CREEDのメンバーが中心となって結成されたオルタナティヴロックバンドの6thフルアルバム。
一応アメリカ出身のバンドではあるものの最も人気が高いのはヨーロッパらしく、前作『The Last Hero』は全英チャートで第3位を記録、万単位のオーディエンスを集めたりアリーナツアーを開催するなど、かなりのビッグバンドとして活躍しているそうです。日本に住んでいたらイマイチ実感しにくいですが。
音楽性はNICKELBACK辺りのオルタナティヴロック、ポストグランジと呼ばれる系統のものですが、ギターリフがかなりヘヴィに歪ませていて(メタルっぽくはないが)全体的に翳りのあるムードを演出。そこに非常に高い歌唱力と伸びやかな歌声を持つ、マイルス・ケネディ(Wikipediaや一部のページではマイルズ表記でしたが英語の綴りからマイルスと書きます)のヴォーカルが乗り、ヘヴィでありながら歌モノロックとしての普遍的な魅力を提示しているサウンドです。
やっぱりロックバンドにはこういう華を感じさせるフロントマンがいると強いですね。ライヴパフォーマンスは観たことないので偉そうなこと言えませんが、声のみで大きなスケール感を出せるヴォーカルがいるのは大きな魅力です。
ただ楽曲はというと叙情的なメロディーや繊細なアコギによるアレンジなどが聴けるものの、一貫して乾いた質感のオルタナ(というにはややギターがヘヴィ寄りかもしれませんが)であり、日本のメタルヘッズが好んでいると思われるウェットな哀愁や大仰なクサさは皆無と言っていい。
メタルみたいなダサさを苦手とする一般的なロックリスナーには非常に魅力的に響くと思われますが、そんなメタルみたいなダサさに慣れてしまった身(笑)からすると、心に引っかかるフックは不足していると言わざるを得ないかも。前作はもう少しキャッチーな要素が強かったと思ったんだけどな。
M3「In The Deep」やM11「Clear Horizon」といった楽曲のサビ、M10「Forever Falling」のイントロで聴ける「いきなりどうした!?」と驚かされるほどのスラッシュめいたリフ、ラストを彩るM14「Dying Light」の壮大なムードなど、惹かれる部分ももちろんありますが、やはり全体的にちょっと淡白に響いてしまうかな...。不穏なムードを押し出したヘヴィチューンはぶっちゃけ退屈だし。
これはグランジ系統のバンドみんなそうかもしれませんが、彼らは普通にCDショップでHR/HMコーナーに置かれている存在のため、日本での人気が高まるのが難しそうなのが気がかりではあります。SHINEDOWNも然り。
ただこういったバンドの楽曲はライヴ、それも規模の大きな会場での演奏でそのポテンシャルを最大限発揮できると思っており、来年のDownload Japanとかに出られればかなり注目されるんじゃないかと思うのですがどうでしょう?
M2「Wouldn't You Rather」
M3「In The Deep」 Lyric Video