ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

MICHAEL ROMEO 『War Of The Worlds Pt. 1』

MICHAEL ROMEO 『War Of The Worlds Pt 1』

日本でも高い人気を誇るプログレッシヴメタルSymphony X。その音楽的な中心人物である、バカテクギタリストのマイケル・ロメオがソロ名義で発表したアルバム。

 

マイケル・ロメオは単純なテクニックももちろんながら、モダンヘヴィなギターリフと、それとはあまり相性が良くなさそうなネオクラシカルメタル的な楽曲を見事に溶け込ませた手腕も素晴らしいギタリスト。そんな彼がメインでやってるバンドのSymphony X名義にせず、あえてソロ作品としてリリースしたのだから、それはもう彼の持ち味がバリバリ発揮された"ギターアルバム"になりそうと思いました。

 

しかしいざ蓋を開けてみるとその印象は覆りました。意外なほどにメロディアスさあふれる仕上がりになっています。

 

確かにギターの存在感は大きい。ヘヴィかつプログレッシヴなギターリフは存在感バツグンで、ピロピロした速弾きも随所で登場。楽曲の骨太さやスリリングな印象をつけるのに一役買っています。

 

しかしそれ以上に印象に残るのは、美しさとキャッチーさを保有したメロディー、オーケストレーションを頻繁に用いた壮大な曲展開です。

 

M1「Introduction」から早速劇的なシンフォニックサウンドがお出まし。聴き手の期待感を煽る序曲から続くM2「Fear The Unknown」は複雑に練りこまれた(しかしテクデスやDjent系のような無機質な印象はさほど強くない)リフの応酬と共に、イントロの勢いを殺さない疾走ナンバー。ギターソロもバリバリ弾いてますが、充分にメロディアスなのが美味しい。一発目からかなりのキラーチューン。

 

M3「Black」もメロディックなサビと切れ味鋭いリフが交錯し、変拍子を交えたパートも小難しさ以上にドラマチックさを感じさせる佳曲。M4「F*cking Robots」はタイトルにロボットとあるだけあって、近未来的な雰囲気を醸し出すデジタルサウンドが特徴的なれど、そんな無機質なサウンドに反するかのように味わい深いメロディーが堪能できる。

 

そう、本作に収められた楽曲群は"マイケル・ロメオ"という名に期待されるプログレ風味、レベルの高さはバッチリながら、Symphony X以上とすら言えるほどにメロディーが豊かなのです。

 

そんなメロディーを歌い上げるのはリック・カステロというヴォーカリストなのですが、彼の歌唱がまたうまく、Symphony Xのラッセル・アレンからほどよく暑苦しさを抜いたような声質で堂々たる歌いっぷりを披露。主張の強い演奏に埋もれることなくキモとなるメロディーを聴かせてくれます。

 

まるで映画のBGMにも使えそうなほどに劇的なシンフォニックアレンジと、静と動を使い分けた絶妙な展開、何よりもメロディーの充実っぷりに、基本的にプログレッシヴメタルを「キャッチーさが足りず、難しい要素ばっかりで気持ちよく聴けない」というイメージでやや敬遠しがちな僕でも楽しんで聴くことができました。

 

ただ正直なことを言うと「Symphony Xと音の基本線は同じでヴォーカルの声質も似ていて、それでここまでクオリティーの高いプログレメタルが作れるなら本隊でやりゃいいのに」と思うのですが(笑)、マイケル・ロメオなりに本作の音はソロで出す必然性があると考えているのでしょう。とりあえずパート2の方も期待して待っていようと思います。

 

M2「Fear The Unknown」 Official Lyric Video

 

M3「Black」 Official Lyric Video