ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

ALL THAT REMAINS 『Victim Of The New Disease』 (2018)

ALL THAT REMAINS 『Victim Of The New Disease』

本作発売直前に、リードギタリストであるオリ・ハーバートが急逝するという悲劇に見舞われ、結果的に彼の遺作となってしまった最新作。HR/HMの実力者がまた一人逝ってしまいましたね...R.I.P.

 

一応メタルコアというジャンルの代表格の一つとしてとらえられていたバンドですが、ここ最近の作品はメタルコア路線からどんどん遠ざかり、叙情的かつエクストリームな要素が消えてしまっているという評判を聞いておりスルーしていました。

 

ただ本作はメランコリックなメロディーとメタルコアの攻撃性が合わさった原点回帰的な作風という前評判があり、オリ・ハーバートへの追悼の意味も持ちつつ、少しの期待感を抱いて購入してみました。

 

そして聴いてみて、確かにメタルコアらしいヘヴィでソリッドなギターリフ、シャウト多用のヴォーカルパフォーマンスが遺憾なく発揮されていることがわかり、メタルとしてのアイデンティティは取り戻しているように聞こえました。彼らの十八番といえる(?)「イ゛ィィヤ゛ァァァァァァーーーーッ!!」のシャウトも所々で聴かれますし。

 

とはいえ攻撃的なスタイルが戻ったことと、個人的に満足がいったこととはまた別の話でして......正直イマイチピンと来ない作品に仕上がっている感があります。

 

M1「Fuck Love」やM3「Blood I Spill」、M4「Wasteland」といった非常にアグレッシヴな楽曲のおかげで獰猛な攻撃性は申し分なし。サビのクリーンヴォイスによるパートもふんだんに盛り込まれており、メタルコアの王道とも呼べる出来で、完成度自体は確かなものがあるでしょう。

 

ただどうにもテンションが上がりきらないというか...。

 

これはやはりメロディーの問題かなと。「This Calling」「Six」のような、メロデスにも通じる激情のメロディーが聴かれていた過去作とは異なり、本作で聴かれるのはメロウではあれどキャッチーさに欠けるモダンテイストなもの。どうも心に引っかかるフックがない。サウンドのキレはしかとしたものがあるだけに、全体的に不完全燃焼な感じです。

 

とはいえM6「Misery In Me」はKILLSWITCH ENGAGEを思わせるようなメロディーが(サビの一部で)聴けるし、M5「Alone In The Darkness」とM8「Just Tell Me Something」のバラード二曲は、エモ的な哀愁を含んだメロディーが映える楽曲となっています。特に後者はイイね!

 

決してけなすような作品ではなく、メタルコアとしてあるべき姿になっているのは良いのですが、やはり全体的に高揚しそうでなかなか高揚しない中途半端さが強い作品になりました。もうちょっとメロに力を入れてくれないと、各楽曲が印象に残りづらいかな...。

 

M1「Fuck Love」 Lyric Video

 

M4「Wasteland」 Official Stream