ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

CRY VENOM 『Vanquish The Demon』 (2017)

CRY VENOM 『Vanquish the Demon』

メロスピ界の超新星が現れた!!!

 

 

CRY VENOMは2014年のWarped Tourでヘッドライナーを務めたこともあるアメリカのパンク/ポストハードコアバンド・FALLING IN REVERSEに在籍していた、ギタリストのジャッキー・ヴィンセントが「もっとクリエイティヴな活動をしたい」という理由で同バンドを脱退した後、彼が中心になって結成された"ハイブリッドスピードメタルバンド"です。

 

 

彼はイギリス生まれかつアメリカのバンドに在籍していたとは思えない音楽趣向の持ち主で、DragonForce、Symphony X、ANGRA、はてや日本のGALNERYUSなどのメロディックメタルバンドが大好きだというのです。前者2組はまあ英米のアーティストであるからまだしも、まさかアメリカではほとんど知られていないであろう(だよね?)、ANGRAGALNERYUSに影響を受けているとは・・・。

 

 

さらにさらにX JAPANやJupiter、FFシリーズの作曲家の植松伸夫さんの曲も好きだ何て・・・。やっぱ人の感性っていろいろなんですね。激ロックのインタビューでは彼の音楽素養のバックグラウンドやバンド結成の経緯について詳しく語っているので、ぜひ目を通してみてください。

 

 

さて本作ですが、DragonForceを彷彿とさせる、本当にアメリカのバンド!?と思っちゃう(一部メンバーはロシア人のようですが)メロディックでスピーディーなメタルサウンドにEDM的なダンサブルさや電子音、ハードコア直系のブレイクダウンパートなど、モダンな要素を取り入れたサウンドです。すでに十分なキャリアを持った人物が主導しているためか、若手のバンドの1stアルバムとは思えないほど洗練された、非常にクオリティーの高い演奏を聴かせてくれます。

 

 

電子音はうまいこと楽曲の一部として成立しているのですが、へヴィなブレイクダウンパートはぶっちゃけ申し訳程度にとってつけたような印象があり、ときおり出てくるシャウト・デスヴォイスもたいした破壊力ではないため正直不要なのではないかと思っちゃいました・・・。

 

 

ダンサブルなビートが登場するインストM1「Prelude」より続くM2「Wolfsbane」からさっそく彼らの個性がむき出しになったキラーチューン!伸びやかで透き通った強烈なハイトーンヴォーカルが登場する、モダンで超キャッチーなメロスピです!メロスピですよ!アメリカのバンドがメロスピですよ!!

 

 

まあ日本人が「メロスピ」と聞いてイメージするジャーマン系やクサメタル系ではなく、あくまでモダンでクサさのないキャッチーな楽曲ではあるのですが、それでも文句なしのメロディックスピードメタル。ピロピロギターソロを取り入れれば十分DragonForceの楽曲として通じそうな、彼らの何たるかが一発で伝わる名刺代わりの強烈なオープニングナンバー。

 

 

ゲーム音楽やアニソンにも通用しそうなキャッチーなサビが印象的なアップテンポ曲M6「Stronger Than Steel」ではジャッキーが強く影響を受けたGALNERYUSのSYUさんがギターソロで参加しています。後半においてシュレッドソロを聴かせてくれますが、GALNERYUSの楽曲と比べてそこまで印象的なソロではないかも(笑)

 

 

へヴィに刻まれるギターリフがフィーチャーされるも、サビはキャッチーに疾走するM7「By My Side」、まるで初期SONATA ARCTICAかと思うほどのシンセイントロがインパクトを与える、ほどよく哀愁を含んだメロディーが魅力のM8「Frozen Heart」、リードギターとやや落ち着きを見せるヴォーカルと共に疾走するも、サビは一転してディスコ風というか、ダンスミュージック的なリズムを叩き出す(この曲のサビメロはかなり好み)M9「Unchained」など、野暮ったさやB級クサさの一切ない洗練されたモダンメタルサウンドを全編にわたって堪能することができる強力盤です。

 

 

さらに国内盤ボーナストラックにはIRON MAIDENの超名曲「Aces High」のカバーが収録されており、見事にCRY VENOM流メロディックスピードメタルに味付けされているのでこちらも要チェック。

 

 

全体的にEDM的な電子音が非常に多用されていたり、メロディーがかなりポップでキャッチーだったりと、いわゆる「硬派メタラー」には受けが悪いかもしれませんが、キャッチーな曲が好きな僕としてはかなり気に入りました。デジタルサウンドCROSSFAITHとかで多少慣れたし。どちらかというとメタラーよりも激ロックキッズ向けのバンドかもしれません。

 

 

アメリカのメロディックスピードメタル要素を取り入れたバンドといえば、やはりAVENGED SEVENFOLDが挙げられますが、かれらはA7Xよりももっとあからさまにメロスピしているので、ぶっちゃけ本国で人気が出るのかちょっと心配になっちゃいます(笑)

 

 

日本においては売り出し方によってはかなり注目を集められる存在だと思うので今後の活躍に期待したいですね!メンバー全員若くてかなりのイケメンなので女性票も多く獲得できそうだし、話題になるポテンシャルは十分すぎるほどあると思います。

 

 

あと最後に、本編ラストのM12「Diamond」は10分を超える大作なのですが、正直後半5分はいらないと思う(笑)

 

 

M2「Wolfsbane」 Lyric Video

 

 

M7 「By My Side」 Official Audio