ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

MACHINE HEAD 『Catharsis』

MACHINE HEAD 『Catharsis』

アメリカ出身のエクストリームメタルバンドの最新作。一時期ラップを前面に押し出したヘヴィロックをプレイしていたものの(個人的にはこれはこれでフツーにカッコいいと思うんですが)、今やその要素はほとんど鳴りを潜め、モダンなヘヴィさを強調しつつも、メタリックなエクストリームスタイルにシフトしました。

 

本作はそんなMACHINE HEADらしさを発揮しつつも、完全にスラッシュメタルと言い切ってしまえる『The Blackening』、曲によっては様式美的な香りすら漂わせた『Unto The Locust』といった過去作と比較すると、モダンヘヴィネスやニューメタルに通じる、うねりのあるグルーヴィな要素が濃い。

 

こういう言い方をすると、正統的なメタルファンは拒否感を覚えるでしょうし(そういう人は最初からこのバンドは聴かないか)、実際そういった人にはちょっと厳しい出来に仕上がっていると思います。

 

しかし前々からSlipknotとかも好んで聴いてきた僕からすると、本作も充分にアグレッシヴで破壊力バツグンの力作に感じます。

 

アメリカ出身の強みを活かしたズンズン響くグルーヴ感とヘヴィリフ、そこに絡むロブ・フリンの荒れに荒れた歌声が強力で、思わず拳を握りしめ頭を振りたくなる。単純にアグレッシヴなヘヴィメタルとして非常にカッコいい音。

 

また単にヘヴィなグルーヴを押し出しているだけでなく、多くの曲でメランコリックなメロディーとアレンジがサビにおいて施されているのが良いんです。所謂"日本人好み"と呼ばれるようなものではないものの、程よく耳に引っかかるメロディーはメリハリが効いており、ただダラダラしているだけの印象はありません。

 

M1「Volatile」は早速ロブの獰猛なシャウトと重々しいリフが叩きつけられる強力なオープニング。サビ終わりのシャウトが交錯するパートなんか一緒に叫びたくなりますね~!

 

美しくも緊迫感のあるイントロと、ヘヴィリフからの落差が大きい急転直下の静かなサビがインパクトを放つM2「Catharsis」、叩きつけられるようなリズムから歌唱パートに入る導入がカッコよく、サビもメロディアスかつクールなM4「California Bleeding」、バックで聴こえる迫力満点のグロウルとメタリックに磨かれたリフ、広がりのあるサビが冴え渡るM13「Grind You Down」(コリィ・テイラーが歌ったらモロにSlipknotになりそう)など、楽曲はどれも高品質。

 

アコギがメインを張る、爽やかとすら言えるポップなメロディーとロブの乱暴なヴォーカルとのミスマッチが面白いM7「Bastards」なんかも面白いですね。アルバム中一曲はこういう変わり種もあっていいと思います。

 

そんな荒い歌とは対照的に、まっとうなバラードナンバーM10「Behind A Mask」なんかはかなりエモーショナルに歌い上げており、中盤のクリーンギターソロも非常に美しい。まさかMACHINE HEADのアルバムでこんな癒しを感じるとは…

 

ただ落ち着いたパートもあるとはいえ、これだけ野蛮でエクストリームな音、しかもそれなりに尺のある音を15曲にもわたって聴くのはちょっとシンドイかな…。これでリフや歌メロがもっとモダンで無機質だったら、長い曲が基本的に苦手な僕は最後まで聴き通すのは難しかったかも。9分近い大作のM11「Heavy Lies The Crown」なんかは、かなりドラマチックかつスリリングで良いんですけどね。

 

モダンでヘヴィなメタル、Slipknot辺りのエクストリームサウンドが好きな方であれば間違いなしの1枚かと。正統派・様式美を愛する人に響くかは微妙かもですが、どっちかって言ったら正統的なパワーメタルスタイルのバンドの方が好きなリスナーである僕でもためらいなくカッコいいと思える音なので、多くの方に手に取ってほしいですね。

 

M2「Catharsis」 MV

 

M6「Kaleidoscope」 MV