紅一点のフロントマン、リジー・ヘイル率いるアメリカ出身のハードロック/ロックンロールバンドの4thフルアルバム。
アルバム全編通して『Slave To The Grind』の頃のSKID ROWを思わせる、ラフで荒々しいハードロック/ロックンロールスタイルを貫いており、単純にカッコいい、気持ちの良い音を奏でています。
北欧あたりのウェットな叙情性のあるメロディーを好む人(僕もですが)には、ちょっとカラッとし過ぎてあまり響かないかもしれませんが、甘くなりすぎずクドくもないこのキャッチーさが良い!という人も多くいるでしょう。
勢い充分でダイナミックな展開を見せる曲から、SHINEDOWNあたりにも通じるモダンなヘヴィさを目立たせた曲、不穏な空気をまとい淡々としたテンポでじっくり進んでいく曲など、多少の幅こそ持たせているものの、アメリカらしいハードロックの軸からは一切ブレていません。その統一感を感じさせる仕上がりは、抜けがいい音作りと相まって聴いてて爽快。
M6「Conflicted」やM8「Heart Of Novocaine」、M12「The Silence」といったアコギがメインを張るサウンドにおいても、いかにもアメリカらしい乾いたサウンドが提供しておりクセがなく聴きやすい。特に本編ラストを飾るM12は、郷愁を誘う美しいメロディーが絶品です。
楽曲はシンプルでカッコよく、荒々しさとタイトさがしっかりと調和した、ロックにおいて理想的な演奏も素晴らしい。音楽的な話ではないけどメンバーのルックスもカッコよくて、この時点でもうアルバムの評価は確かなモノになるのですが、そんな良質なアルバムをさらに煌めかせる、最大にして最強の武器がこのバンドにはあるのです。ちょっとでもこのバンドの音に触れてきた人ならおわかりでしょうが...
そう、ヴォーカルです。
リジー・ヘイル姉貴の男顔負け......否!そんじょそこらのナヨナヨフニャチン男ヴォーカルじゃ100人束になっても敵いっこない超強烈なパワフルヴォーカル!
M1「Black Vultures」のラストの大サビに入る前の魂の叫びは何度聴いても胸が熱くなるし、圧巻の早口歌唱からサビで一気に力を解き放つM3「Uncomfortable」のスケール感たるや素晴らしい。M7「Killing Ourselves To Live」のヒステリックなシャウトはマジで痺れます。
こんな強靭なヴォーカルパフォーマンスを披露し続けながら、要所要所で女性らしいたおやかな歌唱をフッと出してくるところなんかね、もうね、最高ですね。こんなのロックが好きなら惚れるなという方がムリでしょうよ。最高だぜ姉貴!!ついでに言うとヘドバンvol.19のインタビュー中の発言もカッコいい(笑)
とにかく強烈なヴォーカルに圧倒されたい人、とにかくノリのいいサウンドに陶酔したい人、とにかくVicious( = 危険な、獰猛な)ロックをブチかまされたい人、2018年マストのアルバムです。
M3「Uncomfortable」 MV
もうMVからしてカッケエっす。
M1「Black Vultures」 Official Visualizer
3:13~からの魂の絶唱に熱くなれ。