ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

coldrain 『FATELESS』 (2017)

coldrain 『FATELESS』

本場英米のバンドにも引けを取らないクオリティーの楽曲で、今や海外にも勢力を伸ばしている、国産実力派スクリーモ/ポストハードコアバンドの最新作。

 

名前自体は7~8年前くらいから知っていたし、途中からとはいえライヴも観たことあるバンドですが、何気に音源を買ってちゃんと聴くのは初めてです。

 

本作はたまたま何の気なしに立ち読みした某有名メタル雑誌の新譜レビューにて90点を獲得していました。

 

僕はあの雑誌に対しては「80年代から活動している大物バンドばっかり持ち上げて、若手や日本のアーティストは歯牙にもかけず正当な評価を下さない」というイメージがあり、正直あんまり良い印象が持てないので (だったら立ち読みなんかすんなよって話ですよね/笑)、日本の、しかも正統的なメタルバンドではない彼らを高評価していたことにちょっとビックリ。

とうとうモダンなラウドロック、日本のバンドに対してもしかと対応するスタンスになったのか、それとも紙媒体が衰退していっているこのご時世、この手のバンドも扱わないと部数的にヤバいのか。

 

あの雑誌に踊らされているようでちょっとシャクだったものの(笑)、先行公開されていたM1「ENVY」がカッコよかったこともあり購入してみました。

 

内容としてはニューメタル、メタルコアにも通じるヘヴィなサウンドを導入したラウドロックで、ここ最近の楽曲スタイルを踏襲した非常に安定感ある良作。

いくらへヴィな要素を取り入れても決してガチなメタルコアにはならないあたり、やはりこのバンドの基本的なスタンスはスクリーモ、ポストハードコアなのでしょう。それを中途半端と捉える方もいらっしゃるでしょうが、この重々しくなりすぎない、適度なスタイリッシュさがJ-ROCKファンのハートを掴んでいるのかも。

 

サビのメロディーは非常にキャッチーながらも、日本のバンドによく見られる歌謡曲的要素や芳醇なクサメロといったものは全くと言っていいほど無い、その洋楽志向の強さも相変わらず。そのためクセになるほどの中毒性はないのですが聴きやすさは抜群です。

 

海外で実績を上げているだけあって演奏、楽曲共に非常に高クオリティーなのですが、やはりこのバンド最大の武器はMasatoさんのヴォーカルですね。高音でエモーショナルに歌い上げるクリーンヴォイス、初期から飛躍的に破壊力を増したデスヴォイスはどちらも一級品で、素晴らしいヴォーカルワークを披露しています。

 

ライヴでもその歌唱力は狂わない、おまけに日米ハーフのイケメンでステージ映えもバッチリとくれば、文句なしにJ-ROCK界隈トップクラスのフロントマンでしょう。このヴォーカルの存在だけでも評価は上がるでしょうね。たとえ凡百のB級へヴィロックバンドでも彼がフロントに立つだけでだいぶ底上げされるんじゃ・・・とさえ思えるほどの魅力あふれるヴォーカリストです(一応言いますけどcoldrainがそういうバンドだとはまったく思っちゃいませんよ/笑)

 

前述のM1からしてのっけから強靭なデスヴォイスで攻め立て、サビはお約束のキャッチーなクリーンと、バンドの実力と魅力が存分に発揮されまくったモダンへヴィロック。中盤のブレイクダウンは有無を言わせぬカッコよさです。

 

M3「LOST IN FAITH」、M4「BURY ME」などのエモ的なメロディアスさが魅力的な楽曲は、その透き通るようなイケメンヴォイスがこの上なくマッチしていて、聴いててとても気持ちがいい(特にM3のサビメロは胸にキますね)。

 

ロディアスさとアグレッシヴさのバランスが取れたM6「INSIDE OUT」、彼らにしては珍しいほどストレートな疾走感に満ち、細かく刻まれるスラッシーなギターリフがカッコいいM9「F.T.T.T」などクドくならないメロディーと、洋楽志向の攻撃的な本格派サウンドが織り交ぜられた楽曲群は理屈抜きにカッコいいと呼べる代物。

 

ただやっぱりメロディーが(あくまで他の国産バンドに比べれば)ちょいと薄味な感はあり、M5「R.I.P.」やM7「STAY」といった聴かせるタイプの穏やかな楽曲は、ちょっとダレてしまう気がしないでもないかなと。ただ歌謡要素の無いメロディアスさがこのバンドの特徴というか、カッコよさを形成している感があるのでこの辺はしょうがないかもしれません。

 

今時日本のバンドと海外のバンドを比較してどうこう言っても意味ないっちゃ意味ないんですが、それでも世界との壁を最も感じさせないタイプのバンドであると思うので、日本のラウドロック代表格としてバンバン海外進出しちゃってください。まあまずは武道館ライヴの成功が第一でしょうけど。

 

M1 「ENVY」 MV

 

M5 「R.I.P.」 MV

発売時期と曲タイトルからLINKIN PARKのチェスターのことを歌っているのかと思いきや、実際はトランプ政権がテーマらしいそうな。