"ダサいは俺らの称号 これがナード・メタルだ"なんて帯に書かれていたら気にならないハズがない(笑)
まあヘヴィメタルというジャンル自体、ダサいとカッコいいの間を行ったり来たりしている音楽なので、別にダサいことは珍しいことでも何でもないのですが、公式でこうも全面に押し出されているのって稀ではないでしょうか。
2011年に結成され2016年にアルバムデビュー、そして今年国内盤デビューを果たしたイタリアのメロディックスピードメタルバンド・SKELETOONの3rdフルアルバム。本作は1985年のアメリカ映画『グーニーズ』をテーマとしており、こんなトコにもそこはかとなくナード臭さが漂う(笑)
中心人物であるヴォーカルのトミ・フーラーはどうやら筋金入りのHELLOWEENファンであるようで、以前からHELLOWEENのトリビュートバンドを結成したりしていた模様。そしてオリジナルであるこのバンドにおいても、そんな愛してやまないバンドからの影響がアリアリと伝わる楽曲をプレイしています。
まさにHELLOWEEN・GAMMA RAY直系と言いたくなる、王道中の王道メロスピ。全体的に疾走感に溢れ、ポジティヴに飛翔していくメロディーがハイトーンヴォーカルによって雄々しく歌われていく、メロスパー大喜びのスタイル。
しかもメロスピバンドにありがちな野暮ったさ、B級臭さもほとんど感じられない。ヴォーカルもやや線は細いものの、ヘナチョコにはならずに目の覚めるようなハイトーンを連発。これはかなりの完成度と言っても良いのではないでしょうか。
M1「Intro / Hell-O」からもうドストレート極まりない、バスドラ踏みまくりのメロディックスピードメタル!解放感のあるサビが非常に気持ちよく響く。
その他にもHELLOWEEN系のメロスピが好きな人ならイントロの時点でガッツポーズもののM3「The Truffle Shuffle Army: Bizardly Bizarre」、より哀愁を強めて爆走するサビが心地よいM5「They Never Say Die」、お約束の"冒頭からハイトーン"が見事に炸裂するM7「I Have The Key」など疾走曲は皆一様に爽快感抜群で、聴きやすさ満載のメロディーと共に一気に聴き通せてしまうのが強みですね。
そして彼らの美点として、スピードを落とした楽曲にも豊かなメロディーが息づいており、"疾走を止めたらつまらない"というB級メロスピバンドが陥りがちな事態とほぼ無縁であること。特にM6「Last Chance」はミドルテンポだからこそ味わい深いサビが魅力的。
また本作はゲストミュージシャンの人数が多く、大半の楽曲にフィーチャリングの記載があります。アレッサンドロ・コンティやミケーレ・ルッピのような実力派から、新生Rhapsody Of Fireの顔であるジャコモ・ヴォーリ、さらに聞いたことも無い名前のミュージシャンまでズラリ(僕が無知なだけで結構知られた存在かもしれませんが)
しかしゲストミュージシャンの実力の高さもさることながら、やはり最大の魅力は楽曲そのもののクオリティーですね。透明感あるキーボードを効果的に使い(専任のキーボーディストはいませんが)、とっつきやすさMAXのメロディーをふんだんに塗したメロスピナンバーの数々は「疾走!ハイトーン!メロディアス!それこそが正義!!」な人にとっては聴き逃し厳禁です。
不満点を挙げるとするなら、この手のメロスピの宿命か、ギターリフが地味であまり印象に残らないこと、直球過ぎる故に飽きが来るのが早そうなこと、そしてM6のミケーレ・ルッピの歌唱が見事すぎるため、そのバージョン違いであるボーナストラックM12の存在意義が見いだせないことでしょうか(笑)
M5「They Never Say Die」 MV
M7「I Have The Key」 Official Lyric Video
ド頭の「ヤァーーーーーッ!アァーーーーーッ!」でキマッたも同然です(笑)