フランス出身のシンフォニック/メロディックスピードメタルバンドの2ndアルバム。
恥ずかしながら僕はこのバンドの存在を今年に入るまで知らなかったのですが、タワーレコードの試聴機に本作が入っているのを見つけ、帯に書いてある"よりパワフルでメロディック！シンフォニックなキーボードと重厚なクワイアを導入しスピード感溢れるドラマティックな展開に全メタルファン悶絶間違いなし！"という何ともそそる文句につられ試聴。
明朗な輝きに満ち溢れた歌メロが冴えわたる、王道ど真ん中のメロスピチューンM1「Shining Unity」、ノリノリなギターリフとキャッチーなサビで自然と体が動いてしまうM2「Blue Aura」の2連打を聴き「こりゃあイイ！！」と即購入を決断しました。
基本線はシンフォニックな装飾が施された、ポジティヴメロが全編を覆うメロディックスピードメタル。日本のメロスピファンの琴線にしっかりと引っかかる音を出していると思われます。若干のテンポの速い遅いはあれど、ほとんどがアップテンポに駆け抜ける楽曲のためかなり聴きやすい仕上がり。
また帯にも書いてあった通りクワイアがかなりの頻度で登場しており、これが楽曲の壮大な印象を増強するのに一役買っていていい感じ。サビで必ずと言っていいほどメインヴォーカルの裏で登場し同じメロディーをなぞり、間奏ではアーアー言うことでドラマチックさを演出しています。とはいえ一時期のBlind Guardianのようにメインヴォーカルを喰ってしまうほど出しゃばっている訳ではなく、あくまでヴォーカルの裏で楽曲を引き立てる役割を担っているので変にクドく感じることもない。
冒頭から荘厳なクワイアで幕を開けクサめなリードギターと共に疾走、サビはお約束の大合唱を披露し、中盤から後半にかけてのギターソロ～クワイア～大サビの展開に何とも心躍るM8「Return Of The Cosmic Men」なんかは本作の路線を象徴する名曲です(ヴォーカルギターのセブ・シェボーによると「この曲は君をスーパー・サイヤンに変身させることができる！」とのこと/笑)。
その後すぐににまるでカントリーミュージックかと思うほどに牧歌的で爽やかなアコギの調べが登場するM9「Pilgrim Of Love」が来る流れも聴き心地良くて素敵。まあこんな曲でもクワイアが入るんですけど。
ボートラを除いた本編ラストは穏やかなバラードであるM6「Wake Up The World」を、何とトランスめいた電子音で大胆にアレンジしたアゲアゲディスコナンバー。メタルファンはこういうアレンジを嫌う方って結構多いんじゃないかと思うのですが、こちらのアレンジの方がハマっているんじゃないかと思うほどに、完成度の高いダンサブルチューンに仕上がっており、個人的にはなかなか楽しめました。こういう近未来的なアレンジを施した楽曲に対してバズワードみたいなタイトルをつけるセンスもキライじゃないです(笑)
ただせっかく壮大なタイトルトラック～穏やかで美しいナンバーといういい流れで来ていたクライマックスで、この手の楽曲を最後に出してしまうのはちょっと興ざめな感じが・・・。
ボートラのM11「Riding The Stars」はピロピロギターこそ聴かれないものの、マーク加入後のDragonForceを彷彿させるような、本作中特に疾走感あふれるキャッチーなメロスピで、日本盤ボートラで収めているのがもったいない出来。
冒頭2曲の試聴で間違いなさそうと思っていましたが、これは期待以上でしたね。
ぶっちゃけこのバンドならではの強みだとか個性みたいなものは希薄で、シンフォニックサウンドやクワイアの使い方もベタなのですが、こういう王道路線のポジティヴメロスピが大好きな方は結構多いと思うのでオススメです。個人的にはかなり気に入りました。
M4 「High Up In The Air」 Lyric Video
本作のティーザー映像
