ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

10/13 消毒GIG Vol. 170 「本物3時間GIG」 at 恵比寿LIQUIDROOM

20181013_消毒GIG

面を洗って出直して来たぜ!!

 

ジャパニーズハードコアというジャンルを代表する大ベテランGAUZEによる企画・消毒GIGに行ってきました。この消毒GIG、ハードコアに少しでも興味のある人ならばおそらく誰もが知っているであろう有名ライヴですが、恥ずかしながら参加するのは今回が初めて。

 

170回目(!)となる今回は主催のGAUZEに、僕が最も愛するハードコアバンドBRAHMANGAUZEと同じく30年以上のキャリアを持つベテランのニューロティカがそれぞれ1時間みっちりライヴを行うという、まさに極楽地獄が堪能できること請け合いのイベント。そしてチケット代は手数料諸々込みでも2500円以下という大概な安さ!さっすがハードコア!!

 

当然ながらチケットはソールドアウト。イープラスの先行で奇跡的にチケットをゲットできた僕は(なぜか知りませんが今年はチケット先行よく当たるんですよね。今後開催される倍率高そうなライヴの抽選にも2回参加して2回とも当たりました)、開場前にササッと渋谷をブラついたあと歩いて恵比寿まで。今年に入るまで行ったことなかったのに、ノーザンEvoken Fest、そして今日と3回も来ることになったLIQUIDROOMへ。

 

客層としては年齢層にバラつきはありつつも、メインとなるのは30~40代くらいの男性でしょうか。Evoken Festと異なり陰キャ、オタク臭さは全然無く(笑)、屈強なお兄さん方がゴロゴロ。気合の入った女性客もなかなか目立つ。地獄のモッシュが楽しめそうだ。

 

この消毒GIGというライヴは誰が前座で誰がメインという考えが無く、必ずしもGAUZEがトリを務めるとは限らないらしく、タイムテーブル的なものも存在しない。幕のかかった状態のステージを目の前にかなり前方付近で待機し、今か今かとトップバッターの出演を待ちました。

 

 

BRAHMAN

 

開演時間の17時半を5分ほど過ぎたあと暗転し、お馴染みのSE「お母さん、お願い」が流れると一気にフロアが沸き立つ。まさか彼らが一発目とは!という感じですが、まあ今回の3組の中では一番の若手ですし、開演時間を5分以上押していた時点でBRAHMANがトップバッターだろうと予想はできましたが(笑)

 

幕が下りたまま最初に演奏されるのは何と大名曲「霹靂」。切々とした歌い出しから息をのみ、劇的極まりないサビで拳を振り上げ共に歌う。早速ダイバーも現れましたが、この曲はじっくり噛みしめるように、感情と心でただひたすら聴くような曲だと思っていてダイブ向きではない気がするなあ。

 

今回はMCを一切行わずにブッ通しで演るGAUZE主催であるためか、お馴染みの「BRAHMAN始めます!」は無く、すぐさま「賽の河原」へと突入。元々彼らが3.11前に行っていたMC無しのスタイルはGAUZEからの影響のようですし、そのリスペクトを押し出してきた感じでしょうか。

 

しかしやっぱり彼らのライヴはいつ見てもスゴイ。静と動を巧みに使い分ける曲展開、アグレッシヴ極まりない疾走感と、それに合わせるかのように躍動するパフォーマンス。エモーショナルなメロディーの魅力と相まって、何とも感情に訴えかけてくる。まさに魂の名演!

 

ただやはりモッシュの激しさと、周りの屈強なお兄さんのせいで、あまり身長の高くない僕はドラムのRONZIさんは全くと言っていいほど見えず、またダイバーをさばく際に首が思いっきり曲がってしまうためにステージを満足に見られない時間もあるのですが...。まあそれを含めての生のハードコアライヴだ!!

 

今回の選曲はやや最近の楽曲が多く、定番の「SEE OFF」や「BASIS」はプレイされず(「SEE OFF」をやらないライヴは初めて観たかも)、ハードコアのレジェンドともいえるGAUZEとの共演だからか、より日本語のメッセージが突き刺さる楽曲が多い印象。

 

日本の現状を綴った「遠国」や、ストレートな怒りを吐き出す「不倶戴天」、そして「ハードコアといえばこの男」なSLANGのKOさんを招いての「守破離」など熱すぎる楽曲が目白押し。特に「遠国」は土着的な民族音楽の要素、野太い咆哮、キャッチーながら翳りのある歌メロが見事にブレンドされたBRAHMANらしさ満点の名曲だと思うのですが、なかなかライヴで聴く機会がなく残念だったのでうれしい限りです。

 

ハイライトとなったのは、淡々としたクリーンな出だしから唐突に激情迸るメロディーと共に爆走する名曲「LOSE ALL」(サビがサイッッコーにカッコいいのです)からの「The only way」でしたね。ここでTOSHI-LOWさんがマイクスタンドを持ち込み観客の上へ仁王立ち。

 

自身目掛けて続々と向かってくるダイバー達を文字通りブッ飛ばし叫び狂う姿はまさに鬼!しかし曲が終わった後の満面の笑みは温かい。

 

「カバーじゃねえ。コピーでもねえ。この曲はGAUZEからもらったんだ。」と、必ずやってくれるだろうと思っていたGAUZEの楽曲プレイ(曲名は不明。ググッても出てこない) "泣きたいけれど泣けません 泣きたいけれど泣けません 泣きたいけれど泣けません 泣いている暇はないんです"という繰り返されるフレーズが耳に残る、MAKOTOさんの獰猛なシャウトが活きた楽曲を極悪モッシュにまみれながら浴び、最後に「真善美」で締めてくれました。

 

BRAHMANをあまり大きくないハコで観るのは何気に久々でしたが、やはり彼らの凄みはライヴハウスでこそ進化を発揮するなと改めて感じた次第です。初っ端から体はガタガタになってしまいましたが、もうこの時点で充分以上満足です。

 

 

ニューロティカ

 

BRAHMANで精魂尽き果てるも、まだあと2組も残っている。それぞれ1時間、俺の体力は大丈夫なのか...。

 

そんな自分自身への心配をよそに、ファンキーなSEにのってやってきたのが大ベテランバンドのニューロティカ。有名なバンドではありますが、僕はこの日が観るのは初めて。

 

あっちゃんことイノウエアツシさん以外のメンバー3人が出てくるのですが、もうものの見事にルックスがバラバラ。長髪にワッペンつけたジャケットをキメたハードロック風のギターJAMESさんに、スキンヘッドに前頭部にちょこんと髪の毛生やしたドラムのNABOさん、唯一フツーの恰好してるベースのKATARUさん、そしておなじみピエロのメイクと衣装をまとったあっちゃん。

 

ライヴはとにかく底抜けに明るくピースフル。50代とは思えぬほどにアクションを決め、元気バリバリに歌い続けるあっちゃんの存在感もさることながら、時折前に出てきてハードロック寄りのギターソロを弾くJAMESさんも目立ち、とにかくステージ上が忙しなくて華やか。

 

しまいにはメンバー全員でステージ上を走り回る。ドラムのNABOさんも叩くのを放棄してスティック持ったまま走り回る(笑) 楽しそうだなオイ。

 

こういう見た目はイロモノ臭くて、だけど音楽に対する姿勢は真剣で、愛すべきバカっぽさを醸し出すバンド、どっかで似たようなの観たなぁ~と思いましたが、Phantom Excaliverですね(笑) ジャンルは全く異なれどマインドは通じるものがあるのではないでしょうか。

 

ぶっちゃけ演奏技術や歌唱力はキャリアの割りには高くないのですが、上手いだの下手だのはどうでもよくなるほどにピースフルな魅力に満ちたステージ。しきりにピースサインを差し出すあっちゃんの笑顔がまぶしいの何の。足掛け30年以上もロックバカを貫き続けてきたバンドの姿勢はそれだけでリスペクトの対象です。

 

今回の3組の中で唯一MCらしいMCを行い、今まで行ってきたライヴ1998回はすべて(!)ノートに記録してきており、今日が1999回目、記念すべき2000回目をZepp Tokyoにて行うこと。そしてGAUZEとの対バンは1987年以来であることを語る(ちなみにGAUZE以外にもいくつかのバンド名を挙げてくれましたが、Lip Creamくらいしか知ってるのがなかった/笑)

 

「一週間後にZeppが迫っているけど、まだこの会場に来ている人数分くらいは入る」「ステージが広いから距離感を間違える」「老体に鞭打って頑張る」とコミカルなMCを挟んだあとは、ひたすら楽曲の連打。僕のすぐ目の前では小規模ながらモッシュピットが発生して盛り上がっていました。

 

正直ほぼすべての楽曲が同じようなメロディーと疾走感のため、勢いは充分にあれどちょっと一本調子過ぎるのは否めないのですが、派手なステージングで単純に観ていて楽しかったです。Zepp成功してほしいなあ。

 

 

GAUZE

 

ここでノドの渇きが厳しくなってきたので、ドリンクカウンターにてレッドブルを受け取り一気に飲み干す。その後フロアに戻ってみると、もうすでにスタンディングフロアはびっしり。なんとか間をぬってやや後方の上手側へと入りGAUZEを待つ。

 

そしていざ楽曲が始まればあとは止まることなく轟音の嵐。いやホントにマジで轟音の嵐

 

いかにも荒っぽいハードコア感バリバリの高音が強調されたギター、バキバキの低音ベースの迫力がすさまじく、耳栓していなかったらかなりキツイでしょこれは。

 

そしてバカスカバカスカ暴れ狂うドラムの連打がそれに輪をかけてスゴイことになっており、正直バンドアンサンブルはまとまってるんだかまとまってないんだかわからん!(笑) ドラムのヒコさん、スキンヘッドであること以外はわりとどこでもいそうな落ち着いたルックスながら、そのプレイの荒れ狂いっぷりたるや...

 

そしてヴォーカルのフグさん、やせ細った中年男性ってな塩梅でありながら、その狂気的な絶叫の破壊力よ!これをマジで1時間ブチ抜きで叫び続けるのだから異常としか思えません。

 

ただあまりにヒステリックに叫び続けるがゆえに、ジャパニーズハードコア最大の魅力である魂のこもった歌詞が全然聴き取れん(笑) 「死人に口なし」の"南無阿弥陀仏"とラストに演奏された「面を洗って出直して来い」のタイトルくらいしかハッキリとわからんかった。まあGAUZEの楽曲はCD音源でも大体そんなモンですけどね。

 

ちなみにではありますが、GAUZEの歌詞は「これぞまさしくハードコア!」と言いたくなるほど、ケツをブッ叩かれることこの上ない痛快で説得力に満ち溢れたものなので、是非とも目を通してほしいです。

 

正直ハードコアに理解の無い人がこのステージを観たら「単なる騒音に合わせてギャーギャー騒いでるだけ」と思われてしまいそうですが(もしくは単なるギャグとして受け取られるか)、ジャパニーズハードコアとはこれで良いのです。

 

ジャパニーズハードコアとは単なる音楽に非ず!

痛烈な日本語のメッセージに乗る熱き人間の生き様よ!

 

コイツのやってる事なんざハードコアでも何でもねえんだよ!

ガラが悪いように振る舞えばパンクスだと思いこんでるんじゃねえぞ!

人間として誠実な心を持ってなきゃハードコアは鳴らせないのだ!!

 

...とまあどーでもいいことはさておき(笑)、1時間のド迫力の本物のハードコアパンク、しっかりと鼓膜と網膜に焼き付かせていただきました。

 

三者三様のパンクロックをそれぞれ1時間たっぷりと味わいましたが、そのどれもが全身全霊を賭したパフォーマンスでカッコよかったです。まさに「本物」の名に恥じぬ名演でした。

 

東日本大震災直後の新宿ANTIKNOCKでの映像で、BRAHMANがプレイした楽曲。もちろんBRAHMANも最高でしたが、本家本元のやつも聴きたかったなあ。