ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

FACT 『KTHEAT』 (2015)

FACT 『KTHEAT』

こないだ仕事終わりに何となく入った中古のメディアショップにて400円弱で売っていたため、こりゃお得かもと思い購入しました。

 

ちなみにそのお店、アニメのDVDやトレーディングカードが主力商品のようで、CDの扱いが結構おざなりになっており、日本のミクスチャーロックバンドのKNOCK OUT MONKEY(ノック・アウト・モンキー)のアルバムが、洋楽コーナーのカ行のところにあった(笑) まあそんな扱いのお店だからこそ安く買えたので文句は言いませんが...

 

人気が衰えることのないまま、惜しまれつつも2015年に解散した6人組ポストハードコアバンドのラストアルバム。本作が発売されてから解散まであっという間であり、結構驚いた記憶があります。

 

彼らは初期はメタリックさの強いハードコアをプレイしており、中期にはエレクトロコアやトランス要素をブレンドしつつよりポップなメロディーを導入、エレクトロ要素が最大まで振り切れた後イギリス人ギタリストのAdamさんが加入し、ポップさは適度に残しつつハードコアな側面をまた強調する...といった感じで、良くも悪くも型にはまらなかったバンドです。

 

そしてラストアルバムとなった本作の方向性としては、前作『WITNESS』の作風を順当に踏襲しつつ、よりスピード感とハードさを増強した印象。エレクトロコアゆずりの機械的で無機質な雰囲気も忍ばせつつ、暴れまくるドラムやキレのいいメタリックなリフを主軸としたナンバーは初期(能面を被りだす前)に通じるものがある。ある意味キャリアの集大成と言えるかもしれません。

 

特筆すべきはスピードチューンのカッコよさで、M2「wait」、M3「worm」、M9「feel」といった楽曲は、キャッチーなサビを持ちながらキレ気味に爆走する曲で、聴き手のテンションをガッツリと底上げする。Adamさんのシャウトヴォーカルがまた安定感と攻撃性を完璧に両立しているのもポイントです。ぶっちゃけメインヴォーカルのHiroさんより歌唱スキルは高い(笑)

 

またキレっぷりこそ凄まじいものの、一曲通して爆走しっぱなしというのは意外と少なく、静かなブレイクパートを設けたり、急激なテンポチェンジと共に小刻みなリフが飛び出したりと、なかなかに凝った展開を見せるのも特徴。まあ最初から最後まで突っ走ってほしいという意見もあるかもですが。

 

ただスピードを落とした楽曲があまり面白みのある出来になっていないのがちょっと残念。ミドルチューンでもメロディーがしっかり活きていれば、聴かせるタイプの楽曲として成立するのですが、彼らはメロディーが優れているバンドとはちょっと言い難いだけに、ただ単に速さによる興奮が失われてしまっているだけに感じられるのは痛いかなあと。

 

特にM1「the way down」はとてもアルバムのオープニングトラックとは思えないほど地味な曲(笑) これが一分ぐらいの長さであればM2への繋ぎの曲として割り切れますが、しっかり三分半以上あるからなあ...。後半ややテンポアップするとはいえ印象を良くするほどでもない。

 

アウトロを除けばラストとなるM10「over」はバラード的な趣の曲ですが、これももっとメロディーが感動的であればクライマックスに相応しいのですが、どうもメロディーが淡白で歌が印象に残らないことになってしまっている。

 

アルバム一枚通しみても、曲単位でそれぞれ捉えても、単純なハードコアとは異なり一筋縄ではいかない作風。スピードチューンとそうでない曲の出来が大きく感じられるのが難点ではありますが、長いキャリアを締めくくる役目は果たせる佳作に仕上がっているとは思います。個人的には『Never Turn Out the Light to Keep Myself』くらいに振り切ってほしかったですけどね。

 

M1「the way down」 MV

いまいち掴みどころのない地味な曲

 

M2「wait」 MV

この曲は文句なしにカッコいい!