ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

Judas Priest 『Firepower』 (2018)

Judas Priest 『Firepower』

もはや僕なんかが今更語るまでもない、鋼鉄神・Judas Priest

70年代から活動している大ベテランでありながらも、未だにこうやって割とコンスタントに新作を作れる意欲があるのがスゴイですね。イアン・ヒルなんて見た目完全におじいちゃんだし(笑)

 

前作の『Redeemer Of Souls』はブルージーな要素がやや強めに出ておりちょいと地味というかタルい印象はあるものの、これぞブリティッシュHR/HMと言いたくなる「Halls Of Valhalla」を始めとして、既に高齢となったベテランとしてはなかなかイキのいい作品を出してくれました。やはりリッチー・フォークナーという若い(それでもアラフォーだけど)ギタリストを加入させたのが良かったのでしょう。

 

そしてそれに続く本作はというと、前作からさらにメタリックな感触を強めた、まさに"ヘヴィメタル"という音楽の様式をそのまま体現したかのような作品に仕上がっています。

 

まず何と言っても冒頭3曲が強力!

ロブ・ハルフォードの十八番であるハイトーンシャウトがいきなり登場、攻撃的で切れ味のあるリフと勢いのあるソロが聴きごたえバツグンのM1「Firepower」はプリースト流ヘヴィメタルのど真ん中。

 

続くM2「Lightning Strike」は硬質なリフと唸るリードギターでガシガシ進む、"ヘヴィメタル"という言葉でしか表現できないほどの正統派メタルのお手本のような曲。

 

曲タイトルを叫ぶ単純なサビが覚えやすく、前2曲と比較してダークな雰囲気を強く醸し出すM3「Evil Never Dies」までアップテンポに駆け抜けるため、出だしが非常に気持ち良く聴き通せるのが良い。頭の印象によってアルバム全体の印象も自ずと決まってくるものです。

 

またギターソロがカッコよく、かつメロディアスに弾きまくられてるのもポイントです。このおかげで各曲のメタル度が高まり、より聴きごたえのあるものに仕上がっているのは間違いないと思います。

 

そしてアルバムの中盤、美しいピアノによるインストのM7「Guardians」から、ブリティッシュヘヴィメタルかくあるべし!と言うほどのドラマチックさを誇る格式高い名曲M8「Rising From Ruins」の流れが素晴らしい。

中盤にこういったハイライトたりえる場面を用意していることで、緊張感の途切れをうまく緩和できる構成もよく考えられています。

 

収録数が14曲とやや多めなため、ちょっと地味目な曲もあるにはあるし、先述のM8のすぐ後に妙にポップなM9「Flame Thrower」が来ることでせっかくの余韻が削がれるなど、手放しでの絶賛はしかねる部分も確かにあります。

 

ですが「Painkiller」の頃のようなキレたテンションの高さは望めない現在の彼らにとって、ファンが思い描く"Judas Priestらしい正統派メタル"を最良の形で提示してくれたと言ってもいいのではないでしょうか。

 

そんな作品の出来がウケたのか、本作は本国イギリスのチャートで『British Steel』以来38年ぶりトップ10内に入る成功をおさめました(伊藤政則さんがヘドバンの記事内で「決して母国で比類なき成功を収めた訳ではない」と言っていましたが、まさかここまでトップ10に入らなかったとは・・・)。

 

CDが売れない時代」というフレーズすら聞き飽きるほど聞いた昨今、チャート成績がどれだけの重みを持っているかは微妙なトコですが、オリコンチャートでも9位に入る健闘を見せておりメタルファンとしては喜んでいい結果ですね。

 

M2「Lightning Strike」 MV

これをヘヴィメタルと呼ばずして何と呼ぼう

 

M10「Spectre」 MV