ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

KILLSWITCH ENGAGE 『Atonement』

KILLSWITCH ENGAGE 『Atonement』

長年にわたって在籍していたエクストリームメタルの一大拠点ロードランナー・レコードを離れ、ソニー・ミュージックからのリリースとなった、メタルコアの代表格KILLSWITCH ENGAGEの8thフルアルバム。遊戯王世代としてはどことなく有翼幻獣キマイラを思い出してしまうジャケットだ(笑)

 

AS I LAY DYINGやSHADOWS FALLらと並んで、もはやメタルコアというジャンルの看板バンドという地位をゆるぎないものにしている彼らだけに、本作の方向性も当然のようにブレはない。強烈にヘヴィでシャープ、ズンズンと迫るようなグルーヴ感に、ハイテンポでつんのめる勢い、キャッチーな旋律を見せるクリーンヴォーカルパートにリードギターと、メロディックメタルコアに求められる要素を高い次元で構築している。

 

音作り自体は完全にメタルのそれなれど、このバンドは他のメタルコアに分類されるバンドに比べてタフなハードコア要素も強いため、モッシュ誘発のアグレッシヴなパートが多量に含まれているのも個人的にはテンション上がります(逆にハードコアが苦手な人にとってはとっつきにくいのかもしれませんけど)

 

ジェシー・リーチの低音デスヴォイスから高音シャウト、太く安定感のあるクリーンまで幅広い歌唱を難なくこなすヴォーカルの技量も相変わらずすさまじく、まさにメタルコアを歌うにうってつけの歌唱力を披露しています。どうやら昨年に声帯ポリープ切除の手術を受けたようなのですが、その影響は微塵も感じれらません。

 

前作『Incarnate』に比べて歌メロ自体のキャッチーさはやや後退した印象もありますが、メロデスのような泣きこそないものの充分いメロディアスなリードと、ヘヴィさを忘れない範囲でザクザクに響くリフを終始奏でるギターのカッコよさが秀でており、メタルコアとしての聴きごたえは何ら劣らない。むしろ音のタフネスさが増して屈強になっている感すらある。

 

M1「Unleashed」こそ不穏であまりメロディーが引っかからないスローチューンで、「一発目でこれはちょっとツカミ悪くない?」と思わせますが、続くバスドラ連打でアグレッシヴに暴れまわるドラムが特徴的なM2「The Signal Fire」で一気に聴き手のテンションを底上げ。メロディアスに疾走するサビがたまらなくカッコいいキラーチューン!前任ヴォーカルのハワード・ジョーンズが参加しているのも注目ポイント。

 

本作中随一のメロディアスさを誇るM10「I Can't Be The Only One」、強靭なヴォーカルとヘヴィで小気味よいリフ、唸るリードギターを武器に爆走しまくるM11「Bite The Hand That Feeds」というキラーチューンで幕を下ろす構成により、聴き終えた後の印象は非常に良い。40分弱という収録時間の短さもあって、一切ダレや聴き疲れを覚えないのも良いですね。

 

重苦しいスロー曲や、カラッとした叙情性を歌い上げる曲、分厚いグルーヴを遺憾なく発揮した曲と、多少曲調の振れ幅は持ちつつ、彼ららしさ満載のメロディックメタルコアの王道をド真ん中で行く楽曲ばかりで構成されており、近年の多種多様なジャンルが入り混じるエクストリームシーンにおいて、本作のスタンスはあまりにも普通かもしれません。ですが彼らはメタルコアの草分け的存在であり、王道を行ってナンボみたいなものでしょう。僕らリスナーとしてもそれでOKですよね?(笑)

 

安心安定のKSE印メタルは今作でも不変でした。メタルコア好きなら黙って彼らの音を聴きましょう。

 

M2「The Signal Fire」 MV

サビで登場するハワードの姿に惚れる。

 

M5「I Am Broken Too」 MV