ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

10/4 TREAT / Tunguska Japan Tour 2018 ~Melodic Power Metal Night Vol.24~ at 渋谷CLUB QUATTRO

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スウェーデンと言えば今やすっかりエクストリームメタル大国になりましたが、今回の刺客は北欧メロディアスハード。

80年代より活動しているベテランながら、現在も良質な新作をリリースしている実力派・TREATの来日公演に行ってきました。同じメロハーのThe Poodlesの時と同じく、場所は渋谷CLUB QUATTROです。

 

しかし平日に行われるライヴでの一番の心配事は時間の問題。渋谷をはじめ都内の主要ライヴハウスの地へのアクセスがあまり良くない現在の職場、少しの残業をこなした後慌てて渋谷へ足を運ぶ。

 

下のフロアのブックオフが丸ごと無くなっていたのに少々驚きつつ、エレベーターで4階へ。急いでカウンターで当日券を購入しフロアへ入り、係員の指示に従ってドリンク交換をしようとしたその瞬間暗転。電車一本乗り過ごしてたら間違いなく遅刻してた...危なかった。

 

やや隙間こそ目立ったものの、前方のスタンディングフロアはなかなかの入りで平日のワンマンとしては健闘していた方でしょうか。フロア後方の、出入り口にほど近い位置でステージを注視。一段上がったところなので観やすいことは観やすいのですが、案の定柱がジャマで、キーボードのパトリックはいっっっさい見えませんでした。マジでこの構造考えたヤツ誰だよ...。

 

会場入りして即暗転したため今日の客層は把握できませんでしたが、まあ恐らく僕が最もガキンチョだったのではないかと勝手に推測しています(笑)

 

オーディエンスの歓声に迎え入れられ、一曲目の「Skies of Mongolia」がプレイされた瞬間、このバンドのパフォーマンスが素晴らしいものであることがすぐにわかりました。80年代から活動してて、途中解散していた時期があったバンドとは思えないほどヴォーカルと演奏に"現役のハードロック"感が漂っている。

 

しきりにマイクスタンドを掲げながら安定感のある歌声を響かせるヴォーカルのロバートは、顔こそだいぶ老け込んでいるものの(まあこれはしょうがない)、堂々としたロックバンドのフロントマンたるパフォーマンスを披露。最前の観客に対して盛んにコミュニケーションを図る余裕も見せる。

 

そして演奏陣もカッコいいの一言で、甘くて泣きの入ったメロディーを武器とするバンドながら、その想像以上にヘヴィ(と言っても決してモダンな印象は与えない)でタイトな演奏の主張が強く、まったく軟弱に響くことがない。正しく"ハードロック"しています。

 

アンサンブルが非常に強固にまとまっていると感じる要因は、落ち着いた渋めのロックに陥らないキレのあるリフを弾くアンダースの存在も大きいですが、それ以上にリズム隊の功績が大きいのかなあと感じました。

 

特に2016年に加入したベーシストのポンタス・エグベリ。彼のパフォーマンスは他メンバーと比べてひと際気合いの入ったもので(もちろん他が腑抜けたことやってたわけじゃないよ)、しっかりと腰を据えつつも盛んにヘッドバンギングしてステージに華を添える。

 

そしてベースがややないがしろにされがちなハードロックにおいて、ギターが一本ということもあるのかもしれませんが、かなり目立った骨太な低音でサウンドのボトムを支えており迫力は充分。見た目も音も本日一番ステージ映えしていたと思います。

 

ヴォーカルも演奏もクオリティーは非常に高く、そして彼らはその上曲がとてもいい。北欧メロディアスハードの代表格と語るに相応しい叙情性たっぷりのメロディーは聴いてて非常に心地良いのです。全曲においてまさに「心に染み入る」という表現が相応しい美メロを垂れ流す。後半に演奏された「Party All Over」はちょっとノーテンキ過ぎて浮いていた印象もありましたが、サビを大合唱して本日中随一の一体感・盛り上がりを見せていました。

 

特に解放的なサビの美しさが尋常ではない「Inferno」(こんな物騒な曲名なのにも関わらず)は感動しましたね。

 

その後は同じ『Ghost Of Graceland』アルバムに収録されているタイトル曲へと続くのですが、このアルバムからなら特にサビでの叙情性・北欧情緒がハンパじゃないレベルに到達している「I Don't Miss The Misery」をプレイして欲しかったな。まあ他の曲も充分以上にキャッチーなので文句はないですが。

 

このように楽曲もパフォーマンスも基本的には文句なしのライヴではありましたが、途中明らかにアンダースのギターの調子がおかしくなる時が。

 

しきりにチューニングを行うもののどうにも修正ができずに、とうとうアンダースはギターを下ろしステージ袖のスタッフへ手渡す。そしてギターが弾けない間は手拍子を促したり、背を向けて軽いダンスを披露したりして間をつないでいました。

 

ギターなしでハードロックなんて成立すんの!?と思われるかもしれませんが、そこはパトリックのキーボードの音色が前面に出てきたおかげで、音圧の物足りなさはさほど感じない。結構大きな機材トラブルが発生してもさして慌てた様子もなく、余裕のあるステージングをこなしていたのはやはりキャリア故でしょうか。おかげで会場もそこまで微妙な空気にはならず。

 

その後別のギターが用意されるも、何だか異様に音が汚くてゴチャッとしていて、ギターソロに入っても音の輪郭がわかりにくいことこの上ない。結局チューニングし続けるハメになり、やっとこさ調子を取り戻してきたと思ったら、ギターの不調に内心焦りを感じていたためか、今度はサビのコーラスのタイミングを思いっきり間違えてしまうというなかなか見られないミスが発生。

 

この日のアンダースは災難でしたね...。本人はきっとふがいなさを感じているかもしれませんが、まあ観てる側としては「生のライヴならではの光景を観れた」と好意的に取れなくもないですよね。

 

ただギターの調子が戻らずチューニングをずっと続けている中でも、有無を言わさず次の曲のイントロが流れてきたときには、「ちょっと待ってあげて!アンダースがピンチだよ!」と言ってあげたくなりましたが(笑)

 

ギターを交換してからは特にアクシデントは起こらず、本調子のライヴが戻ってくる。アンダースもここぞとばかりにタッピングを交えたソロを前に出てきて披露していました。良かった良かった。

 

ラストは最新作『Tunguska』収録の「Progenitors」「Build The Love」を続け、「World Of Promises」と流れる。今回オーディエンスの士気がなかなか高く、ベテランのライヴにありがちな「過去曲だけ盛り上がって、新作の曲へのリアクションは薄い」ということにならなかったため、新作からの曲が続いても会場の熱が落ちることはありませんでした。

 

ただ「World Of Promises」、ラストに演奏されるのがお約束らしく彼らの代表曲の位置づけのようですが、個人的には突出した出来の曲ではないと感じてしまったり...。良い曲ではあるんですけどね。

 

MCは極力少な目にし北欧情緒を多分に含んだグッドメロディーを連発、そして想像以上にハードさを保有した演奏と、終始安定したヴォーカルパフォーマンス、これぞメロディアスハードの王道!と呼びたくなるナイスな90分でした。The Poodlesもそうでしたが、メロハーライヴに外れは無いね!