本国アメリカではチャートトップ10当たり前の大人気バンドであるにも関わらず、日本では大して注目されていない感じのする(それはこのバンドに限らずですが)オルタナティヴメタルバンドの6枚目のフルアルバム。
FOO FIGHTERSやNICKELBACK、STONE SOURあたりは高い人気を持っていますが、総じてこの手のジャンルは日本ではどうもウケが悪い。
アメリカだけでなく世界各国でチャートインし、過去作は100万も200万も売り上げた人気バンドなんですが、なかなか日本のHR/HMファンに受けている感じはない。LOUD PARKには出演したけど。
やっぱり日本人は歌謡的なメロディーとサビで熱く盛り上がる展開が好きだからでしょうか。僕も最初は本作を聴いたときは「演奏は硬質でカッコいいけど、歌メロに引っかからないかな~」などと思っていました。リードトラックであるM2「Devil」や、続くM3「Black Soul」などはリズム重視の曲調で、キャッチーさは控え目に感じます。
しかしやや弱めな出だしから一気にポップな解放感を見せるM4「Attention Attention」のサビはなかなか印象的だし、リフやドラムが勢いづいたM6「Pyro」もほどよいキャッチーさを効かせつつアグレッシヴでカッコいい。ブレント・スミスのヴォーカルもメロウな歌い上げから、適度にエッジの立った攻撃的な声も聴かせており確かな歌唱力を見せつけてくれます。声質自体もなかなか男らしくも色気があって実に良い声をしているな...。良いヴォーカリストです。
M9「Creatures」はアコギとストリングスがしっとりした叙情性を醸し出すバラードで、その予想以上の美しさに充分酔わせてくれるし、M11「Get Up」は相変わらずリズム重視の曲調ではあるものの、サビのポップさは本作随一。その心地よさに聴いてて思わず体を揺らしたくなっちゃいます。
そしてその後に続くM12「Special」はM11のサビのフレーズを使いまわしつつ、これまたストリングスが活用されたバラード。そのストリングスサウンドの盛り上げがM9以上にドラマチックかつ堂に入ったもので、ラストの拍手と共に流れるアウトロなんかメチャクチャ美しいな!余韻にジックリ浸れる名アウトロなのですがすぐに終わってしまうのがちょっと残念。
怪しげなベースとともに淡々と進行し、縦ノリのサビがキャッチーかつクールなM13「The Human Radio」は時折挟まれる電子音やサビ後の豪華なコーラスが曲の味付けとして面白い。そしてラストのM14「Brilliant」は本作中最もストレートな勢いに満ちたアップテンポナンバー。表打ちのスネアで疾走し、ポップかつキャッチーに聴かせるサビと後半のギターフレーズがいい感じ。最後の最後で比較的ハードな楽曲2連発で畳みかける構成のおかげで聴後感はスッキリです!
個人的な好みとはやや外れる音楽性にも関わらず、アメリカ産らしい乾いた叙情性をまといつつ、なかなかキャッチーに練られた旋律の魅力は大きく、特に後半の楽曲の充実度の高さと合わせて飽きずに楽しめました。
どちらかというとHR/HMファンより、ROCKIN' ON当たりで取り上げられるバンドが好きな方のほうがハマるのではないかなあと思いました。単純にハードなロックとしてカッコいい音を出しているし。
ただなまじLOUD PARKに出演したりCDショップのHR/HMコーナーで取り扱われているために、一般的なロックファンの目に触れなかったり敬遠されでもしたら何か不憫だなぁ。激ロックがけっこう頻繁に取り上げてくれてるっぽいけど、激ロックキッズにとってはエクストリームな要素が薄いと思うし...。
う~~~む、やっぱりこのバンドが日本でハネるには条件が厳しいかもしれない...。良いバンドなのに...。
M2「Devil」 MV
M13「The Human Radio」 MV