ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

菅原卓郎 『今夜だけ俺を』

菅原卓郎 『今夜だけ俺を』

ここ最近弾き語りツアーなどのソロ活動を行ってきた9mm Parabellum Bulletのヴォーカル菅原卓郎さん。ソロ名義では初の音源をリリースしました。

 

本作のテーマはズバリ謡曲。"平成最後の年に放つオルタナ謡曲"というコンセプトのもとに、作詞にいしわたり淳治さん、作曲に9mmギターの滝さんとおなじみの布陣で作り上げられました。

 

本作のコンセプトである"歌謡曲"というものは、そもそも本隊である9mm Parabellum Bulletというバンドにとって、切っても切れない極めて重要な 核となる要素。ダサい歌謡的なメロディーこそ9mmを9mmたらしめているという僕の意見には、多くの9mmファンが賛同してくれると思います。

 

だからこそあえて歌謡曲であることを打ち出し、しかも作詞作曲は今まで9mmに深くかかわってきた人とメインソングライターが担当するときたら、わざわざソロ名義で出す必要あるのかな?という疑問がよぎったのも事実です。「フツーに9mmでやりゃいいんじゃないの?」と。

 

しかしリリースが近づいた段階で公開されたアルバムの情報、およびタイトル曲M1「今夜だけ俺を」のMVはそれはそれは凄まじいインパクでした。どうか何も言わずに曲目とMVをご覧ください。

 

 

収録曲

M1「今夜だけ俺を」

M2「ボタンにかけた指先が」

M3「悪女」

M4「Baby どうかしてるぜ」

M5「ドレスを脱がせて」

M6「捨て台詞」

 

M1「今夜だけ俺を」 MV

 

 

見よ!このあまりの昭和歌謡への徹底っぷりを!!

平成が30年の歴史を終えようとしている今、こんな楽曲を作ろうなんて考えるセンスがどうかしてるぜ!

アス比もしっかり4:3だ!

トレンディエンジェルの斎藤さんが出演していることすら何かどうでもよくなってくるな(笑)

 

いや~~これはソロ名義で出すべきサウンドですね。9mmでやるにはあまりにも歌謡曲過ぎる。9mmはメロディーこそ歌謡的なれど、サウンドはメタル、ハードコアの影響を強く受けたロック。それに対し本作に込められた音はまんま歌謡曲そのものです。これは潔い。

 

全体的に9mmのように演奏の主張は強くなく、メタリックなギターも、バキバキのベースも、2バス連打の超絶ドラムも出てこない。あくまで歌を主軸とした音作りがされているのも差別化されている感じ。

 

そんなサウンドでもさすがはメロディーセンスに秀でた滝さん。どの曲にも彼らしい翳りのある哀愁メロがあふれており、かつ昭和歌謡のムーディーな雰囲気にもしっかりとマッチしている。

 

そしてそのメロディーを実に魅力的に歌い上げる卓郎さんのヴォーカルが良いんですよ。よく言われるように彼は決して歌が上手いタイプの人ではありません。むしろ上手いか下手かで考えれば下手な方でしょう(それでもインディーズやメジャー初期と比べれば飛躍的に歌唱の説得力・安定感は増しているのですが)。

 

しかしその独特の哀感を感じさせる、ちょいと鼻にかかったような声色、しなやかな色気を放つナルシシスティックな歌いまわしは古き良き歌謡メロと相性バツグン。艶やかな照明を浴びながらステージセット中央で歌う姿が如実に浮かび上がるようで雰囲気出てます。

 

「音楽は上手ければ良いわけではない」とはよく言ったものですが、まさに彼がそうですね。9mmでも感じますが、彼がもっとパワフルに上手く歌える人だったら(それこそONE OK ROCKのTakaさんやCROSSFAITHのKoieさんのクリーンみたいに)、楽曲の魅力はここまで引き立たなかったと思います。

 

M1「今夜だけ俺を」、M4「Baby どうかしてるぜ」のみ比較的アッパーな勢いを感じさせる曲ですが(特にM4は全盛期のジュリーが歌っても似合いそう。まあジュリーなんてあまりにも世代が違うんで「勝手にしやがれ」くらいしか知らんけど/笑)、それ以外の楽曲は濡れ濡れの哀愁をまとったムードあふれる昭和歌謡で概ね統一されています。

 

特に気に入ったのはM5「ドレスを脱がせて」。もの哀しいメロディーが本作中殊更に強く、美しいクリーントーンサウンドと合わせてなかなかに胸を打ってくれます。サビの抒情的な歌メロ、後半の間奏ギターが特にツボだ!

 

"平成最後の年に放つオルタナ謡曲集"のフレーズに偽りなし!時代錯誤なんて言葉すら生ぬるい本格歌謡に驚かされましたが、9mmで鍛えられた滝さんのメロディーセンス、その魅力を充分以上に引き出す卓郎さんのヴォーカルが存分に発揮された良作でした。9mmに激しいロックを期待する向き(まあ僕もそういう曲の方が好きっちゃ好きですが)にはウケるかはわかりませんが、9mmのダサい哀愁歌謡メロが好きだという人はかなり楽しめる作品ではないでしょうか。

 

↑の中に出てきそう(笑)