ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

OMNIUM GATHERUM 『The Burning Cold』

OMNIUM GATHEERUM 『The Burning Cold』

フィンランド出身のメロディックデスメタルバンドの8thフルアルバム。

 

本作は叙情系メロデスの傑作として、国内盤発売前から話題になっていたようですが、確かに前評判に違わぬハイクオリティーを見せつけています。

 

フィンランド出身のメロデスといえばChildren Of Bodomが最も有名かと思いますが(ですよね?)、彼らはボドムのようなわかりやすいヘヴィさ、アグレッシヴさは控えめ。音自体はさほど派手なものではありません。

 

しかし!キーボードを主軸として奏でられる、非常にキャッチーで美しい北欧叙情美旋律!!これがかなり強力で、アルバム全編において、胸を打つ切なさ全開のメロディーが溢れかえっている!!

 

一応デスメタルにカテゴライズされる音ではありますが、デスメタルらしいドロドロとした禍々しさ、アングラ臭はほぼ皆無。しかしモダンなエクストリームメタルのようにモッシュやサークルピットに向いた音というと、なかなかそうとも言い切れない。

 

とにかくただひたすらに哀愁(あまりクサい感じではない)漂う美メロを垂れ流しており、あまりの美しさと透明感に惚けてしまう...。ここまで普遍的な魅力溢れるメロディーを聴かせることに特化したデスメタルはなかなかないのでは。

 

まあ力強く疾走してヘドバン欲を駆られる曲も無くはないものの(M6「The Fearless Entity」やM8「Driven By Conflict」などは特に)、主となるのはやはり北欧臭丸出しのメロディアスなパート。

 

というかむしろ疾走感を抑えてメロディーを紡いでいる方が、じっくりと胸に染み渡るため魅力的とすら思えるほど!エクストリームメタルバンドなのに!!(もちろん疾走曲も素晴らしいですよ)

 

イントロに続くM2「Gods Go First」の時点で、迫力のあるリフと共にキャッチー極まりないキーボードが登場して驚かされますが、こんなモノはまだ序の口。ここから先、北欧叙情が休ませてはくれない。いや、何もせずこのメロディーにどっぷりじっくり身を浸すことができるので、ある意味ずっと休んでるようなものか(笑)

 

どの曲もメランコリックで豊かなメロディーに満ちていますが、特にM3「Rest In Your Heart」、M10「The Frontline」の2曲!この2曲における泣きに泣いた珠玉のメロディーは素晴らしいのなんの!!

 

両方とも後半からクライマックスにかけてのフレーズが素晴らしく、前者はクリーンギターがバックで流れる中、リードギターとピアノが同じメロディーをなぞり、さざ波の音と共に消えていくのが何とも儚く美しい...。キーボーディストのセンスの良さが光っていますね。

 

後者も3分を過ぎたあたりから聴ける、すさまじくメロディアスながらもテクニカルに唸るギターがそれはもうべらぼうに気持ちよく、神聖な雰囲気を醸し出すコーラスで幕を閉じる構成もベタながら優雅。

 

攻撃性に美的感覚も兼ね備えた超キャッチーなメロディック・メタル作品」という帯に記載された、ギタリストでメインコンポーザーのマーカス・ヴァンハラの言葉に偽りなし!いくらヘヴィで無機質なパートを導入しようとも、攻撃的に疾走しようとも、必ずと言っていいほど顔を出す繊細で神秘的な叙情性がとにかく素晴らしい!このバンドの作曲能力の高さは並みじゃない!

 

今年のデスラッシュを語るならTHOUSAND EYESTHE CROWNAt The Gatesの新作3枚は外せないと思っていますが、それと同様に今年のメロデスPARASITE INC.とこのバンドの2枚は聴き逃しちゃいけません。そう言いたくなるほど充実の作品でした。メロディアスな音を求めている方は相当なデスヴォイスアレルギーでもない限り聴かなきゃ損です。

 

M2「Gods Go Fast」 MV

 

M3「Refining Fire」 MV