エレクトロコアの代表格であるAttack Attack!のヴォーカリストであったオースティン・カーライルが所属していた(現在は脱退しており、ベーシストのアーロン・ポーリーがヴォーカルを務めている)メタルコア/ポストハードコアバンドの5thフルアルバム。
音楽性は至極まっとうなアメリカ産らしいポストハードコアのそれで、ヘヴィかつやや無機質な演奏とデスヴォイスで畳みかけていき、サビはクリーンでメロウに決めるもの。過去作は全米チャートで4位にランクインするなど本国ではかなりの人気を誇るようですが、それも充分にうなずけるクオリティーを有しています。
アメリカのこの手のバンドは皆演奏がうまく研ぎ澄まされているのですが、ご多分に漏れずこのバンドもキレのある演奏を終始鳴らす。
そしてそこに乗るヴォーカルが実に上手く、クリーン・デス共に申し分ない。ポストハードコア系統だとクリーンがナヨナヨっとした印象を与えてしまい、そこが弱点となってしまうケースもあると思うのですが、このバンドに関してはヴォーカル面には何ら問題はありません。実に良い声を聴かせてくれます。
本作のベストトラックはM2「Instincts」。この曲のサビは本作中随一のキャッチーさを誇るもので、アーロンによるイケメンヴォイスが実に映える。後半の速弾きギターソロもかなりのカッコよさで聴きどころとなっていますね。
その他の曲ですと、モダンさを強めた攻撃的なギターと、大きなスケール感を演出するサビが気持ちいいM5「Unbreakable」、珍しくストレートに疾走するパートではモッシュ欲を、その後のリズミカルなリフが刻まれるパートではヘドバン欲を誘発されるM10「Warzone」が良かったですね。ただM10に関してはサビでスローテンポになり、メロディーもややタルく感じられるため、サビ以外のパートの方がカッコいいことになっています(笑)
やはりと言いますか、全体的にどうしてもメロディーが弱く感じてしまうのが物足りないところかなあ...と。基本的に日本のリスナーって、乾いた質感より、湿り気を帯びた叙情性を発散するタイプのメロディーを好む人が多いと思います。このバンドはその条件に当てはまるとは言い難い。
とはいえ歌メロが歌謡的に過ぎるとどうしてもダサさと紙一重になってしまう恐れがあり、この手の音をメインに聴くリスナーはそういった要素をあまり好まないので(ですよね?)、彼らはこのスタイルを貫くのが正解でしょう。演奏もヘヴィさはあれど、そこまでゴリゴリにヘヴィなグルーヴを演出している訳ではないので、スッキリしたメロディーと合わせて聴きやすいと言えば聴きやすい。
まあ個人的にはたとえダサかろうと、芳醇な歌メロをガンガン聴かせるバンドの方が好きなのですが、これはメタルヘッズのどーしようもない性なんだろうなあ(笑)
やっぱこういったバンドはCDをゆっくり聴くより、ライヴを爆音で体感した方がより良さがわかるでしょうね。今年のWARPED TOURではBiSHと被っていたため後半チョロっとしか観られませんでしたが、早くも11月30日と12月1日の2日間、CROSSFAITHのツアーのサポートで来日が決まっています。
僕は12月1日の分のチケットをゲットしているので、良きライヴを期待しようではありませんか...
M2「Instincts」 MV (オススメ)
M5「Unbreakable」 MV