以前ブログにも書きましたが、今年に入り体制が大きく変化したGYZE。期待と不安の入り混じる中、こうしてフルアルバムが発表されました。
バンド編成こそかなり大きな変化を経たものの、メインコンポーザーであり実質的なリーダーであるRyojiさんのポジションは不動なため、基本線は一切変わっていません。彼の優れたメロディーセンスが爆発したクサメロをリードギターが思う存分に奏でる、疾走メロディックデスメタル。
しかし本作はメロディーにしろアレンジにしろ、そして曲タイトルにいたるまで、過去作と比較にならないほど"和の要素"が強調されています。本当に開き直ったかのごとく日本的な情緒を押し出している。
以前のライヴにおいて「聴けば一発で日本人のバンドであることがわかること」を新曲作りの肝としていることをMCで話していましたが、それがアルバム単位でも発揮されたというところでしょうか。彼らの地元の雅楽会の方々が笙、篳篥、龍笛といった楽器で参加しており、単に「日本のバンドらしく和音階を取り入れてみました」的なものではない、本格派の和風サウンドを演出しています。
個人的にはさすがに海外進出のためとはいえ日本人アピールが露骨すぎるというか、少々やりすぎな域に入ってしまっている感があり、この路線を手放しで絶賛しようとは思いません......が、やはり彼らの(というかRyojiさんの)美しく悲しいメロディー作りのセンスはすさまじいものがある。あざといと思いつつもその強烈なクサメロには胸を焦がされてしまう。
M2「ASIAN CHAOS」の堂々たるリードギターはさすがの風格、威厳が備わっているし、M5「DRAGON CALLING」の忙しなく舞いまくる旋律は圧巻の一言。このスケールの大きさは並みのクサメタルバンドには出せないものでしょう。
M6「CAMELLIA」は疾走こそしているものの、あまり勢いを重視していないタイプの曲ですが、「ギターが泣きながら歌っている」とすら言えてしまうサビのインパクトが強烈。メロディーの歌謡的なクサさはこの曲が一番とすら思えます。
もはや演歌のレベルにすら行きついてしまっているM9「WHITE TERRITORIES」のメロディーも強烈ですね。"かつての私たちも同じ事をしてたあ゛あ゛あ゛!!!"が耳について離れん(笑)
M8「THE RISING DRAGON」におけるDragonForceのマーク・ハドソンの日本語歌唱がどうにもナヨナヨっとしていたり、言わずと知れたX JAPANの超名曲のカバーM11「FOREVER LOVE」が、「さすがにそのアレンジはムリヤリすぎるだろ!」とツッコミたくなるシロモノであったりと、正直完璧なアルバムであるとは言い難いのも事実。
しかし哀愁のクサメロを好むリスナーを悶絶死させるメロディーはなんだかんだ冴えわたっており、多少の不満点をも飲み込んで満足させてしまう力も持っています。
M13「ASIAN CHAOS (FAR EASTERN MIX)」 MV
曲のスケール感に反してMVがややショボいのは気になるところ(笑)