ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

おはようございます 『Design EP』

おはようございます 『Design EP』

え?なんでタイトルであいさつしてるのかって?

 

これ、バンド名ですよバンド名。"おはようございます"

 

Google検索当たり前のこのご時世に思いっきり検索に向かない(しかし「おはようございます」で検索すると何とこのバンドの情報が真っ先に出てくる)、あいさつという日常のやり取りをそのまま切り取った混じり気ナシのド直球極まりないネーミング。「なぜそんなバンド名にした選手権」を開催すれば確実にノミネート確実なバンド名を携えたラウドロックバンドの2作目の全国流通6曲入りEP。

 

バンドの中心人物であるベースの鬱Pさんはいわゆる"ボカロP"と呼ばれる、ボーカロイドを用いて既存の楽曲を歌わせたり、オリジナルの楽曲を作成・発表したりする人(詳しくはこちら)で、彼はラウドロックをベースとした楽曲を数多くクリエイトしていた経歴から"VOKALOUD(ボーカラウド)"なる呼び名で呼ばれていたのだとか。

 

このボーカロイドというヤツ、生気の感じられない機械声がどうにもこうにも肌に合わず、正直積極的に関わりたいメディアではないんですが(汗)、シーンの中には優れた音楽的才能を持った方がいるらしく、多くのクリエイターによって生み出された楽曲はフツーに一般流通のCDとして全国へ展開されています(僕が大学時代バイトしてたCDショップでもボカロPなどニコニコ動画関連のコーナーがありました)

 

ボカロPとはちょっと違いますが、和楽器バンドも元々はボーカロイドの楽曲のカバーから始まったらしいし、かつていわゆる"歌い手"として活動していたときには、ソロアルバムにボーカロイド楽曲のカバーを収録していたという赤飯さんも、今ではオメでたい頭でなによりのヴォーカルとしてメジャーデビューを飾ったりと、この手のオタクカルチャーみたいなものは閉塞的だったのがドンドンと外の世界へと注目度を広げていっている感があります。特に自身が歌うことで完全にJ-POPアーティストへと大成し大ブレイク、一般層への知名度を上げた米津玄師さんはその最たる例でしょう。

こういうメインストリームへと打って出ようとする動き、国内のHR/HMシーンも見習って欲しいですね(-。-)ボソッ

 

そしてこのおはようございますも、ボカロ界隈からJ-PUNK/LOUDシーンへ展開する勢力となり得るバンドです。

 

その奇抜すぎるバンド名、ボカロPというやや変わった出自を持つバンドということで、どんな音楽をやっているのか気になるところではありますが......ぶっちゃけて言うとやってることはわりかし普通のラウドロック

 

チューニングを下げ非常にヘヴィに歪ませたサウンドと、高音と低音を使い分けるデスヴォイスで攻め立て、サビになるとクリーンヴォイスでキャッチーな歌を聴かせる。部分部分でラップのような早口パートが登場したり、電子音が活用されEDMっぽい雰囲気を出したりなど、良くも悪くも国産ラウドロックらしさ丸出しの音を出していて、彼らならではの強みや個性みたいなものはあまり見えてこない感じ。しいて言えばモダンヘヴィネスの要素がやや強いか。

 

ただヘヴィな演奏は普通にクオリティーが高く演奏技術はしかとしたものがありそうだし、ヴォーカルもデスヴォイスはなかなかの破壊力で、クリーンもよくあるナヨナヨフニャチンヴォイスなんかではなく、太目な声質でしっかりと歌えている。客観的な実力自体はきちんと備わっていると思います。

 

高音と低音シャウトが交錯し、激しくタイトな演奏で疾走、サビはクリーンで怪しげなキャッチーさを見せる、歌詞と曲タイトルは不可思議な日本語という点で、"モダンヘヴィネスと化し、カオティックな要素を薄めたkamomekamome"と思えなくもないかも?(決して似てる!ってわけではないですが何となく。個人的にはより個性が明確でストレートなアグレッションが渦巻くkamomekamomeの方が好きですが)

 

彼らの王道のスタイルと思しきM1「真面目にやる」と、なかなかにメランコリックなメロディーを聴かせるM5「植物大爆笑」が気に入りましたが、つまらない捨て曲は無く、宇多田ヒカルさんのカバーであるM6「Wait&See ~リスク~」も違和感なくハマっている。

 

ただこの手のラウドロックは今の日本においてさすがに供給過多というか、飽和状態なのは間違いないでしょうし、すでに安定した人気を誇るバンドも多くいますから、その中で人気を勝ち取るのはなかなか難しそうではあります。先に述べた通り割りとよくあるタイプの楽曲で個性はやや薄いし、"すごいバンド"を自称しているものの、彼らと同程度以上のすごさを持つバンドは国内外にたくさんいますしね...。

 

ひょっとしてそんなシーンの状況の中でも注目されるようにあえてヘンテコなバンド名にしたとかなんでしょうか。ただそうだったとしても「ケッ、最近の邦ロックの流行りの、変な名前つけただけのバンドか。」と聴かれもせずにスルーされる危険性もはらんでいる気がしますが。

 

ぶっちゃけ半分ネタで買ったみたいなところはありますが(笑)、1200円ちょっとでこの内容であれば充分お釣りが返ってきたと言っていいでしょう。ただ今後も同じ内容でフルアルバムが出されてもついていくか、と言われればNOになってしまうかな...。

 

M1「真面目にやる」 MV

 

M4「モキュメンタリー・オブ・トーキョー」 Official Lyric Video