アメリカのシカゴにて1985年に結成されたという大ベテランハードポップ/ロックバンド。
ただベテランとはいえメンバーチェンジがなかなか激しいらしく、リードヴォーカルを務めるアダム・ハイスラーは若々しさのある爽やかイケメン。彼がフロントを務めているためか、CD内のメンバーショットはベテランとは思えぬフレッシュさ。
正直僕はこのバンドの存在は最近まで全く知らなかったのですが、ディスクユニオンのストアプレイで一聴惚れしてしまい購入してしまいました。
そう、本作に収められているのはキラッキラで胸キュン度MAXの極上ハードポップ。メロディーからヴォーカルの声質、バックのコーラスに至るまで何もかもが瑞々しいポップさと躍動感に満ち溢れているのです。
攻撃性やら危険なニオイは一切存在せず、どこまでも耳に馴染みやすい爽やかポップ。しかもアメリカンな乾いた質感ではなく、程よく哀愁と湿り気を帯びたウェットなもので、心のヒダにしっとりと優しく触れてくる。ここまで美しさを演出できるポップなメロディーはなかなかないのではないでしょうか。
M1「This Is Where The Party's At」から早速ハンズクラップと爽やかすぎるコーラスが飛び出し、恐ろしく優しく響くAメロ、メチャクチャキャッチーなサビで一気に引き込まれる。そんなメロディーを歌うアダムの歌声が見事にベストマッチしており、楽曲にさらなる煌めきを与えているのもポイント。
80年代風味のゴージャスなコーラスが聴きどころのM2「Wonderful World」、ひと際メロディーがウェットな叙情性に満ち溢れたキラキラハードポップナンバーM3「Say It Already」(名曲)に至るころには、その芳醇極まりないメロディーにすっかり虜に。
全曲に渡ってそんな美メロが息づいていおり、また全10曲と短くまとめられていることもあって、聴き疲れや中だるみなどは一切起こらない。本当に楽曲の粒がそろっていて、メロディーメーカーとしての実力に驚かされるばかりです。
某ポップパンクバンドと同じ名前を冠したM5「Better Luck Next Time」、短いながらメロディアスなギターソロも登場し、サビのウォーウォー言うコーラスが耳に残るM9「Happy Now」が前述のM3と並んで特に気に入りました。
一つわからないのは85年結成というキャリアを持ち、日本人の琴線にビシビシ触れる(と個人的には思っている)甘いメロディーを豊富に持ち合わせているバンドなのに、日本での知名度が全然ないこと。バンド名でGoogle検索かけても日本語のページがなかなか出てこないんですよね...。もっと知名度があっても良いと思うのですが。
また"本国では人気がある"みたいな記述もどっかのページで見かけましたが、YouTubeの公式チャンネルにある動画の再生回数は正直言ってかなり控えめで、本作の楽曲のMVすら作られてない様子。マネージャーや関係者はいったい何やっとる。
何だか実力に反して非常にもったいないバンドという印象を受けましたが、"ポップなメロディーを作ること"においては紛れもない確かな素養を持ったバンドだと思います。個人的には今年随一の掘り出し物でした。