ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

BiSH 『CARROTS and STiCKS』

BiSH 『CARROTS and STiCKS』

多種多様なメディア露出に多くの夏フェス出演を経て、ここ1~2年ほどで急速に知名度を伸ばすことに成功した"楽器を持たないパンクバンド"の前作より約1年半ぶりのフルアルバム。

 

本作発売に先駆けて収録曲の一部を『STiCKS』『CARROTS』という2つのEP形式で配信するという、やや変則的な形でリリースされました。

 

注目度が飛躍的に向上しノリにノッている段階でのフルアルバムということで、作り手としては様々な趣向を凝らし、気合を入れてリリースに臨んだのはわかるのですが、正直言うと僕としては本作には期待より不安の方が大きかったです。

 

それはただ単純に、先行公開されたリードトラック、およびトレーラー映像で流れる新曲群にいまいち魅力を感じなかったから。どうも前作までの曲たちと比べて印象に残りにくいというか、歌メロにフックを感じにくかったのです。

 

とはいえアルバムっていうのはすべての曲をフルで聴いてこそ真価を発揮することもあるし、断片的なトレーラーだけじゃ判断できないだろうと、期待は捨てずに購入しました。

 

そして残念ながら聴き終えてみても、期待を超えてくるような作品だとは思わなかったのが結論。

 

本作を制作する上で『STiCKS』に収録されている汚くてうるさい攻撃的な曲と、『CARROTS』に収録されているポップでメジャーな曲の2パターンで構成するのを狙っていたようで、その狙い自体は良く感じ取れます。

 

しかし僕がBiSHの楽曲で気に入っていた要素としては「メロディアスでキャッチーに疾走する」というもので、具体的に言うなら「ファーストキッチンライフ」や「GiANT KiLLERS」、「MONSTERS」などが特に好きな曲です。

 

翻って本作はというと、M2「遂に死」のような曲はアグレッシヴではあるものの良いメロディーは無く、M6「I am me.」のようなポップな曲はパンクらしい疾走感や荒さが不足しているという感じで、どうにも聴いていてエキサイトしにくい。

 

加えてポップな曲も従来の曲ほどメロディーのキャッチーさがどうにも足りず、アルバム全体で不完全燃焼感が漂ってしまっている。ここで「サラバかな」や「プロミスザスター」みたくメロディーの良い曲が来ていれば印象も違ったと思うんですけどね。

 

とはいえ青臭くキャッチーな歌が聴けるアップテンポナンバーのM3「MORE THAN LiKE」、M9「まだ途中」、トランスのようなリズムにメロディックなサビが乗るM5「CHOP」、本作唯一のメロコアライクな疾走パートが飛び出すM13「CAN YOU??」と、良いと思える曲もちゃんと収録しており、決して貶すような出来ではないのですが。

 

前作を結構気に入っている身としては、どうしても煮え切らなさ・物足りなさを覚えてしまうアルバムでした。もう少しパンチある楽曲で勝負してほしかったですね。

 

あとこれは本作に限った話ではなく、過去作からずっと思ってきたことなのですが、ヴォーカルを前面に出しすぎてバンドサウンドが奥に引っ込んでしまっているようなミックスはどうにかならないもんでしょうか。特にドラムなんてかなり迫力不足になってしまっています。

 

出自がアイドルだからメンバーの声をクリアに聴かせようという意図があるのかもしれませんけど、ロック色濃い曲を主軸にするならもっと演奏を聴かせてもいいんじゃないでしょうか...

 

M1「DiSTANCE」 MV

 

M3「MORE THAN LiKE」 MV