ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

WHIPLASH 『Power And Pain』 (1986)

WHIPLASH 『Power And Pain』

キッカケは愛読書でもあるメタル雑誌・ヘドバンが、スピンオフと題して時折刊行しているうちの一冊『ヘドバン・スピンオフ ヘドバン的「新しいメタルの歩き方」』に記載されていた中の1コーナー「メタル"ダサジャケ"秘宝館」でした。

 

このコーナーではSIGHのヴォーカルとして活躍している川嶋未来さんが、自身の膨大な手持ちのCDの中から超ド級にダサいジャケットを公開するというもので、コレとかコレとかコレとかが川嶋さんのツボをついた名文と共に掲載されています。

 

そしてそんなジャケットたちに混じって本作、WHIPLASHの1stフルアルバム『Power And Pain』も登場していたのです。

 

川嶋さんは文中において"史上最高のスラッシュ・メタル・アルバムは何かと問われたら、迷わず本作を挙げる"と断言。さらにはHMVのコラムにおいても"パーフェクトなスラッシュ・メタルのアルバム"と言い切ってしまっている。

 

これほどまで大絶賛され、なおかつこの強烈なジャケット!興味を持たないわけがないでしょう!!

 

ということでそれからというものの、ディスクユニオンに足を運んだ際には必ずと言っていいほどスラッシュのコーナーに赴き、Wのアーティストの棚をじっくりと眺めていたのですが、なかなか入手困難盤なのかそもそも店に置いていないし、ごくまれに見かけたとしても、手を出せない高額商品となっており、結局手に入れることは叶いませんでした...

 

う~~~ん、これは現物を手に入れるのは諦めるしかないかな...と思っていた矢先、なんと3400円で本作が売られているのを奇跡的に発見!ケースが完全にぶっ壊れていたにも関わらず定価以上の値段設定でしたが、そんなの知るか!!

 

ここしかない、もう自分には本作を買うチャンスはこの時しかない、ここで買い逃したら今生のお別れになってしまう。そんな考えが頭をよぎった僕は迷わず本作を手に取りレジに直行。とうとうこの凄まじいジャケットと邂逅することになったのでした。

 

内容としてはリフが非常に練り込まれつつ、全体を通してスピード感がほとんど落ちない、そしてヴォーカルは音程なんか無いぜ!と言わんばかりに吠えまくる。荒さ満点のスラッシュサウンド100%でかなり強烈な仕上がりです。なるほど、これは確かに有無を言わせぬカッコよさ。

 

パッと聴いた感じでは巧さよりヤケクソな勢いを重視しているようなブチギレ具合ですが(初期KREATORっぽい?)、意外にもしっかり丁寧に刻まれるリフと流麗なギターソロから、演奏のクオリティーは高いものがあるのがわかります。それなのにここまでタカが外れたような疾走感を演出できるのが見事。

 

川嶋さんの文章でも"ロディックなソロを書くなんて簡単だ。スラッシュ的な滅茶苦茶なソロを書くのも難しくない。だが、その間、臭くなり過ぎず、しかし印象的であり、かつ疾走感にも貢献するそのさじ加減は、なかなか体得できるものではない。"という記述がありますが、まさにおっしゃる通りですとしか言いようのないバランス感覚。

 

キャッチーというほどメロディアスな要素はないけれど、とっつきやすさを一切排斥しているわけでもない、そんなスラッシュとしての理想形とも呼ぶべきスタイルがほぼ全曲に渡って続くのです。

 

特にM5「Warmonger」からの後半の流れは最高ですね。M6「Power Thrashing Death」なんて曲名からして最高すぎるし(笑)、M8「Spit On Your Grave」のツインギターによる速弾きソロなんて身震いするほどカッコいい!!

 

スラッシュメタルアイデンティティであるスピードとリフを完全に両立。中途半端にアーティスティックなことをやったり、スピードを落としてみたりなど、そんな横道に逸れる真似もせず、ひたすらに速くてカッコイイスラッシュを体現して見せたアルバムです。ガチのスラッシャーではない僕からしてみれば、最近のKREATORのようにメロディアスさが目立った作品の方が好きではあるのですが、やはりキレた爆走に次ぐ爆走、リフに次ぐリフには圧倒される以外ありませんでした。

 

M6「Power Thrashing Death」

非公式ですがアップロードされたのは10年前なので多分載っけても大丈夫ですよね?(笑)