ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BRAHMAN 『超克』 (2013)

BRAHMAN 『超克』

3.11にもう一つBRAHMANのアルバム感想を。

2013年に発売された傑作5thフルアルバム。何度も何度も聴き返して大感動した、個人的に彼らの最高傑作と思っている作品です。

この年はマキシマム ザ ホルモンdustboxlocofrankLAST ALLIANCEなど僕がよく聴いていたJ-PUNK系アーティストがこぞって新譜を出しておりどれも良くできたものだったのですが、正直このアルバム以上に感銘を受けたものはありません。

 

震災を挟んでリリースされた本作、従来作と異なりカバー曲以外がすべて日本語詞&日本語タイトルになっています。最も大きな変化を感じさせる作品となりました。

 

しかしそれはあくまで表面的な変化であって、根底にある「ハードコアと民族音楽の融合」というバンドの基本的な骨格は何ら変わってはいません。男らしく、武骨で、強いんだけどどこか繊細、心の奥底に訴えかけるメロディーはそのまま。

 

M1「初期衝動」から不器用ながら全力で走る怒涛の突進力と、ハードコア感を一層強く感じさせるシンガロングが木霊する、BRAHMANの強さをこの上なく感じさせる名曲。そこから今やライヴの定番となったM2「賽の河原」へ続く流れが気持ちよく、この時点でアルバムの世界に一気に引き寄せられます。

 

男臭くゴリゴリで直情的な疾走ハードコアはもちろん素晴らしいのですが、クリーンギターを武器とした、叙情性を発散するパートが多いのも相変わらず魅力的。M4「」、M6「空谷の跫音」などがそれにあたりますが(前者はサビで思いっきり疾走しますが)、どこか浮遊感のある落ち着いた叙情美メロディーは心に染み入ること請け合い。これは昔と比べて遥かに上手さ、説得力を増したTOSHI-LOWさんのヴォーカルがあればこそ。

 

全曲に渡って胸を締め付ける激情をブチまける本作、その最高峰とも言えるのが震災前から曲自体は存在していたものの、震災後にシングルとしてリリースされ、BRAHMANとターニングポイントとなったM12「霹靂」。

非常に静かなヴォーカルから幕を開け、徐々にサビにかけて盛り上がっていき、ラストの大サビで劇的極まりない疾走。ひと際強烈なエモーションを放出する大曲です。感情剥き出しのヴォーカルと迫力のシャウトが交錯するエンディングは心震えますね。

 

バンドが内に秘めた激情と、荒さとタイトさを両立させた勢いのあるサウンド民族音楽から影響を受けた哀愁のメロディーというこれぞBRAHMAN!な傑作。本作を引っさげたツアーのファイナル・幕張メッセ公演に足を運んだのですが、本作に込められた感情が一気に爆音で放出される様は未だに忘れられません。

 

M1「初期衝動」 MV

 

M12「霹靂」 MV