哀愁歌謡ノスタルジック・メロディック・デスメタルという、なんとも好き者の琴線に触れるであろうテーマを掲げ、去年発表されたアルバム『ROUGE NOIR』がクサメタラーの間で話題になった、一人メロデスプロジェクトの最新作。
僕は前作は聴いていないのですが、たまたまVeiled in Scarletの新譜と同日に発売されていたので、一緒に購入してみました。
そして聴いてみてビックリ。
こりゃクセエ!
メチャクチャにクセエ!
クサくない瞬間が無え!!
この「とにかく収録された音に少しでも隙間があろうものならクサメロをブチ込みました!!」みたいなやりすぎなまでの作風は、クサけりゃなんでも来いな重度のクサメタラーであれば、確実に呼吸困難になって悶絶死を迎えることになるでしょう。ブックレットには"Everything is for Melody. Melody is Life..."なんて書いてあるだけに、クサメロにかける熱量は相当なモンであることがわかります(笑)
これほどまでの臭気を放つメロディーを生んだJUNYAさんは、作曲のみならず作詞、ヴォーカル、ギター、プロデュース諸々もすべて自分一人でこなしているよう。ベースやドラム、ストリングスはクレジットに記載がありませんが打ち込みとかなのでしょうか?
こんな作品をほぼ独力で作り上げるその才覚はすさまじいものがあると思うし、実際この作品は聴く人が聴けば至高の名盤になり得るほどの魅力があります。
ただ僕個人の趣味というか、感覚からすると、本作の音はさすがにちょっとクドすぎる&あざとすぎるかなぁと。
やりすぎなクサさが起伏も無くず~~っと垂れ流し状態で、さらに一曲一曲がそこそこ長いので(普通のアルバムであれば一分くらいの繋ぎの曲になるであろうインストのM5「IMMORTAL NIGHTS」でさえ4分半もある)、序盤から中盤にさしかかるあたりで一回休憩入れたくなります(笑)
また最大の魅力であるメロディーはほぼシンフォニックサウンドが一任しており、ギターを始めとした通常のバンドサウンドの主張が弱めで、音作り自体もやや軽い。基本的にヘヴィメタルはリフを主体としたサウンドでパワフルにガシガシ攻めているモノが好きな僕にとっては、そこもちょっとマイナスに感じてしまいました。
ド派手なシンフォニックサウンドでメロディーの洪水を引き起こすことにのみ注力しているのは潔くて気持ちがいいと言えるかもしれませんが、もうちょっと「引き」とか「緩急」みたいなものが欲しかったですね。アルバムのメリハリもそれでつきますし、各曲が印象に残りやすくなると思います。
リズム面でのアレンジをしっかりとできるメンバーを入れて、本格的にバンドとしての活動を行えば結構すごいことになるのではないかと期待されるのですが、本人はソロで3rdアルバムまで制作し、その後の活動はひとまず休止する予定なんだとか。インタビューの発言でも、楽曲制作は一人でこだわりぬいてやりたいタイプっぽいし、バンドを組むことは恐らくなさそうですね...。
何だかもったいない気もしますが、本人曰く「今まで作ってきた中で最強レベルの曲の大半はすべて3rdアルバムのために保存してある」とのことらしいので、やりたいようにやって最後の最後に傑作を出してほしいなと期待しています。
あと余談になりますが、彼は来年25歳になるらしいので、ちょうど僕と同い年ということになります。さらに音楽の原点がRPGの「イースシリーズ」のBGMであるらしく、PSVitaで「イースVIII -Lacrimosa of DANA-」を「BGMイイなぁ~」と思いながらしこたまプレイしていた僕としては、勝手に親近感を抱いているので(笑)、何だか応援したくなります。
イースVIIIの最初のエリアである名知らず海岸の「SUNSHINE COASTLINE」が大好きなんですよね~僕は。フィールドの美しく爽やかな景観と合わせて、「これから冒険に出るぞっ!」ていう気概が高まるんですよね~~♪
ボス戦のBGMもアツく疾走感もあるもので、戦いの緊迫感と熱量を上げてくれるんですよ。キルゴールにゃ負けんぞって気分になるんです!燃えるのです!
いや~~何だか久しぶりに漂流村に行きたくなってきたぞ!いっちょジャンダルム登るか!!
......全然関係ない締めでスイマセン。
M6「SORROWFUL WIDOW」 Official Lyric Video
本作のトレーラー