ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

オメでたい頭でなにより 『オメでたい頭でなにより1』

オメでたい頭でなにより 『オメでたい頭でなにより1』

最初の2019年発売作品の感想です!VOLCANOのアルバムも今年発売ではありますが、あれは過去作品の再録であり新譜ではないですからね。

 

「楽しく、幸せに騒げる、底抜けに自由でオメでたいバンド」をコンセプトとして掲げる、日本一オメでたい人情ラウドロックバンドのメジャーデビュー後初となるフルアルバム。

 

ヴォーカルの赤飯さんは、10年くらい前からニコニコ動画のいわゆる「歌ってみた」動画で注目を浴び、歌い手としての活動経歴を持ち、楽器隊もその手の界隈でキャリアを積んでいたそうです(ギターヴォーカルのぽにきんぐだむさんは「ポンデ王子」という名前で動画投稿をしてたらしい)

 

ものすごくチャラくも(笑)非常にキャッチー、適度にハードかつタイトなサウンドはなかなかクオリティーが高く、一昨年の大冠祭でその存在を知ってから何となく気になる存在であったので、メジャーアルバム第一作となる本作を購入してみました。

 

オープニングナンバーであるM1「ザ・レジスタンス」は高速のタッピングを絡めた叙情的なメロディーで疾走し、軍歌や応援歌のようにも聞こえるAメロ、頭を降らせるヘヴィリフ、シンガロングを豊富に取り入れたサビを持つ楽曲。これはイイね!こういうサビ好き好き!!

 

メジャー1stシングルのM2「鯛獲る」、アニソンを思わせるメロディーと、各企業へ自分たちを売り込む歌詞が特徴のM3「鯛アップ (TVサイズ)」など前半は勢いのある、らしさ全開のアッパーチューンで押していく構成。ここまででも充分に面白い内容なのですが、本作の際立った特徴が顔を出すのは中盤から後半にかけてです。

 

自身のことを明確に"ラウドロックバンド"としているだけあり、後半も基本的にはにその手の音を逸脱するものではないのですが、日本に多数いる画一的なラウドロックとはちょっと......いや、だいぶ違う

 

結婚式のBGMをまるっと導入し、最初から最後までキラッキラのラヴソングに仕上げたM7「」、熱心なX JAPANフリークが聴いたらブチ切れること必至な(笑)M8「サイレンとジェラシー (オメワン Ver.)」、90年代J-POPの雰囲気(もっとハッキリ言えば完全にドリカム)を強烈に漂わせ、疑似ライヴの掛け合いを中盤にねじ込んだM9「終わらない恋からの脱出 (妄想LIVE Ver.)」、火サスのアイキャッチから幕を開け、タイトル通りの歌謡的なメロディーで爆走するM10「歌謡サスペンス劇場 ~わたしがやりました~ (オメワン Ver.)」などなど......普通のラウドロックバンドじゃまず取り入れないようなあらゆる要素を容赦なくブッ込んでいる。

 

インディーズ期の彼らの楽曲も、コミカルなものから真面目なもの、ポップなものからヘヴィなものと、楽曲のカラーはわりかし多彩だったと思いますが、ここまで振り幅のある作風は初めてなのではないでしょうか。「曲単位ではなく、アルバム全体を通してミクスチャー感を演出する」という狙いがあったようですが、まさにその目論見通りのカラフルさ。

 

最後にカオティックコア顔負けのダークなナンバーM11「HELL "O"」、M12「チャバシラタッター」という二曲で締めるのも、カオスっぷりを増強しています(後者は途中から疾走メロコアに変わりますが)。とにかく自分らが面白いと思ったアイデアを余すところなく詰め込んだような闇鍋音楽。

 

この仕上がりはJ-POPからアイドル、昭和歌謡から洋楽ロックまで、多様な音楽的バックボーンを持つメンバーが集ったバンドが、「どのように自分たちの個性を確立させるか」といったことに真摯に向き合ったからこその結果なのかなあと思います。一見すると単におちゃらけているだけようなバンドですが、インタビューの発言などから察するに、自分たちらしさのある曲作りにはかなり真剣に取り組んでいるようなので。

 

ラウドロック好きにはもっとストレートな作風の方が好まれるんじゃないかとは思うのですが、個人的にはどれも非常に個性的な仕上がりになっていて楽しめます。普通のラウドロックは今のシーンに腐るほどいますからね(-o-)ボソッ

 

イケメンながらチャラいルックスや曲調、歌い手というメンバーの出自から、ぶっちゃけ硬派なロックファンからは謗られる要素満載のバンドだと思いますが(笑)、実力自体は確かなものを持っています。キャッチーな歌が好きな人は「たまには外せよ 色眼鏡」の精神で触れてみてほしいです。

 

何かとネガティヴな話題が蔓延しやすい今の世の中だからこそ、こういう理屈抜きに楽しいと思わせてくれるバンドに跳ねてほしいですね。

 

M2「鯛獲る」 MV

 

M12「チャバシラタッター」 MV