ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

HAMMERFALL 『Dominion』

HAMMERFALL 『Dominion』

スウェーデンの国民的ヘヴィメタルバンドであり、先日のMETAL WEEKENDでも充実のステージングを披露してくれたHAMMERFALLの最新作。

 

ライヴパフォーマンスはヘヴィメタル以外の何物でもない保守本流のものでしたが、アルバム内容もそれに準じた混じり気の無いピュアメタルそのもの。90年代、ヘヴィメタル人気が全世界的に崩落していった中、シーンの救世主として現れ鋼鉄魂を貫き続けてきた彼らだけに、この作風はまあ当然と言えるでしょう。

 

程よく疾走感を練り込みながら、ヘヴィながらモダンではないメタリックなリフとソロ、北欧出身の強みを活かした湿り気を帯びた哀愁を持ち合わせたサウンドは正統派を愛するメタルヘッズの心にしかと響きそうなナンバーばかり。

 

現役で良い作品を連発している正統派メタルバンドにACCEPTやPrimal Fearが挙げられますが、彼らの出す音はあそこまでの暑苦しさはなく、むしろヨアキム・カンスの澄んだ声質によるヴォーカルと北欧由来のメロディーセンスにより、正統派メタルでありながら「爽やか」とすら表現できそうなほど。ジャケットは暑苦しいのに(笑)

 

まあこれが正統派ヘヴィメタルバンドとして良いことなのかはさておいて(個人的にももうちょい熱量が欲しかったところ)、聴きやすさにつながっているところは間違いなく、これが現在の彼らの人気の高さに繋がっているのかなあと思ったり。

 

M1「Never Forgive, Never Forget」やM4「Scars Of A Generation」などの疾走曲に、M2「Dominion」、M3「Testify」のようなシンガロング誘発型メタル、M6「Second To One」といったバラードに至るまで、正統派の範囲内の幅は持たせつつ、全編にほのかに憂いを持ったキャッチーが共通しています(M1のサビはもうちょっとキャッチーさが欲しかったけど)

 

先行公開されたM5「(We Make) Sweden Rock」は聴けば一発で覚えられそうなシンガロングが特徴のミドルチューン。ただ武骨なだけでなく覚えやすくて合唱しやすい、ライヴで盛り上がりやすい曲をしっかり作れるのが彼らの美点ですね。「Hearts On Fire」も然り。

 

ただ全曲キャッチーなのは良いことですが、どの曲も平均的に良くて、抜きんでたキラーチューンは存在しないと言えるかもしれません。クオリティーは確かなものを持っているし、単純に正統派メタルのアルバムとして欠点らしい欠点はないのですが、メロディーにしろ演奏にしろ「あともう一歩欲しい!」という感覚が生まれやすいのです。

 

中盤くらいにサビでの爆発力がハンパない疾走キラーでもあれば一気に印象が底上げされると思うのですが、本作は良くも悪くも無難かな...?良い意味で安定感を崩すようなスリリングさ、およびメタルとしての馬力が欲しかったです。いや、これが贅沢な意見であることは重々わかっていますけどね。

 

M2「Dominion」 MV

 

M5「(We Make) Sweden Rock」 MV