ホルモンの新木場公演のチケットはハズれてしまいましたが(まだ言ってる)、11月の9mm Parabellum Bulletのレコ発ツアーファイナルは無事にチケットゲットに成功しました!まだ半年も先の話ですがとりあえず良かった。
前二回のアルバム感想はチケットがハズれた無念を引きずりながら書いていましたが、今回は争奪戦勝利の美酒(札幌生ビール)に酔いながら余裕の執筆だぜい。
そんな訳で今回取り上げるのは、メタルやハードコアからの影響が非常に濃いカオティックサウンドに、昭和歌謡に通じるダサいメロディーと展開を大胆に取り入れることで、独自性極まる楽曲を量産する9mm Parabellum Bulletの記念すべき1stフルアルバム。
本作が発表されたのは12年前(もうそんななるんだ...)の2007年ですが、今の耳で聴いても新鮮な驚きとインパクトがあり、この頃から彼らがそこいらのオルタナバンドとは一線を画す存在であることが感じ取れます。
彼らが当時シーンに与えた衝撃は鮮烈なものだったに違いないでしょうね...。僕が彼らの音に触れたのはこれからさらに数年経った後なので、リアルタイムで経験できなかったのが悔しいです。
哀愁を忍ばせるメロディーを乗せつつも、ノイジーに歪みを効かせた尖りまくったバンドサウンドに、時折顔をのぞかせるシャウトが耳を引き、まとまりよりも激情と勢いを重視したような楽曲の作りが目立つ作風。1stアルバムということで、若さに任せた初期衝動とやったれ感を先行させた結果なのでしょうね。M1「Psychopolis」から早速テクニカルでありながら荒々しい音塊がブチ当たる。
しかし完全に勢い任せなだけではなく、曲によってはスカ的なカッティングギターを取り入れたり、静かでメランコリックなクリーントーンのサウンドを用いたりと、"引き"の展開も見せているのが美点です。こういったパートが頻繁に挿入されるからこそ、狂気的に暴れまわるパートがより引き立つ。
彼らの最大の魅力である「ダサさ」は次作の2ndアルバム『VAMPIRE』で完全に解放されることになるのですが、本作の時点ではそこまで強烈に押し出されてはいません。
しかしそれでもそこかしこに歌謡的なメロがにじみ出ているあたり、ダサメロの片鱗をこの時点でのぞかせているのがわかりますね。
そんな彼らの才覚が抜群に発揮されたのが、彼らの代表曲であるM2「Discommunication」。ソリッドで攻撃的なギター、古き良き日本的なメロディーとダサいフレーズ、合唱を誘われる非常にキャッチーなサビ、「カオス」と称されるギター・ベース・ドラムがタガが外れたかのように暴れ狂うクライマックス......まさに9mm Parabellum Bulletというバンドの特徴をすべて抑えた、彼らを象徴するキラーチューン!
個人的にはよりダサくメロディアスになる後年の作品の方が好きではありますが、本作が最高傑作であるという意見が多いのも頷ける、衝撃度大の名盤です。これを聴かなきゃ9mmは語れません。
人によっては卓郎さんのヴォーカルがネックになるかもしれませんけどね。ファンである僕の目(耳)からしても歌がうまいとは言えない人ですが、この頃は近年の色気や艶みたいなものも無く、さらに抑揚のないのっぺりした感じでハッキリ言ってヘタクソです。
それでも彼特有の哀愁感というか、味はしっかりとあって僕は好きな歌声なんですが。
M2「Discommunication」 MV
9mmを語る上では絶対ハズせない一曲。
M10「Termination」 MV
劇的なツインギターによるイントロと速弾きギターソロがイカす。
M12「Punishment」 ライヴ映像
非公式の動画ですが、9mmの魅力を端的に伝えられる映像なので載っけときます。
ギターの滝さんとベースの和彦さんのライヴでの暴れっぷりは9mm名物ですが、この頃はホントヒドい(笑 一応言っときますが褒めてますよ)
さすがに現在は多少落ち着きましたが、この頃の初期衝動溢れるパフォーマンスはぜひ一度生で拝みたかった。