何故だかここ最近「メイデン聴きたい欲求」が高まったので(突然特定のジャンル/アーティストが聴きたくなる時ってありません?)、僕がIRON MAIDENのアルバムで最も好きな作品の感想を書こうと思います。「HR/HMが好き」と言っておきながら、ヘヴィメタルの代表である彼らに関した感想は一回も書いたことが無かったのでちょうどいいや。
『Somewhere In Time』『Fear Of The Dark』も好きなのですが、総合的に考えれば本作が一番かなあと思っています。
本作の何が良いかって言うと、IRON MAIDENというバンドの個性をしっかりと描きつつ、抜群にキャッチーで聴きやすく、クドくならずに仕上げた点ではないかと。
ヘヴィメタルに必要な最低限の攻撃性は有しつつ、彼ら特有のドラマチックな展開と勇壮なツインリード、わかりやすいキャッチーさがアルバム全体において絶妙に織り交ぜられたバランスが非常に魅力的。なおかつ曲単体で抜き出してもカッコいいメイデンナンバーばかり!
オープニングトラックのM1「Moonchild」からして早速名曲。幻想的なシンセと、ズンズン迫ってくるような緊迫感を演出するギターが重なるイントロからゾクゾクするし、特大のスケール感と共に疾駆するサビのカッコよさは尋常ではない。あまり取り沙汰される曲ではないっぽいですが、個人的には彼らの中ではかなり好きな曲です。
より哀愁が強くなったM2「Infinite Dreams」、一度聴けば一発で覚えられそうなほどポップなM3「Can I Play With Madness」へと続き、堂々たるツインリードが冴え渡る、メイデン至高の名曲M4「The Evil That Men Do」が待ち受ける流れで完全にヤラレます。
そんなキラーチューンに酔わされた後に、10分近くの大作であるM5「Seventh Son Of A Seventh Son」が登場。後半のリードギターが活躍しテンポアップするインストパートがまたすばらしく、決して緊張感が途切れることがない。M4と合わせたこの2連打が本作のハイライトたる場面です。
前半の畳みかけから劇的な名曲を挟んだ後半は、これまでの怒涛の流れと比べると少し肩の力が抜けた印象ですが、当然ながら捨て曲になるなんてことはあるはずがない。どの曲にも印象的なメロディーとメイデンらしい構築美、ツインリードがギラリと光る美味しい楽曲が立ち並び、最後の最後までアルバムの世界に没頭できます。特にラストを飾るM8「Only The Good Die Young」の印象的なイントロはかなり響きますね。シリアスなサビとそれに続くギターソロのカッコよさも折り紙付き!
彼ららしい大仰なドラマチックさは健在でありながら、シンセによるポップさが聴きやすさに昇華されている。明確なハイライトとなり得る大作を含み、十八番のドラマチックなツインリードも盛りだくさんで非常に濃密な内容ながら、全8曲という少な目なボリュームが功を奏して、決して中だるみをすることもない。実に見事に構築された名盤だと思います。現在の彼らには過去の自分たちの楽曲構築能力の高さを今一度思い出してほしいものです(笑)
しかしこのアルバムも発売されてから30年経つんですね。当時生まれてもいない僕ですら「メチャクチャカッコいい!」って思ってしまうわけですから、音楽の魅力というのは時代を超える普遍性があるんですねえ...。
僕は「HR/HMは70~80年代のものこそが至高!」と言うつもりはなく、むしろ近代メタルの方が速くて熱くてカッコいいと思っているのですが、やはり過去の名盤の持つパワーっていうものもスゲエんだなぁーと改めて思う次第です。
M3「Can I Play With Madness」 MV
M4「The Evil That Men Do」 MV