ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

lynch. 『Xlll』

lynch 『Xlll』

ベーシストの明徳さんの復帰後、彼がいない間に発表された『SINNERS-EP』『BLØOD THIRSTY CREATURE』に収録された楽曲を彼のベースで新たに録り直した『SINNERS -no one can fake my bløod-』のリリースを挟んで発表された、(EP等を含めば)13枚目のフルアルバム。

 

13枚目、バンド結成13年ということで、ダークなイメージを徹底しているこのバンドにとって「ここでこのタイトルをつけなきゃいつつけるんだ!」という狙いがあったのか、ストレートに忌み数を冠したタイトルで収録曲数も当然13曲。

 

そんな記念すべき(?)本作ですが、内容としては従来と大きく変わることのないもので、ヘヴィでダーク、怪しく混沌としつつもキャッチーなlynch.らしい世界観はそのまま。ファンであれば外されることのない充実の作品です。いやに官能的な歌いまわしとヒステリックなシャウトを見事に使い分ける葉月さんのヴォーカルワークの見事さも相変わらず。

 

13から始まるカウントダウンの後のシャウトで一気に畳みかけるM2「THIRTEEN」はまさにlynch.のド真ん中を行くキラーチューン。かなりヘヴィに仕上げられたサウンドも迫力満点ながら、スタイリッシュなサビがまたカッコいいのなんの!静かなAメロから徐々にシャウトと共に盛り上がり、そのままの勢いでサビへとつながる展開はあまりにもお約束ながら興奮が抑えられない。

 

かなり直接的でエロティックな歌詞がシャッフルのリズムで進む、ひと際怪しさを極めたM3「GROTESQUE」、中盤の唐突な転調とシンガロング必死なサビが印象的なM5「JØKER」、穏やかさをみせつつも本作中特にメランコリックなメロディーが際立つドラマチックチューンM9「FIVE」など、本格的なラウドロックでありつつも、普通のラウドロックにはないV系特有の色気が見事に発揮された楽曲は非常に魅力的です。

 

一つ不満点を挙げるとすれば、イントロとインタールードを除けば11曲の本作、静かに聴かせるタイプの楽曲が4曲ほどあり、ちょっと多いかな~と思われる点でしょうか。

 

もちろん彼ららしいメロディーがふんだんに盛り込まれていて、神秘的で浮遊感あるアレンジと相まってとても良くできた曲であり、決して退屈に感じるわけではないのですが、"凶悪なシャウトと艶のあるクリーンのコントラストが映えるヴォーカルが乗る、ヘヴィで疾走感あるサウンド"に大きな魅力を感じている身としては、やや物足りなさを覚えてしまったのも事実です。

 

M6「RENATUS」→M7「AMBLE」→M8「SENSE OF EMPTINESS」と、落ち着いた楽曲が連続する構成も個人的にはちょっとマイナスポイント。「JUDGEMENT」「MIRRORS -we're not alone-」のような曲があと1~2曲くらい入っていたらもう少し全体の印象が良くなったかな...と思ってしまいました。

 

とはいえlynch.というバンドに期待されるダークでヘヴィな音はしっかりと供給されており、ライヴで盛り上がりそうなパートもふんだんに盛り込まれていることも含め、本作もまたlynch.らしい良作であることには違いありません。

 

M5「JØKER」 MV

 

本作のトレーラー