ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

KAMELOT『The Shadow Theory』

KAMELOT 『The Shadow Theory』

アメリカ出身の(ちっともアメリカらしくないけど)シンフォニックメタルバンドの12枚目のフルアルバム。90年代からバンドの屋台骨を支え続けてきたドラムのケイシー・グリロがバンドを離れ、後任にはFIREWINDでもプレイしているヨハン・ニューンツが抜擢されたとのこと。

 

このバンドは一貫して重厚で耽美、大人なシンフォニックメタルを展開していますが、今回もその路線を手堅く踏襲した安心安定の高クオリティーに仕上がっています。

 

前作『Haven』には「Veil Of Elysium」というドラマチックなキラーチューンを収録していましたが、本作のリードトラックであるM2「Phantom Divine (Shadow Empire)」もそれに引けを取らぬキラーチューン。少し不気味でダークな世界観を持ちつつも、しなやかで美しく、かつヘヴィメタルに求められるヘヴィさも適度に導入されているため意外なほどに力強さも感じさせる。この辺のバランス感覚が素晴らしいですねこのバンドは。

 

彼らはシンフォニックメタルバンドではありますが、先述の通りギターリフがヘヴィに歪んでいての存在感をしっかり残しているため、ヘヴィメタルとしてのアグレッションがしかと感じられるのも特徴であると言えます。個人的にはシンフォニックな方面に行き過ぎてた音より、リフがしっかりパワフルに磨かれたメタルらしいメタルが好きなので(豪華絢爛なシンフォも大好きですけどね)、彼らの音は聴いててかなりしっくりきます。この適度にズンズン響く快音がたまらんのです...(恍惚)

 

そしてすっかりこのバンドのヴォーカルが板についたトミー・カレヴィックの歌声がまたこのサウンドにしっかりとマッチしているのが良い。官能的に響く艶やかな歌はバックの演奏と合わせて実に怪しい魅力を放っており、聴き手を酔わせること必至。時折挟まれる女声コーラスや、邪悪なデスヴォイスサウンドのムードを彩るのに一役買っておりいい感じです。

 

トミーのなめらかな歌唱が実に映えるM3「Ravenlight」、シンフォニックメタルとしてはかなりヘヴィに仕上げたリフと、サビの伸びやかなコーラスが非常に印象的なM4「Amnesiac」、非常にキャッチーながら抜群にドラマチックなサビのメロディーが個人的なツボを直撃するM5「Burns To Embrace」、デスヴォイスがことのほかフィーチャーされ、シンフォサウンドも迫ってくような緊迫感を強めた、ひと際シリアスで邪悪なM9「Mindfall Remedy」など、彼ららしさ満点の楽曲を展開。

 

中盤に挟まれる女性とのデュエットで劇的なメロディーをなぞった、胸を締め付けられることこの上ないM5「In Twilight Hours」というバラードのクオリティーが高いのもポイントです。

 

まるで映画音楽と聴きまごうほどに勇壮に響き渡るイントロから鳥肌モノで、かつサビとギターソロも壮大なM11「Vespertine (My Crimson Bride)」、悲壮感漂うピアノとテクニカルなギターソロ後の、デスヴォイスとブラストめいたドラムの連打がラストのサビに向かって怒涛の勢いで突き進む様がこの上なくエキサイティングなM12「The Proud And The Broken」はまさにアルバムのクライマックスを彩るのに相応しい!

 

オープニングから劇的なラストまで、KAMELOTワールドを存分に描き切った傑作と言えるでしょう。即効性という点では他のわかりやすいメロスピ/メロパワに多少劣るかもしれませんが(本作も充分キャッチーですが)、この聴けば聴くほどに深遠な音世界に溺れていってしまうような快感は、普通のパワーメタルには無い甘美で危険な魅力です。

 

唯一ケチをつけるとしたらラストの国内盤ボーナストラックがインストなため、M13「Ministrium (Shadow Key)」~M14「Angel Of Refraction」の流れがアウトロ2連チャンになってしまっており、そこがちょっと冗長に感じられるところでしょうか。単体で聴けばどちらも良い曲なため、なんだかもったいないことになってるような気が...

 

M2「Phantom Divine (Shadow Empire)」 MV

実にKAMELOTらしいキラーチューン。映像も世界観全開でカッコいいです。

 

M3「Ravenlight」 Lyric Video