ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

8/3 ANTHEM /HUNTING TIME 30th Anniversary Live at マイナビBLITZ赤坂

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この日は午前中に理容室で髪をサッパリさせ、お昼には大型のショッピングモールをブラブラして洋服を物色しつつ、映画館で公開されたばかりのドラクエを観る(クライマックスは恐ろしく賛否別れるでしょうね.../汗) そして夕方に赤坂へ向かい、メタルライヴを堪能という濃密な休日になりました。

 

しかし映画を観た後ライヴという「光と音のダブルパンチを連発で喰らう」という状況は頭痛持ちにはいささか厳しかったようで、帰り道だいぶ気分が悪くなってしまいました(笑) 僕の場合一晩寝ればすっかり良くなるというのが救いですが...

 

さてそんな休日に観たライヴというのが、ジャパメタ代表格のANTHEMが1989年に発表した名作『HUNTING TIME』の30周年記念ライヴ。二部構成となっており、第一部は当時のドラムのMAD大内さんとGALNERYUSのキーボーディストのYUHKIさんをゲストに迎えた『HUNTING TIME』完全再現、そして第二部は現ヴォーカルの森川さんと旧ヴォーカルの坂本英三さんがファン投票で決められた互いの楽曲を歌い合うという企画モノ。

 

ファンにとってはヨダレものの企画ライヴということで前売りはソールドアウト。当日券組である僕は二階席から立ち見という状況に。

 

1階フロアでスタンディングで観られないのか...と若干残念に思いましたが、振り返ってみればライヴハウスの二階席で観たことって今まで一度も無いなと。これはこれで良い経験になるかもと思い直すことに。

 

開場時間を思いっきり過ぎているにも関わらず遅々として進まない入場列にイラ立ちながらも、何とか最後に当日券組が入場。特に仕切りとか何もないので、中に入れば普通に1階行けちまうぞと思いながらも、ここは真面目に二階へGO。

 

僕があまり好きじゃない雑誌の編集長のすぐ後ろに陣取ると、当たり前だけどステージ中がしっかりと見渡せる視界にちょっと感激。1階の後方ではドラムとか観にくいことになるでしょうし、特に暴れる気持ちのないライヴであれば二階席も全然ありだなと思いましたね。

 

会場が暗転しステージ上の幕が開くと、『HUNTING TIME』のジャケットを模したセットが露わになり、ドラムの田丸さんから順に登場。森川さんが「『HUNTING TIME』完全再現、行くぜ!」と叫んで狼煙を上げる。当然一曲目は激熱正統派メタルナンバーの「The Juggler」。

 

ジャパメタ特有のダサさを持ちながらも、海外の一線級のパワーメタルバンドに引けを取らない熱量を持った楽曲はやはり強烈で、森川さんの切れ味抜群のシャウトもバッチリ。これは盛り上がらない訳はない。

 

ただ上から下まで真っ黒で決めた森川さんのルックスは「ロックスター然とした華」とは完全に無縁で、良くも悪くも実力の人なんだなあ。

 

曲目通り二曲目にして名曲「Hunting Time」がプレイされる。静かなイントロから突如ドラムが切り込んでくる出だしからすでに鳥肌モノですが、森川さんの堂々たる歌唱が映えるサビはやはり極上。清水さんによる長くドラマチックなギターソロも素晴らしいの一言です。

 

「Hunting Time」終了後のMCにて(完全再現だからMC無しで行くのかと思いましたが、そこまで厳密ではなかったみたい)、去年亡くなったプロデューサーのクリス・タンガリーディスへの追悼を述べたあと、正規のドラマーである田丸さんが引っ込み、当時のドラマーのMAD大内さんが登場。そのまましばらく大内さんが叩くことに。

 

田丸さんのドラムも勇猛なパワーメタルにマッチした力強いものでしたが、大内さんのプレイもそれに負けず劣らず。バスドラの音がちょっとデカすぎな気もしましたが、まあ弱いよりかはマシでしょう。

 

リーダーらしく堅実にボトムを支える柴田さんに、頻繁に前に出てタッピングを交えたソロを披露する清水さんは抜群の安定感。ギター一本とは思えないパワフルなアンサンブルを披露していました(ひょっとしたら同期音源とかあったかもしれないけど)。

 

中盤の「Sleepless Night」も勢いがあって最高にカッコいいのですが、MCによると「ライヴでやるのはほとんどないレアな曲」とのことで、こういった曲を埋もれさせるのはもったいないと思いましたね。それだけクオリティーの高い曲が多いということなんでしょうが。

 

こだわりぬいて作ったがゆえに、オリジナル盤では外さざるを得なかったという「Are You Ready?」は田丸さんと大内さんのツインドラムで披露。俯瞰的に二人のドラミングを並んだ状態で観るというのはなかなかない経験でした。大振りでシンバルを叩く回数も多い大内さんの方が魅せるプレイで、田丸さんはより実直かつ堅実な印象でしたね。

 

もうこれだけでもかなりの満足度を提供してくれたわけですが、このあとはいよいよ坂本英三さんが登場する第二部が始まる。個人的に坂本さんを生で観るのは初めて&坂本さんのヴォーカルの方が好みということもあり、こちらの方をより楽しみにしていました。

 

10分の休憩中にドリンクチケットでメロンソーダを頼み(頭痛が走る中酒は飲めなかった)、第二部の開演を待つ。特に何の前触れもなく暗転しヴォーカルを除いた三名が再びステージへ。

 

そして柴田さんの紹介のあと、坂本さんがステージに呼び込まれる。カラフルなジャケットにブーツカットのように裾が広がった真っ赤なパンツと、ステージ映えがハンパない印象で登場する。見栄えは明らかに坂本さんの方が上ですね(MCでもあまりのいで立ちの違いをネタにされていた)

 

歌唱力やシャウトの安定感という点には森川さんに及びませんが、ステージ上でのスター性ある立ち振る舞いに、熱すぎるシャウトは文句なしにカッコいい。声質も暑苦しさはなく、やはり僕個人の趣味趣向としては坂本さんに軍配が上がりますね。

 

バラードの「Love Of Hell」とANTHEM流正統派メタルの王道とも言うべき名曲「Pain」はまさに坂本さんの歌声で聴きたかった曲の筆頭格だっただけに、良いモンを観させてもらったという感じです。

 

なんか坂本さんばっか褒めてますが、シャウトの直情的な熱さならば森川さんの方が上で、アップテンポのパワーメタルではその力量を存分に発揮。アルバム一枚分の歌を歌っていながら、バテを一切感じさないパフォーマンスは驚異的。還暦近いというのに。

 

「今回は一応森川VS坂本っていう体だったけど、もう引き分けってことにしていいですか?」と柴田さんが呼びかけた後は、ツインヴォーカルスタイルとなったのですが、そこで披露されたのが「Bound To Break」「Venom Strike」という超強力な名曲。

 

これにはアガらない訳はなく、頭痛であるにもかかわらず思わず頭を振り狂って叫んでしまいました(笑) ラストのヴォーカル二人によるシャウトの畳みかけは圧巻でしたね。

 

本編終了後のアンコールはドラマー二人によるコメントのあと、クリス・タンガリーディスに捧げるという名目での「Show Must Go On!」に、バンド名を冠した「Wild Anthem」。個人的には本編ラストの二曲の方が好きですが、やはりこの曲こそANTHEMの魅力を濃縮した今日の公演を締めくくるのに相応しいのでしょう。一斉にオーディエンスの腕が上がるのは上から眺めるとなかなか壮観でした。

 

二部構成で2時間以上にもおよぶライヴ、夏の日の熱さに一切負けない熱量の楽曲をツインドラム・ツインヴォーカルという特別編性で存分に味わえたスペシャルな一夜になりましたね。第一部はもちろんのこと、第二部では80年代の楽曲ばかりでないセットリストで、未だにANTHEMが過去の栄光にすがらず、現役で良い楽曲を生み出せるバンドであることを改めて証明したかのようでした。

 

坂本さんが出てきて一発目にこの曲を歌い出したときは、思わず拳を握りしめてしまった。