ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

W.E.T. 『Earthrage』 (2018)

WET 『Earthrage』

WORK OF HEART・ECLIPSE・TALISMANというメロディアスハード屈指の実力派バンドの中心人物が集った、スーパーメロハーグループの最新作。

 

確かな実績を持つメンバーで構成されておりデビュー作から話題を振りまいていたこともあって、良いんだろうなぁ~とずっと思ってはいたものの、アルバムに触れたのは今回が初めてです。他に優先すべき新譜があったりなんだりでついつい後回しになっていました・・・。

 

CDショップの試聴機に本作が並べられており、シンプルながらいかにも北欧の冷たい香りを放つ、透明感溢れるジャケットに惹かれ試聴してみたところ、溢れだす美メロの数々に「おおっ!こりゃいいね!」とヤラれてしまいました。

 

アルバム全編にわたり「これこそ北欧メロディアスハードの理想形!」と呼びたくなる芳醇極まりない哀愁が濃縮されています。同じハードロックでも、カラッとしたアメリカンロックとは全く異なる叙情美はまさにバンド名に違わず濡れまくり。こういったスタイル、メロディーが大好物っていう方、日本人には多いのでは?

 

物静かで淡々とした出だしから、溜め込んだメロディーを一気に解放するようなサビでいきなり泣かされるM1「Watch The Fire」、イントロのシンセがインパクト大のThe 北欧メロハーM2「Burn」、徐々に盛り上がっていくイントロからアップテンポに展開、サビとギターソロにおいて透明感のある極上の美メロを繰り出すM3「Kings On Thunder Road」と、叙情系メロディアスハードのファンにとってまさにご馳走以外の何物でもない珠玉の哀愁がタップリ!

 

このポップさと胸に響く哀愁を見事に両立したメロディーはそれだけでも評価に値するものですが、そのメロディーをさらに輝かせているのがジェフ・スコット・ソートのヴォーカル。歌唱力はもちろんのことながら、この芯の強さと儚さを持ち合わせた声質がこの上なく美メロにマッチしていて聴いててウットリ・・・。バラードのM4「Elegantly Wasted」なんか綺麗すぎて特に心に染み入りますね・・・。まさにElegantly。

 

ボーナストラックはこの曲のアコースティックバージョンなのですが、元がここまで美しいのだから当然ではありますが、そちらも素晴らしい出来。とはいえシンセが目立ってメロハー然としてるオリジナルバージョンの方が好きなんですが。

 

ポップさが増強された曲、ややシリアスなムードを押し出した曲、サウンドのハードさと強さが目立った曲、落ち着いたバラードなど、楽曲のスタイルに多少の振れ幅はあるものの、サビになると必ず泣かされてしまう湿った哀愁は全曲共通。そのカラーで完全に全曲確立されているのが潔く、アルバム通して溢れる美メロの洪水に溺れ続けることができる・・・。素晴らしいぃ~・・・。

 

ゴリゴリしたパワーメタルを愛する方にとっては軟弱に映ってしまうかもしれませんし(サウンド自体はちゃんとハードロックしてるんですけどね)、個人的にもそのようなバンドの方が好きではあるのですが、哀愁バリバリのキャッチーなメロディーを好むのであれば、心地よく酔えること間違いなしの1枚。これからどんどん暑くなっていくこの時期には重宝しそうです。

 

M1「Watch The Fire」 MV

 

M5「Urgent」 Official Audio

充分キャッチーな曲ですが、これでも本作の中ではハード寄りの曲で哀愁度は低めです。