前作『Under The Force Of Courage』は素晴らしい大傑作でした。あの作品により、元から持っていたGALNERYUS愛がさらに倍々になったと言っても過言ではありません。
そんな傑作のコンセプトを継承する続編となれば嫌でも期待は高まるというもの。しかも中心人物であるSYUさんが
とても悲しいアルバム
前作が「勇壮」ならば今作は「悲壮」
く さ い
く さ す ぎ る
などとハードルを上げる発言をバンバンしていたため、絶対に間違いない作品になるに違いない!とある種の確信を持って発売を待ち望んでおりました。
そして手元に届いた本作。静かなイントロのM1「ENTER THE NEW AGE」から間髪入れずになだれ込む怒涛の疾走チューンM2「HEAVENLY PUNISHMENT」、超テクニカルながら泣きを強烈に発散するギターソロと、劇的極まりないサビが極上の興奮を与える超絶キラーM3「WINGS OF JUSTICE」。この3曲の流れで完全にKOされてしまいました。最高です。
スピーディーで歌メロがキャッチーかつ哀愁があって、演奏がテクニカルでパワフルで・・・という僕がへヴィメタルに求める要素が凝縮されたキラーチューンが立て続いた時点でもう名盤認定ですよ。高すぎるハードルを易々と飛び越えてしまうこのバンドのポテンシャルにはただただ驚かされるばかりです。
アルバム全体を通してみるとストレートに疾走するパートばかりではありませんが、どの曲にもコンセプトに合わせたのか、猛々しくも哀しみの叙情を備えたメロディーに溢れており勢いは十分、物足りなさなんぞ一切感じません。
壮大なコーラスパートから溜めた力を解放するかのように疾駆するサビが気持ちいいM4「THE SHADOW WITHIN」、まるでヴァイキングメタルかのごとき勇壮なサウンドを奏でるキーボードが大活躍するミドルチューンM5「WITH SYMPATHY」、どこかアダルティな魅力を放つメロディーに小野さんの艶やかなヴォーカルが絶妙にマッチしたM6「WHEREVER YOU ARE」、YUHKIさん節が効いた本作中最もプログレ風味の強いM7「RISING INFURIATION」、どれもバラエティに富みながらも一本芯が通ったようで、散漫な印象は感じさせないのが素晴らしい。
アルバムのハイライトは10分超えの組曲大作M8「BRUTAL SPIRAL OF EMOTIONS」、M9「ULTIMATE SACRIFICE」の2連発でしょう。
M8は前半の疾走パワーメタルと後半の美麗バラードの落差が大きい楽曲。前半の劇的さ、カッコよさはもう言わずもがなですし、そこから急転して始まる後半の切々とした儚げなパートは、小野さんのエモーショナルな歌唱が本領を発揮する。前作の「CHAIN OF DISTRESS」にも負けない極上の泣きメロが堪能できます。
そしてそんな素晴らしい本作のラストを飾るタイトル曲、これがもう圧巻の一言。
初っ端からクサすぎるギターフレーズに激悶絶!前作の超キラー「THE FORCE OF COURAGE」のメロディーを継承したパートに魂を鷲掴みにされ、聴き手の涙腺を破壊するかのごとく悲壮感をまき散らすサビに昇天・・・!!これをキラーチューンと言わずして何と言おう!!
キーボードとギターのメロディアスさとテクニカルさを両立させたソロパートもしっかり構築されており、長さを一切感じさせないのがスゴイ。
ラストのサビが終わったあとの荘厳なコーラスからの小野さんのハイトーンシャウト、恐ろしいほどの泣きっぷりを聴かせるリードギターソロはもはや致死量レベルの劇的さ!!もう勘弁してください。
前作から2年も経っておらず、しかも海外公演を含めた全国ツアーを行っていたというのに、負けず劣らずの超大作続編を作り上げてしまえるこのバンドはやはり「何か持ってる」と思わざるを得ませんね。GALNERYUSに勝てるメロディックパワーメタルバンドは存在しない!なんて妄言を吐きたくなるほどの聴きどころ満載の傑作。メロディックなメタルが好きな方は、これを聴かずに生きてはいけません(大げさ)。
ちなみにコンセプトとなるストーリーはかなりベタな内容で、文章もお世辞にも上手とは言えないのですが、まあSYUさんは小説家じゃないし、ヘタに凝った展開より王道路線の方がわかりやすくてダイレクトに情景が伝わるから特に問題はないかと。個人的にもこういうお話は嫌いじゃない・・・・・・というか好き(笑)
M9 「ULTIMATE SACRIFICE」 MV (大名曲!!)
曲のスケール感に反して戦闘シーンはちょっとチープな気が・・・(笑)
本作のトレーラー