ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

2/9 BRAHMAN / 八面玲瓏 at 日本武道館

BRAHMAN 八面玲瓏 1

2018年のライヴ初めはJ-PUNK界の孤高のカリスマBRAHMAN

5年ぶりのニューアルバム『梵唄 -bonbai-』をリリースしたばかりのタイミングでの、キャリア初の日本武道館公演(10年ほど前にKEN YOKOYAMAの前座としてなら出たことがあるそうですが)ということで、これはファンなら絶対に見逃せない!と思っていました。

 

開催日は平日で、しかもなかなかスケジュールの読みにくい時期だったこともあり、ギリギリまでチケットを買わないでいたら・・・何と全券種ソールドアウト

/(^o^)\ナ ン テ コ ッ タ イ

 

しかし当日券が16時半より発行されるという報を聞き、なんとかその恩恵にあずかることができました。ヨカッタヨカッタ。

せっかくなので物販でTシャツを1枚購入し(クッションとかも買おうかな~と思ったものの、所持金的に断念)、入場と同時に日本武道館[八面玲瓏]記念メダル」なるものをもらう。

 

BRAHMAN 八面玲瓏 2

 

 

武道館ライヴでは、通常はどこか一面を潰してそこにステージを配置するのが一般的ですが、今回は2013年に幕張メッセで行われた「TOUR 相克 FINAL『超克』the OCTAGON」と同様にセンターに八角形のステージを設営し、360度オーディエンスが取り囲むという変則的なステージになっています。

 

そして観客席にはそれぞれの区画ごとに『梵』『縁』『鼎』『命』『麺』『孤』『超』『闘』と名前が付けられており(詳しくは公式サイトへ)、僕は『梵』の2階席後方でした。バンドと正対する位置で観やすいといえば観やすいのですが、せっかく変則的なステージなので、通常では観られない後方視点の『麺』のほうが良かったかなあ。まあ当日券組だから文句は言えん。BRAHMANモッシュ無しで観るのは初めてだ。

 

前売りがソールドしているだけあって平日としてはかなり盛況で、後ろの数列が黒いシートでつぶされているとはいえ2階席はほぼほぼ埋まっていました。2015年のJudas Priestの来日公演では2階席がガラガラで寂しい思いをしたので(笑)、とりあえずは一安心。

 

定刻を10分少々過ぎたのちに暗転し、おなじみの登場SEが流れると一気に会場が沸き立つ。ステージの側面に設置されたスクリーンにイメージ映像が映し出され、武道館の大きな天井に美しいプロジェクションマッピングがブワーッと広がり歓声がこだましつつメンバーが登場。インタビューにて「天井を使いたい」という発言をしていたのはこのことか。

 

最新作の1曲目「真善美」がオープニングかと思いきや、「The only way」からのスタート。何度聴いてもこの緊迫感溢れるイントロからの「The only way!!」のシャウトにはグッときますね・・・。

 

新譜のキラーチューン「雷同」(この曲のイントロもゾクゾクするような高揚感がタップリで最高にカッコいい)では音源通りの演奏陣のシャウトの畳みかけがすさまじく、一気に会場中を興奮の坩堝へと落としてこんでいく。僕のすぐ前の席では屈強な外国人がかなり大胆にスマートフォンで違法録画していましたが(コラコラ)、この時点で意識はすっかり中央のステージに集中しており、一切気にならず。

 

おなじみのBRAHMAN始めます!!」からの「賽の河原」以降はしばらく昔の楽曲が立て続く。よくあるセットリストの流れで新鮮味はありませんでしたが、やはり名曲なだけに興奮は抑えられません。「BASIS」「SEE OFF」「BEYOND THE MOUNTAIN」「DEEP」という超強烈な楽曲の乱打に大ヒートアップ!

 

元々コンサートホールとして造られてはいない武道館だけに音響面にちょっと不安があったのですが、予想していたほど悪くはなく各楽器の音は割と聴き取りやすかったです。MAKOTOさんのブリブリバキバキのベースがやはり迫力満点で、アンサンブルを強固なものにしていたのが良かったですね。おかげで「其限」のアウトロなど、バッキングのリフがない場面でも音圧の物足りなさを感じることがなかったです。

 

2階席の後方でさらに真正面のエリアということもあり、ステージ全体を俯瞰することができ、照明も含めたパフォーマンスをバッチリ堪能することができたのが良かったですね。様々な色でライトアップされたステージの美麗さに圧倒され、そのステージを取り囲むように設置されたモッシュ・ダイブが盛んに行われているフロアを見下ろすという、なかなか体験できそうにないライヴ。これは当日券で良かったかもしれん。

 

今回のライヴではここ数作の楽曲に参加していたゲストミュージシャンが参加する旨が事前告知されており、最初に現れたのは東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊。RONZIさんのバスドラ連打に導かれ後方の花道から登場し、「怒涛の彼方」を披露。スカパラの4人が縦横無尽にステージを移動しつつ演奏しており、ひときわステージ映えしていた印象です。

 

スカパラメンバーに謝辞を述べた後アルバムのリードトラック「AFTER-SENSATION」が披露し、その後はメロウで落ち着いたナンバーで場内はクールダウン。しかし知っての通りBRAHMANはハードコアチューンだけでなく、持ち味の叙情性を活かしたミドル曲も素晴らしいもの。その哀愁バリバリの激情メロディーは照明効果と相まって切なくも力強く胸を打つ。「A WHITE DEEP MORNING」の大サビは特に好きなだけに感動もひとしお。

 

「わずか1分半、1ラウンドの半分の時間のためだけに来てくれた」というMCの後に、個人的に日本で最もハードコアを体現している男と思っている、SLANGのKOさんが登場し「守破離」が投下。やっぱりこの人の叫びは熱くてカッコよすぎる!血がたぎる!!

 

KOさんと同じ札幌拠点のTHA BLUE HERBからILL-BOSSTINOさんが続けざまに登場し、BRAHMAN最大の異色曲「ラストダンス」が終了した後はまたMCタイム。今回は全体的にBRAHMANとしては異様なほどMCが多かったです。ただそれも流れを遮断するようなものでなく、オーディエンスをしっかり舞台に引き込む説得力あるもので、変にグダるようなことは無し。

「札幌の男たちはカッケエ。レベルミュージックでしっかり怒ってくれるからカッケエ。札幌の男たちだけに怒らせていいのか!?」とオーディエンスに問いただし、ストレートな怒りをブチまける怒涛のハードコア「不倶戴天」がスタート。ラストの「赦すって・・・ことだ!!」の激情の叫びで思わず鳥肌。

 

その興奮も冷めやらぬまま超キラーチューン「ARRIVAL TIME」が来るもんならもう抑えらえんでしょう!今回はスタンドでステージングをしっかり観ることができてよかったのですが、この時はモッシュしてえな~~!って思いました。静と動が見事に交錯した強烈にエモーショナルな名曲ですからね。

 

TOSHI-LOWさんがフロアに飛び込むことがお決まりな「ANSWER FOR…」「警醒」もプレイされましたが、今回は武道館ということで色々制約が多いらしく、事前にスタッフから「客席に飛び込んではいけない、殴っちゃいけない、触っちゃいけない」とお達しがあったようで鬼降臨はありませんでした(笑)

 

ダイブ禁止を徹底しているROCK IN JAPAN FESですら「好きなようにやれよ!」と煽りまくり、降臨もしたTOSHI-LOWさんでも今回はルールに則ったのは、今までいろいろなバンドが制約を守ってプレイし続けてきたこの武道館ライヴを、自分たちで終わらせるわけにはいかない、次のバンドへバトンを渡さなければいけないという意思があったからだそうです。TOSHI-LOWさん曰く「今ここでロンちゃんがチ〇チ〇を出して、Beatlesから続くライヴを終わらせちゃいけない」とのこと(笑)

 

「いろいろできねえことはあるけど、できねえことは誰かに頼めばいいってことを学んだ。背の高いやつに高いとこからモノ取ってもらったり、重いやつに下から支えてもらったり、俺より歌のうまいやつに歌ってほしいと頼めばいい。」

そう淡々と語った後、震災以降のTOSHI-LOWさんの親友である細美武士さんが登場し「今夜」が歌われる。多くの人がこの人の登場を望んでいたでしょう、ひと際大きな歓声に包まれました。

 

「23年前の阪神淡路大震災で、何もできないだろうと思われていたミュージシャンが、この曲で種をまき、東北の震災を機に芽を出した。俺たちが歌うことでここにいる人たちの心にも芽を出せるように」

MCの最中に大がかりな機材のセットが行われ、ソウル・フラワー・ユニオン中川敬さん、HEATWAVE山口洋さん、うつみようこさんが登場。もちろん曲は「満月の夕」。

ナミノウタゲ」「今夜」でもうすでに充分感動モノでしたが、この曲が個人的に最大のハイライトでした。もう冗談抜きに涙腺にキますマジで

やはり震災を機に最も変化し、行動し続けたバンドがこの歌を歌うからこそ、これほど胸を打つのでしょう。

 

スクリーンに原発の作業員の写真が写されつつ、権力に問う名曲「鼎の問」、そして悲しげなクリーンギターから一気に爆発する2ndのオープニング「FOR ONE'S LIFE」が披露された後はいよいよラスト。

 

「さあ繋いだぞ。次にここに立つ奴らは誰だ。今度会うときは薄汚い小さなライヴハウス。またお会いしましょう。」

MCを一切挟まず、その一瞬一瞬にすべてを懸けているようだった時期からは想像もつかないほど素直に感謝と決意を述べた後、最新作の1曲目「真善美」をプレイ。

クライマックスではすべての演奏が止まり、開場にはTOSHI-LOWさんの叫びのみが響く。

 

さあ 幕が開くとは

終わりが来ることだ

一度きりの意味を

お前が問う番だ

 

叫びきったその瞬間マイクを落とし暗転。

規模の大きい会場やツアーファイナルなどの集大成的ライヴは何度も観てきましたが、これほど潔く、かつ劇的な幕切れは今まで観たことない。

 

その余韻を引いたままスクリーンにゲストミュージシャンとBRAHMANの写真が表示されるエンディングでライヴは終了しました。

 

時間にして約1時間40分、25曲のライヴでしたが、非常に濃密で感動的、心の奥に訴えかけてくる見事なステージでした。終演後ちょっとした放心状態になってしまい、しばらく席に座ったまま動けませんでしたね。

感情が揺さぶられまくって、正直どのように感想を述べればよいかちょっとわからないのですが、もうとりあえずは「素晴らしいものを観てしまった」の一言に尽きます。

 

2018年、これ以上ない最高のライヴ初めになったのですが、正直これを超えるライヴを今年観られるのか・・・?