ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/23 Kalmah / Japan Tour 2018 at 下北沢GARDEN

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2016年に初来日を果たしたフィンランドのスワンプメタル・Kalmahの来日に足を運んできました。ゲストアクトとして、最新作『Day of Salvation』が好調な日本のデスラッシュメサイアTHOUSAND EYES、そして今年のW:O:A Metal Battleで優勝を果たした中国の実力派Die From Sorrowという豪華メンツ。

 

実をいうとこの日、僕は新宿ACBで行われるSTRUNG OUTとUSELESS IDのライヴに行こうと思っていたのです。海外パンクの中では最も好きと言ってもいいSTRUNG OUTは是非とも観てみたかったので。

 

しかし、さして事前情報などを確認していなかった僕が悪いのですが、この日の公演はPUNK ROCK SYNDROME 2018 TOKYOという名目で、フェス形式のように多数のバンドが出演するイベントになっていたのです。

 

そんなこと露知らず、「夕方ごろに新宿に行って当日券買えばいいや」とのんびりしていた僕は当然ながら大幅に遅れ、新宿についた頃には残っているアクトは半分以下。今から8000円近く払って時間の短いライヴを観るのはあまりにコストパフォーマンスが良くない。ただせさえ今月は来日が多く出費がかさんでいるというのに。

 

そんな事情でSTRUNG OUTをすっぱりあきらめた僕は、そのまま小田急線に乗り下北沢のKalmahを観に行こうと予定変更。

 

前売りが完売していたので当日券が買える確証はなかったのですが、まあ最悪下北の街を堪能すれば良いかなと。音楽の街と呼ばれる場所でありながら、何気に行くのは初めてだったので。

 

当日券が発売されるのは開場時間の17時ちょうどということだったので、それまでは下北沢の街をゆっくり散策。道幅が狭くかなりゴチャゴチャしているところですが、なかなかに洒落た街の雰囲気はキライじゃない。

 

レコードショップや古着屋を覗きつつ時間を潰して(古着屋のBGMがHALESTORMでちょっとテンションが上がった)、17時に当日券組の列へと並ぶ。幸いなことに並んでいた人全員が会場入りすることができました。

 

前売りがソールドアウトしているだけあり会場内はパンパン。何とかロッカーまでたどり着き、バックと上着を入れた後前方の方までスルスルと移動していき、トップバッターであるDie From Sorrowに備える。

 

 

Die From Sorrow

 

中国のメロディックデスメタルバンド。日本以外のアジア圏のメタルバンドのライヴを観るのは初めてかもしれない。

 

本日の出演組の中では唯一予備知識をほぼ持たないまま観たのですが、なかなかに魅力的な音を出しているのはすぐにわかりました。

 

Kalmahのような北欧メロデスとはまた違う、CHTHONICあたりにも通じるようなアジア圏のバンドならではの情緒に満ちたメランコリックなメロディーが前面に出ており、哀愁を漂わせているのがかなり良い感じ。

 

ただその肝心のメロディーをなぞるギターソロが若干もっさりしている印象があり、もうちょっとキレのある演奏ができるようになったらなお魅力的だなあと思いました。同期音源も使われていて、音圧の不満はなかったですが。

 

選任ヴォーカル以上に迫力のあるシャウトを響かせるチョビ髭ベーシストの見た目もインパクトありましたが、個人的に一番惹かれたのはドラム。ほとんど表情を変えないポーカーフェイスでありながら、思いっきり腕を振り上げ髪を振り乱し、ドコドコ連打するドラミングがかなりカッコいい。

 

ステージの低いライヴハウスで、身長があまり高くない僕はメンバーを視認することも一苦労でしたが、ちょうど人と人との間で見えやすいということもあり、ドラムばっかりに注目してしまいました。

 

前座ということもあり30分弱というかなり短いアクトではありましたが、Metal Battleで優勝したという実績は伊達ではないということは充分に感じられましたね。国内でのCD流通も期待したいところです。

 

 

THOUSAND EYES

 

お次は日本代表THOUSAND EYES。彼らを観るのは2015年11月の渋谷CYCLONE以来2度目。最新作も充分以上満足のいく仕上がりだっただけに、メインであるKalmah以上に楽しみだったといって良いかも。

 

劇的なSEから「DAY OF SALVATION」の轟音慟哭リフが鳴り響き、DOUGENさんの咆哮が炸裂すれば、早速フロア中央にモッシュピットが発生。人数は少ないながらもサークルまで出来上がる。先ほどのDie From Sorrowも歓声は結構上がっていましたが、それとは比べ物にならないほど熱量が高いのがわかります。

 

僕もいっちょモッシュに参加してやろうか!?とも思いましたが、あまり体力を消耗したくないので今回はお預け。下手側の方により、適度にモッシャー達を押し出しつつヘッドバンギングで応える。ただFUMIYAさんのドラミングがあまりにも速いがために、ヘドバンのペースがなかなか合わせづらい(笑)

 

しかし改めてこのバンドはスゴイと思います。先ほどのDie From Sorrowと比較して、出音の破壊力からして違う。これほどまで攻撃力とメロディアスさを最高峰のレベルで両立させるパフォーマンスはなかなかない。

 

高音域になろうと低音域になろうと破壊力を損なわないDOUGENさんのヴォーカルと、ベースのAKIRAさんによるバッキングのグロウルコーラス、尋常ならざる手数を繰り広げるFUMIYAさんの圧巻のドラミングに、なんといっても咽び泣くツインギター!これぞ千眼流デスラッシュ。ツインリードを響かせる瞬間はどうしても音が薄くなってしまうのは、まあ生のライヴだけに仕方ない。

 

オーディエンスの愛のあるハゲコールを受けつつ、主催のYamaDBさんに胡麻をする(笑)MCでやや和やかな雰囲気になるも、MC終わりの「BLOODY EMPIRE」「RAMPAGE TYRANT」という激情の疾走チューンで、あっという間に危険な空間に変えてしまうライヴ運びもこなれたもので集中力が途切れることもない。ラスト一分半の劇泣きツインギターソロが圧巻の「ONE THOUSAND EYES」まで哭き続けることができました。

 

ちなみにですが、最後AKIRAさんがセットリストの書かれた紙をフロアに投げ込み、なんと僕がゲットすることに成功。フロアに投げられたものを手に入れることができたのはSymphony Xのドラムスティックに続いて二回目です。

 

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まあキャッチしたのではなく、床に落ちてしまい誰にも気づかれないままだったものを拾っただけなのですが(笑)

 

 

Kalmah

 

ラストは今回メインアクトであるKalmahを残すのみ。THOUSAND EYES終わりでトイレに向かい、フロアへ戻ると人が多すぎて前に進むことができない。当然ながらステージの下半分くらいは人の頭で見えず、メンバーの顔は認識できるものの、演奏している手元はほぼ見えない状態に。

 

正直言うと彼らのライヴがどれだけのものを見せてくれるのかわからず、また音源の方もメロディアスで良いとはいえちょっと地味なのは否定できないので、どんなクオリティーのライヴになるのかはちょっと心配していました。前のTHOUSAND EYESが攻撃性バリバリだっただけに余計に。

 

しかし一曲目の「Swamphell」が投下されると、その北欧風味を存分にまとったシンセ、勢いに満ちたブラストビートが炸裂。一気に彼らのスワンプメタルに引き込まれました(MCでは「サムライメタル」と言っていましたが)

 

その後の「Pikemaster」でも一様にヘッドバンギングを繰り返しながら、冷たい叙情性をまとったメロディーで疾走。唸りを上げるギターも想像以上にド派手に舞っている。まさかここまで勢いのある演奏を繰り広げてくれるとは!

 

音響がやや高音主体でシャリシャリしていたことと、ペッカ・コッコのヴォーカルがデスヴォイスというよりは、ちょいと歪んだダミ声みたいな塩梅だったのはやや迫力不足に映るものの、彼らのような北欧メロデスには必ずしもヘヴィな攻撃性は望まれないし、音楽性には合っているので特に不満はない。

 

そしてオーディエンスの士気もかなり高く、フロア中央付近ではモッシュピットが発生(最初はあまりモッシュに向いた音ではないだろうと思っていたのですが、予想以上にエネルギッシュなパフォーマンスだったため、ピットが出現するのも頷ける)、そして彼らお得意の北欧由来の土着的な民謡フレーズが奏でられる箇所では大合唱が巻き起こる。

 

特に「Seventh Swamphony」の中盤、あの強烈なまでに哀愁を漂わせた悶涙フレーズの合唱の一体感はひと際強く、メンバーも何だか嬉しそう(特にベースのティモ・レヘティネン)

 

途中あからさまにヴェリ=マッティ・カナネンのキーボードの調子が狂って妙な間が空いたり、曲前のSEが完全に音飛びしてしまったりと、結構大きなトラブルが起きつつも、そういった要素も笑いに変えてしまう余裕を見せるステージングも良かったですね。

 

オーディエンスとのコミュニケーションを積極的にとったり、ビールを一気飲みしてものすごいしかめっ面披露したりといった笑えるポイントが多かったため、アンダーグラウンド要素の濃いデスメタルでありながら、意外なほどの親しみやすさも感じました。

 

これで僕が最も好きな「They Will Return」をプレイしてくれたらもう言うことなしのライヴだったわけですが、まあ贅沢は言うまい。北欧の冷気を感じさせる王道のメロディックデスメタル、ガッツリ堪能させていただきました。

 

ロディックな要素を持つエクストリームメタルという共通点を持ちつつも、それぞれ個性のある三者三様のステージを披露、非常に満足度の高い1日でしたね。特にKalmahがここまでのクオリティー見せつけてくれるとは思いませんでした。次回の来日があるのであれば、もうちょっと広いステージでも映えるかもしれませんね。

 

 

欲を言えばこの曲が聴きたかった

 

さらに欲を言えばこのバンドのライヴも観たかった(笑)