ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

OVERKILL 『The Wings Of War』

OVERKILL 『The Wings Of War』

1980年に結成された大ベテラン、アメリカはニュージャージー州出身のスラッシュメタルバンドによる、前作『The Grinding Wheel』より2年ぶりのニューアルバム。

 

40年近く活動していてメンバーも還暦に近い年齢だというのに、いまだにスラッシュメタルというエクストリームミュージックをプレイし続けているというのもスゴイですね。一昨年のLOUD PARKでのライヴもキレッキレでしたし、落ち着きを知らないバンドの何と頼もしいことか。

 

前作からドラマーが交代しており、SHADOWS FALLでドラムを務めているジェイソン・ビットナーが加入していますが、特に音楽的な変化は無し。ヒステリックなボビー"ブリッツ"エルズワーズの特徴的なヴォーカル、ザクザクのギター、バキバキのベースが織りなす切れ味抜群のスラッシュサウンドが堪能できます。

 

そしてジェイソンのドラムプレイが絶品で、アグレッシヴに暴れまわる高速ドラムの連打が聴いてて非常に気持ちがいい!M2「Believe In The Fight」の疾走パートにおける縦横無尽のプレイは鳥肌モノのカッコよさ。こりゃあ良い人材を引っ張ってきたものですね。

 

M1「Last Man Standing」と前述のM2という強烈なオープニングナンバーにより、爆走スラッシュの宝庫確定か!?と思いましたが、その後の曲を聴き進めていくと、そうでもない瞬間も結構多い。

 

スラッシュメタルといえばやはり特筆すべき点はそのスピードであると思いますが、本作の場合はあまりスピードに頼らないパートもよく見られます。ギターフレーズが不穏なムードを醸し出すミドルチューンM3「Head Of A Pin」、ズッシリと重いベースラインとドゥーミーな雰囲気が特徴的なM8「Where Few Dare To Walk」など疾走感に頼り切らず展開していく楽曲も顔を出す。

 

ただ「速いだけではない」という特徴は前作もそうでしたし、このバンドの場合ギターリフがザックザクのジャキジャキに研ぎ澄まされ、かつメロディアスな要素も持ち合わせているため、比較的テンポの遅い曲でも退屈させずに聴かせ通す説得力があります。

 

M4「Batshitcrazy」のように、スラッシーな疾走感、クリーンギターとコーラスによる叙情的なパートが交錯する楽曲もあり、単純な前のめりの勢いのみではない魅力があると言えますね。M5「Distortion」のイントロなんか「泣いてる」とすら言えるほどメロディアス。

 

そして本作中最も面白いのがM7「Welcome To The Garden State」。

 

この曲は細かく刻まれるギターリフに、暴れ狂うドラムと、アグレッシヴなスラッシュメタルのスタイルを貫いてはいますが、その曲調はかなりパンク/ハードコアに近い!明るめのフレーズに勇ましい野郎コーラスがいたるところで炸裂しており、メタラー以上にハードコアを愛するキッズにウケが良さそうです。ラストのウォーウォー言うコーラスもマネしたくなりますね。

 

シリアスで邪悪なスラッシュを愛する人にとってどう聴こえるかはわかりませんが、もともとパンク上がりの僕にとっては本作中一番のキラーチューン。中盤のメロディックなギターソロも文句なしにカッコいいし、サビの"U.S.A.~~~!!"のシンガロングもアツいし、ライヴハウスモッシュしたくなるぜ!!

 

ベテランらしい曲作りの妙と、ベテランとは思えない前のめりな熱量が同時に楽しめる、実にクオリティーと攻撃力の高い一枚と言えるでしょう。年齢を重ねてなお「ヤンチャ」とすら思える曲を生み出す姿勢や良し!反骨心丸出しの歌詞も含めて、このオジサンたちまだまだ隠居する気ないぞ!

 

M1「Last Man Standing」 Official Lyric Video

 

M7「Welcome To The Garden State」 MV (オススメ)

「Garden State」というのは彼らの出身地であるニュージャージーの呼び名だそうな。