DYNAZTYのフロントマンであるニルス・モーリンが、多くの人から「宝の持ち腐れ」と思われつつもAMARANTHEに加入したというニュースはメタルシーンを騒がせました。
これをきっかけに確固たる実力を備えていながら、それに見合った評価は得られていないように感じるDYNAZTYに注目が集まれば良いのですが、やっぱりDYNAZTYの活動に支障をきたしてしまったら嫌だなあ...というのが正直な気持ちだったりします。
まあでもしっかりとした内容のアルバムがきちんと発売されれば文句は言うまい。傑作『Titanic Mass』に続く最新作を聴きました。
そうして出てきた感想は...何か悪かないけど地味じゃね?というもの。
基本線は前作までの作風と特に変わっているわけではありません。歌がフィーチャーされながらもヘヴィなギターリフを中心とした、弱くならない骨太な演奏が光るメロディックメタル。ニルス・モーリンの熱きヴォーカルパフォーマンスもバッチリ。クオリティー自体は間違いなくハイレベル。
しかしどうも前作、前々作で味わったような、心を鷲掴みにされ魂を鼓舞されるような高揚感が不足気味。全体的にやや不完全燃焼感が漂ってしまっている気がします。
ひょっとして即効性が低めなだけで、聴きこむごとに味わいが増すスルメアルバム的なものかな?と思い、何度か聴き直してみたものの、結局最初に感じた不完全燃焼感は最後まで払拭することはできませんでした。
演奏もヴォーカルも相変わらず良く、スタイルも変わっていないだけに、本作におけるこの「良いんだけど何かが若干足りない感覚」の要因は歌メロによるものなのかなあと思っています。
過去曲の「Starlight」「Free Man's Anthem」のような、心の琴線にガツンと来るストレートなキャッチーさが弱い(無いわけではない)ために、イマイチ心躍る瞬間がないのが残念。
とはいえオープニングトラックのM1「Breathe With Me」は、アグレッシヴなヘヴィリフ、モダンなアレンジを施しつつ正統的なメタルの軸からはブレない、非常に軽快でキャッチーなサビを持つ彼ららしさ満載の楽曲。ちゃんと目立ったキラーチューンを収録しているのはありがたいですね。
跳ねるようなリズムと、これまたサビがキャッチーに磨かれたM6「Firesign」、シンセによるメロディーがまるでRPGの城のBGMみたいなインパクトを放つM11「The Light Inside The Tunnel」、ボートラではあるものの彼らの王道を行くメロディックチューンM12「Prestige」といった印象に残る曲もあり、決してつまらない作品などではありません。この辺はさすがDYNAZTYといったところです。
「良い曲はしかと用意されており、客観的なクオリティーは相変わらず高いけど、従来作ほどテンションは上がらなかった」というビミョ~~な食い足りなさ。何となくlocofrankの新作と同じようなものを感じました。もうひと頑張りしてほしかったな。
まあBULLET FOR MY VALENTINEに比べりゃ全然マシではあるんですが(笑)
M1「Breathe With Me」 Official Audio
本作で一曲挙げろと言われればやっぱコレ
M2「The Gray」 MV
彼らのリードトラックとしてはやや微妙な感じ