ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BIGMAMA 『Fabula Fibula』 (2017)

BIGMAMA 『Fabula Fibula』

去年にデビュー10周年を迎え、日本武道館公演も成功させた、ヴァイオリン入り5人組エモロックバンドの去年発表の7thアルバム。

今年に入ってようやくメジャーデビューシングルを発売するようなのですが、デビュー時から一貫してクオリティーの高いサウンドを鳴らしていただけに、つい最近までインディーズだったことがちょっと意外。

 

このバンドに関しては1st『Love and Leave』から6th『THE VANISHING BRIDE』まで何気に全ての作品を聴いてきています。

1stはかなりメロコア色が強く、2ndで日本語エモの要素を出し、3rdで前2作の要素をブレンドさせた、BIGMAMAスタイルの完成形を見せ、以降はコアな要素が希薄になり叙情エモ/J-ROCK路線に舵を切っていく・・・というのがこのバンドの変化の流れだと思われます。

 

個人的にはメロコア要素が残っている1st~3rdまで(あと『Roclassick』もかな)が好きなのですが、4th以降の作品も彼ららしいヴァイオリンの強みを活かした叙情性が息づいており、普通に楽しめる作品ではありました。

 

そして本作も4th以降の作風を順当に受け継いだ作品なのですが・・・正直に言ってしまうと、個人的に本作の出来はちょっと微妙

 

決してクオリティーの低い作品ではありません。相変わらず演奏は安定したものを聴かせてくれますし、最大の武器であるヴァイオリンの見せ場もたっぷりある、従来のBIGMAMAワールドはちゃんと提示されています。モッシュ向きの疾走曲が少ないのは、最近のアルバムは皆そうなのでこれも別にいい。

 

微妙だと感じたのは、もうただ単純に歌メロの叙情性、フックが従来作と比較して不足していると感じたこと。この一点に尽きます。

 

今までアルバムのオープニングトラックには、勢いのある曲や、メロディーやストリングスアレンジに秀でた曲が配されており、最初からしっかり楽しめるようになっていました。

 

しかし本作のオープニングでありタイトルトラックのM1「ファビュラ・フィビュラ」は、メロディーがやや弱くテンポもゆったりしており、アレンジもそこまで壮大に練られてはおらず妙に味気ない印象で、しかも4分強も尺があるという楽曲。

まあある意味ロック色の濃い楽曲と言えなくもありませんが、正直BIGMAMAに求めているのはこういうのじゃないんですよね・・・。

 

続くM2「MUTOPIA」も彼らのシングル曲にしてはどうにもいまいちメロディーが印象に残らず、この2曲がアルバムのオープニングを飾っていることで、過去最大に掴みが悪くなってしまっているのが痛い。そのあとのM3「ヒーローインタビュー」は爽やかな叙情性と共にアップテンポで駆け抜ける彼ららしい楽曲で、ここで何とか持ち直してくれるのはありがたいのですが。

 

キレのあるヴァイオリンが殊更にクールでドラマチックな雰囲気を醸し出すM5「BLINKSTONEの真実を」、HYとのスプリットアルバムにも収録されたM7「Weekend Magic」など随所に耳を惹かれる楽曲もあるのですが、やはりアルバム全体を通して、過去作ほどのメロディーの求心力は控えめで地味な印象があるのは否めません。M8「Heartbreak Holiday」やM10「レインコートになれたなら」とかはバックのサウンドの美しさはかなりいい感じなので、もうちょっと歌メロもキャッチーに磨いてほしかったですね・・・。

 

個人的には正直彼らのアルバムの中では最も満足度の低い作品になってしまった感がありますが、先に書いた通り客観的なクオリティーは決して低くなく、本作を過去作同様気に入る方も結構いるかもしれません。ヴァイオリンを活かしたサウンドそのものの魅力は決して落ちてはいないですし、僕も雰囲気モノとして聴く分には全然悪くない作品だと思ってます。

 

けどやっぱりロックは「雰囲気モノ」レベルで終わって欲しくはないなあ。本作発売以降に発表されたシングル「CRYSTAL CLEAR」「Strawberry Feels」はなかなか良さげなので、とりあえずは次回作に期待ってところですね。

 

M3「ヒーローインタビュー」 MV

 

M5「BLINKSTONEの真実を」 MV