ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

locofrank 『Stories』

locofrank 『Stories』

改名前の時代を含めれば今年で結成20年、何気にもうベテランの域に達した感のある実力派メロディックハードコアバンド・locofrankの7thアルバム。

 

2006年に自主レーベルである773Four RECORDSを設立してからというものの、CDリリースはすべてそのレーベルにて行ってきた彼らですが、今回はHawaiian6kamomekamomeらが所属するIKKI NOT DEADからのリリースとなっています。

 

「わざわざ自主レーベル作って、マネージャー業務まですべて自分たちで行ってきたバンドが、なんで今になってIKKI NOT DEADで出すんだ?」と疑問に思い、インタビュー記事などや彼らの発言などを当たってみるとこんな記述が。

 

ドラムのTatsuyaさんのインスタグラム

 

音楽ナタリー 20年間走り続けて見えたもの locofrank 木下正行 × Hawaiian6 HATANO

 

要するに"ここ数年完全DIYでレーベル運営をやっていたけれど、ライヴ活動と裏方業務の両立がいよいよ困難になってきたため、元々信頼関係を築けていたIKKI NOT DEADと協力することにした"ということのようです。

(ちなみに上のナタリーのインタビュー記事、この手のバンドを長く続けていくことの難しさや浮き沈み、バンドに懸ける想いなどにも触れられており、なかなか興味深い内容になっています)

 

まあ個人的にはアルバムの内容が充実したものになっていれば、リリース元がどうとか所属はどうとかは基本的にはどうでもいいわけで...本作の出来なのですが、正直に言わせてもらうと彼らのアルバムとしてはやや微妙

 

切ないアルペジオから疾走メロコアに切り替わるM1「THE LIGHT」は、サビにおける強烈な疾走感と胸に染み入る哀愁が絶妙に噛み合った、これぞlocofrankと言いたくなる王道のキラーチューン。

 

続くM2「Hate to lose」はよりポップさを強めた歌メロとハードロック寄りのギターリフが前面に出てくる、これまた彼ららしい疾走チューン。この時点では相変わらずの高品質なlocofrank節炸裂のメロコアアルバムであると言えるのですが...。

 

どうにもその後の楽曲のメロディーがちょいと弱い。どの曲も"悪くない。決して悪くはないんだけど...何だか普通"といった感じ。アルバムを一気に通して聴いても、一曲一曲抜き出して聴いてみても、どうにもかつての彼らの曲のように強烈に印象に残ることが無い。

 

もちろん今まで極めて高く安定したクオリティーの作品を量産し続けてきた彼らだけに、聴きごたえのない駄作に陥っているなんてことはありません。そんじょそこいらのメロコアバンドでは出せないパワフルで実直な演奏とヴォーカルはしかと健在。

 

ミニアルバム『WAY』にも収録されたM5「PASSED AWAY」や、CARPENTERSの名曲「青春の輝き」を相変わらずのカバーセンスの良さで、見事に自分たち流のメロコアに染め上げたM10「I NEED TO BE IN LOVE」などをはじめ彼ららしさはしかとあるし、単純な楽曲のクオリティーは充分以上に高いのです(ただCARPENTERSの曲はどれもメロディーが素晴らしいので、どんなアレンジを施そうが良い曲に聞こえてしまう、という点もあるかもしれない)

 

しかし「Grab Again」や「Recall」、「survive」といった、かつての彼らが生み出した思い切り胸を鷲掴みにされるような激情・破壊力を備えたキラーチューンが見当たらないのがどうにも...。先述のM1、M2と並ぶくらい気に入った曲はM11「Dirty walls」くらいで、あとはみんな7~80点台みたいな。

 

激ロックのインタビューによると、過去作と比較してメロディーのキャッチーさがやや控えめになっているのは本人たちも自覚済みなようで、むしろそのスルメ的(まあしょせんはわかりやすいメロコアなので言うほどスルメではないのですが)な魅力をプラスに考えている節アリ。

 

個人的にはメロコアに聴きこむごとに味わい深くなる的要素は求めておらず、聴いた瞬間一発で「ウオオオッ!カッチョイイイイ!メロディーが切なくて気持ちイイイイイッッ!!!」と思わせてほしいのですが。まあ歳を重ねて好みも変わってくることを考えると、なかなかそうともいかないのでしょうね...。

 

彼らの作品群の中ではちょっと評価の落ちる一枚になってしまった感がありますが、先に述べた通りクオリティー自体は決して外さないものを提供してくれているので、メロコアキッズであれば聴いて損なしではあります。ただ2nd『The First Chapter』や、3rd『BRAND-NEW OLD-STYLE』の頃の素晴らしさを期待すると肩透かしかも。

 

せっかく20周年という節目の時期で、レーベルも変え心機一転!っていうタイミングなのだから、もうちょっとメロディーを練ってほしかったな。

 

M1「THE LIGHT」 MV

感想はやや否定的な文章になってしまいましたが、この曲のカッコよさは文句なし。パワフルな演奏、ドッシリとした安定感あるヴォーカル、サビの爆発力と哀愁、まさにlocofrank