりかと思います。

 

 

そう、IRON MAIDENフォロワーです。

 

 

ヴォーカルのアウトゥール・アウメイダの声なんて完全にブルース・ディッキンソンのそれ。もう似てるだのそっくりだのレベルを超越した激似ぶり。何も知らない状態で本作の楽曲のどれか一曲を聴き、「ブルースのソロプロジェクトの新曲だよ」と言われたら多分僕信じますよ(笑)。

 

 

ベースのジョアン・クレメンチのプレイもスティーヴ・ハリスに影響受けまくりなのが見え見え。バキンバキンと曲間で唸るベースサウンドは完璧なまでにスティーヴ直下のものですね。

 

 

アルバム全体を通して聴いてみた印象としては、全盛期のIRON MAIDENから荘厳な凄み、バンドサウンドの威圧感を薄めたような感じ。決してA級バンドのようなクオリティーには達していないような気はすれど、全体的に勢いがあって歌メロにしかとキャッチーさを滲ませているのはイイ感じ。

 

 

M1「The Circle of Light」の突進力はなかなかカッコよくオープニングにふさわしい音を出しているし、M4「Dark Angel」のエキゾチックで怪しいムードもサマになってて魅力的。中盤に長尺の曲が集中していてダレなくはないもののつまらない曲はなく、どこを切り取ってもメイデン風正統派HR/HMをキッチリと披露していて、NWOBHM至上主義の方にはたまらないのではないでしょうか。ストレートな勢いに満ちてキャッチーさもキープしており、ぶっちゃけプログレ方面に走り気味な本家IRON MAIDENより彼らの方がずっと楽しめます(笑)。

 

 

個人的には前述のM1、突き抜けるようなサビのメロディーとその後の何ともメイデン的な間奏が魅力のM7「Ghost」、本作中特に勢い、攻撃性の高い獰猛な国内盤ボーナストラックM10「Thank You」が特に気に入りました。

 

 

欠点をあげるとするなら音の薄さでしょうか。ギターの音色が薄っぺらく、楽曲の魅力をだいぶ損ねているような気がしてなりません。リードギターを活字で表すなら「プーププープーッ」って感じ(笑)。せっかくの壮大なムードもこの音で力不足に感じさせてしまうのが何とも歯がゆい・・・。M3「Glory to Gawain」なんかもっとカッコよくなれる気がするのですが・・・。まあIRON MAIDENもそこまで重厚な音作りではないんですけどね。

 

 

Fear of the Dark」や「Hallowed Be Thy Name」のような劇的な大作が作れるほどソングライティングの腕が向上し、ギターを中心に音の密度が濃くなればかなり化ける気がしますよこのバンド。

こうなりゃ本家を超えてしまえっ!!!......ていうのはさすがに無理か(笑)