ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ALMANAC 『Kingslayer』 (2017)

ALMANAC 『Kingslayer』

楽家としての才能と技術がありすぎたためピーヴィとの間に軋轢が生じ、RAGEを脱退した超実力派ギタリスト、ヴィクター・スモールスキが新たに結成した、Lingua Mortis Orchestra feat. RAGEのコンセプトを引き継いだプロジェクト。去年デビューアルバムを発売したばかりでありながらもうニューアルバムを発表とは、天才の作曲センスはやはりすごいのか。

 

 

オーケストラをフィーチャーしたメタルプロジェクトの継承ということで、当然本作の楽曲にもオーケストレーションが導入されています。とはいえRhapsody Of Fireなどのガチのシンフォニックメタルほどシンフォニックサウンドが前面に出て主役になっているわけではなく、あくまでパワーメタリックなサウンドを盛り立てるための一要素として存在している感じ。楽曲の根幹を成しているのはやはりヴィクターのギターなのでしょう。

 

 

そしてそのギターが素晴らしいの何の。僕が好きな泣きを感じさせるリードみたいなものはあまり無いものの、終始ガッチリまとまったパワフルなリフを鳴らしており、へヴィメタルとしての攻撃性をしっかり演出しています。こういうへヴィリフは僕好みです。

 

 

ヴォーカルは若干声質が暑苦しいというかクドい感じの男性、ストレートで美しい女性の2人がいますが、メインとなっているのは明らかに男性であるアンディー・B・フランクで、女性のジャネット・マルヒェフカ(発音しづらい・・・)は一歩引いた立ち位置。せっかくツインヴォーカル体制なんだからもうちょっとジャネットの方も目立っていいんじゃないの?と思わなくはないものの、こういうパワフルで勇壮なスタイルには男性の方がマッチするでしょうし特に問題はないかと。ジャネットも要所要所で前に出てくるし、決して目立っていないわけではないので。

 

 

楽曲としてはジャーマンメタルのような明るさやおおらかさは無く、どこか怪しげな陰りを見せるメロディーが特徴的なパワーメタルで、ヴィクター在籍時のRAGEの雰囲気に通じるところがちょっとあるかも。まあピーヴィの印象的なヴォーカルがRAGEの個性を成していた感があるので、RAGEまんまではないのですけどね。

 

 

M1「Regicide」の出だしから怪しく胡散臭~~い音色と共にねちっこい男性ヴォーカルが登場。なんか濃い(笑)。アルバムのオープニングにしてはやや淡々とした印象の楽曲ですが、次に放たれるM2「Children of the Sacred Path」はのっけからヴィクターのフラッシーなプレイが炸裂した後、へヴィで骨太なギターリフが主導する疾走パワーメタルチューンでかなりカッコイイ!曲タイトルを叫ぶパートが非常にキャッチーなM3「Guilty as Charged」も耳に残る佳曲。

 

 

タイトル曲のM6「Kingslayer」は短いインストで、そこから間髪入れずなだれ込むM7「Kingdom of the Blind」は本作中特にシンフォニック色が強調されドラマ性を高めた名曲。さらにそこからメロディックリードギターが登場し、とりわけキャッチーで力強いサビが印象的なM8「Headstrong」へと続く。中盤から後半にかけてこういったハイライトと呼べる個所を用意していることが、アルバム全体の印象を良くしてくれますね。先述のM2と合わせてこの3曲(インストも入れると4曲)が個人的には一番好きです。

 

 

ドラマチックなオーケストレーションが楽曲を彩りつつも、ギターリフがしっかりと自己主張してへヴィメタルとしての矜持を提示している、なかなかナイスな聴きごたえある作品なのではないでしょうか。全10曲と短くまとめられていて聴き疲れしないのもポイントですね。オススメです。

 

 

あと全然関係ないけど最後の2曲「My Last Farewell」「Red Flag」という曲名を見てGALNERYUSを想起したのは僕だけ?(笑)

 

 

M6 「Losing My Mind」 MV

シンセが大々的に使われサビのメロディーがやや明るめな、MVが作られたにしてはちょっぴり異色な感じの曲。

 

 

M5 「Hail to the King」 Lyric Video