いつの間に活動再開していたと思ったらあっという間に再度活動休止しちゃった某ポップパンクバンドとそっくりな名前の、ドイツ出身のメロディックパワーメタルバンドの4thフルアルバム。
僕が彼らの音源に触れるのは本作が初でしたが、バンドが結成されたのが2010年と比較的若めながらすでに本作で4枚目と、なかなか創作意欲の高いバンドなようです。
音楽的にはドイツのバンドらしい武骨な正統派要素を保ちつつ、疾走感も程よく持ち合わせたパワーメタルスタイルで統一されています。ザクザクとヘヴィなリフで突進してく様はなかなか覇気があってカッコいい。
このブログでは何度か書いてきている気がしますが、僕が演奏、特にギターリフにパワーが感じられる正統派、パワーメタルが好きなので、このバンドは音楽性だけであれば僕の好みにかなり近いもののはず。
しかし残念ながら楽曲の出来、ヴォーカル、演奏においてまだ一線級とは言い難く、そこはかとなく漂うB級っぽさ、野暮ったさが感じられる出来で、完全に満足できる仕上がりかと言われればNOといったところ。
特にヴォーカル。かなりのダミ声で低く唸り上げたり、吐き捨てるように歌うのですが、これがまたかなりB級くさい感じで、楽曲のスケール感を大きく減退させてしまっている気がします。決して聴くに堪えないレベルではないし、男らしさは充分なのですが、「このガチャガチャ小汚いヴォーカルが受け付けん!」という人は結構出てくるかも。
武骨で甘さの無いサウンド自体は望むところですし、随所に耳を引かれるメロディーが顔を出すので、全体的に概ね楽しめるパワーメタルではありますが、今一つ突き抜けるものがなく、もう少し印象に残る歌メロのフックも欲しかったですね。
イントロから続くM2「The Oath」はメロディックなリードギターと共に堂々と歌われるサビがカッコいいなかなかのキラーですが、この曲以上の興奮を味わえる瞬間はこれ以降はなく、悪くないパワーメタルをも逸脱しない印象の一枚。男のジャーマンメタルとしてやってるスタイル自体は良いので、このままの路線で純粋にクオリティーアップを望みたいところです。
あとM11「Into The Next Chapter」というインスト(次の曲がM4「Void Of Tomorrow」を日本語で歌い直したボートラのため、実質アルバム本編を締めるアウトロ)があるのですが、煽情的なリードで幕を開け勢いよく疾走するも、そのまま特に何が起こるでもなく、1分半ほど疾走したままフェードアウトして終わるという需要不明・意味不明の内容で、いったいどういう意図でこんなアウトロを作ったのか僕にはてんでわかりません(笑)
M4「Void Of Tomorrow」 Lyric Video
M12「Void Of Tomorrow(Japan Bonus Track)」
日本盤ボーナストラックでM4の日本語バージョン。「明日の無」というタイトル含めツッコミどころは多いのですが、努力は伝わりますね。全英語詩の日本のインディーズバンドの曲とかも、海外の人たちからすればこんな感じで聴こえてるのかな。