ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

CROSSFAITH 『EX_MACHINA』

CROSSFAITH 『EX_MACHINA』

先日パリにて開催されたDOWNLOAD FESTIVALにてメインステージでのアクトを成功させた、世界を相手に戦い続ける国産デジタルメタルコアバンドの最新作。

 

正直に言うとこのバンドの新作にはあまり期待していませんでした。

 

彼らは初期こそ叙情メロデス風味も感じさせるような、アンダーグラウンド色濃いメタルコアをプレイしていましたが、前作フル『XENO』よりクリーンヴォイスを大々的に解禁。かなりモダンなポップさを含むようになり、賛否分かれるバンドとなりました。

 

個人的にはあれはあれで悪くないと思ったし、Koieさんのクリーンの上手さもあって、概ね「賛」の意見であり、それは感想にも表したつもりです。このくらいのスタイルなら全然楽しめるぞと(一方で本作を否定的に捉える人の気持ちも結構わかる)。

 

しかしその後発売された直近2作のシングル『FREEDOM』『WIPEOUT』の表題曲は、そんな"『XENO』肯定派"である僕ですら「さすがにここまでくるとちょっと…」と思ってしまうほどシャレオツポップ路線。仮にもメタルコアに分類されるバンドに対して、コレ望んでる人いるの?と疑問に思わざるを得ない内容でした。

 

今後アルバムもこの路線で来られたらキツいと思っていましたが、リードトラックとして先行公開されたM3「The Perfect Nightmare」はクリーン一切無し、狂気的なシャウトとド迫力のグロウルが織りなす、極めて凶悪なキラーチューン。さらにバンド側は「原点回帰ではなく原点凌駕」と本作を形容しており、彼らへの期待値が再び向上しました。

 

そんなこんなでゲットしてきた訳ですが、全体を通しての感想としては良くも悪くも期待通りでした。「まあこんな感じになるだろうな」という予想に違わない作風を、しかとした高いクオリティーで表現している…ってな塩梅です。

 

イントロのM1「Deus Ex Machina」から間髪入れずに、現在の彼らの王道と言えるラウドチューンM2「Catastrophe」へと行く流れはかなりエキサイティング。ややサビがポップすぎる感があるものの、充分アグレッシヴでカッコいい!

 

先述の名曲M3に、ハードコア・ヒップホップアーティスト(?)のHo99o9をゲストに迎えた怒涛のヘヴィラップコアM4「Destroy」が続くアルバム前半の勢いが良く、ブッ通しで聴くとかなり爽快。ラップはあまり得意ではない僕ですが、この曲はキレッキレでフツーにカッコいいと思えました。

 

しかし全編クリーンで歌われたM6「Lost In You」以降はあからさまに獰猛な勢いが削がれ、かなりソフトな楽曲が並ぶようになります。

 

正直彼らが「歌メロに秀でたバンド」とはとても思えないので、歌を聴かせる楽曲は箸休めとしてアルバム中一曲、せいぜい二曲くらいに収めてほしいなあ…。インタビューによるとこの構成は意図したもののようですが、あまり良い方向に向いているとは思えませんでした。

 

しかしそんな流れからインストを挟んだ後に続くM12「Daybreak」は、彼ららしい凶暴な疾走感とヘヴィリフ、クワイアめいたコーラスが飛び出し、ラストにかけてクリーンに歌い上げられるメロディーがドラマチック極まりない、アルバムのクライマックスに相応しいキラーチューン!この一曲だけでもアルバムの評価は上がりますね!...っていうか何でこういう曲もっとやってくれねえんだ(笑)

 

この曲で一気に持ち直してくれるおかげで、アルバムを聴き終えた時の印象は悪くないのですが、やはりアルバム全体を通して素晴らしいと手放しで褒められる出来ではないかな...という感じです。個人的には前作同様悪い作品とは思いませんが、相変わらず初期の彼らを愛するファンからは不評でしょうねえ...。

 

まあ初期の彼らは電子音こそあるものの、曲調はオーソドックスなメタルコアっていう感じで、今の彼らは"CROSSFAITHラウドロック"を確立した感があり、「人と同じことはしたくない」「固定観念をぶっ壊す」というバンドの目論見は当たっているのかもしれません。

 

ちなみにラストには昨年ヴォーカルが急逝したLINKIN PARKの名曲「Faint」をcoldrainのMasatoさんを交えてカバーしているのですが、これがほぼ完コピと呼べるほどのクオリティー

ただサビにおけるあの印象的なスクリームは、さすがにチェスターほどのスケール感には及ばないかな...。何というか変にチェスターを意識したような歪んだ声を出しており、正直普段のMasatoさんのようにストレートに叫んだ方がカッコよくなった気がします。

 

M2「Catastrophe」 MV

 

M3 「The Perfect Nightmare」 MV