ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

11/30 9mm Parabellum Bullet / FEEL THE DEEP BLUE TOUR 2019 at Zepp Tokyo

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9月に発売された9mm Parabellum Bulletの8thアルバム『DEEP BLUE』のリリースツアーファイナル公演に行ってきました。

 

以前『Termination』のCD感想を書いてた時点でこの日のチケットは確保済みであり、正直間が空きすぎていて若干モチベーションが下がっていたのですが(笑)、とにもかくにもお台場へ。

 

朝早く起きて優雅にカフェでモーニング(&ノートPCでブログカキカキ)、お昼にはジムでトレーニングしたため、お台場をプラプラできる時間はほとんどなし。東京テレポートに着いたらタワーレコードを軽く覗いただけで、その後はさっさとZepp TokyoへGO。

 

AなのかBなのかCなのか、今一つ何て発音しているかわかりにくい係員の呼びかけに応じて入場。ワンドリンクのレッドブルを一気に飲み干してフロアに入ると、ソールドアウトしているだけあって前方はすでに入り込む余地がなさそうなほどの盛況ぶり。

 

そして開演時間を1~2分ほど過ぎたあたりで暗転し、ATARI TEENAGE RIOTの「Digital Hardcore」が爆音で鳴り響きメンバーが登場。僕はやや左よりのフロア中央くらいに陣取っていたので、少なくともここではモッシュピットが生まれることはない。9mmは自身のライヴにおいてはモッシュ、ダイブにあまり肯定的ではないのですがちょいと寂しい。前の方はどうかはわかりませんが。

 

5年前のNext Bullet Marks Tourでは新木場で思いっきりモッシュに興じていたなあ...などと思いをはせるも(ちなみに今日着ていたTシャツはそのツアーTシャツでした)目の前のステージに集中。左前方にでっかい人が立っているため、上手側の滝さんは思いっきり被って見えにくいものの、それ以外のメンバーは小さ目ながらもちゃんと見える位置。

 

オープニングはタイトルトラックである「DEEP BLUE」。どことなくインディーズ期を思わせるような楽曲で、近年の彼らのようなメタリックさ、歌謡的なダサさを抑えた比較的地味目な楽曲ではありますが、その何とも言えないサビの哀愁が胸に染みる。

 

卓郎さんが茶色のレスポールに持ち替えた後(彼のレスポール姿ってなんだか新鮮な気がする)「名もなきヒーロー」でフロアの温度を高めたあと、「The Revolutionary」「太陽が欲しいだけ」という強力な名曲2連発で最初の沸点を迎える。

 

「The Revolutionary」は9mmの楽曲の中でも特に好きな曲なのでイントロからアガりましたが、やはりこの曲の肝は卓郎さんと滝さんのツインリードギターソロ。二人がステージのお立ち台に上がり勢いよくソロが切り込まれると、待ってましたと言わんばかりに歓声が響き渡る。

 

滝さんにジストニアの疑いが出てからというものの、サポートギタリストを脇につけるのが定着していますが、「太陽が欲しいだけ」のイントロの切れ味鋭いギターリフも「The Revenge Of Surf Queen」のテケテケギターもバッチリだし、特にギターパートに不安感も不足も感じられなかっただけに、もう4人編成に戻しても大丈夫なんじゃないか?と思ってしまいました(表に出さないだけで本人は色々と苦労があるのでしょうが)

 

時折ベースをぶん回して暴れまわり、激情のシャウトをかます和彦さんのパフォーマンスも文句なしでしたが、かみじょうさんのドラムはやや低音が聴こえづらく、彼のアグレッシヴなバスドラ連打があまり味わえなかったのは心残りかな。まあ9mmはメタリックな演奏を主軸としつつ、あまり低音を重視していない音作りなのでこのくらいの音響の方が良いのかもしれない。

 

そして何より印象的だったのは卓郎さんのヴォーカルですね。もちろん一般のロックヴォーカリストとしてみればかなり弱い部類の声ではありますが、過去のライヴとは比較にならないほど安定感を増した歌唱を最後まで披露しており、「Scarlet Shoes」「夏が続くから」といった楽曲では、彼の艶やかな味わいの声が一層魅力的に響く。高音部でも下手にかすれた裏声に逃げることなく見事に歌い上げていました。

 

やはり15年もの間バンドを続け場数を踏みまくっただけにこうも成長したのだなあ......。とは言いつつ、MCは相変わらず不器用さ満載なのですが(笑) 『DEEP BLUE』というタイトルに込められた"一生青春"のテーマの解説も、手探りで何とか言葉を選びながらようやく喋れたような感じ。まあ良くも悪くも卓郎さんの個性ですね。

 

卓郎さんを除いた3人(プラスサポートメンバーの爲川裕也さん)によるインストの「Calm down」はノイジーな歪みを炸裂させた9mmお馴染みの"カオス"を存分に発揮、滝さんと和彦さんの暴れっぷりもここでピークを迎える。

 

さすがに10年ほど前のような演奏を放棄してステージを駆け回ったり踊ったりするようなことは無くなりましたが、あの狂ったパフォーマンスの残光はまだまだこういうところで認識できますね。

 

テンポを落とした楽曲でフロアをクールダウンさせたあとの佳境に差し掛かるタイミングで披露された「Mantra」では「好きなヤツの名前でも嫌いなヤツの名前でも、好きな食べ物の名前でも、好きなチーズの種類でもいいから(?)、思い思いの言葉で叫んでくれ」と呼びかけ疾走開始。『DEEP BLUE』収録曲の中で最もハードコア色の強い楽曲だけに、何かの破壊音かのような轟音が飛び交い、滝さんの叫びが木霊する。オーディエンスのみんなはいったいどんな言葉で叫んでいたのでしょう?

 

そして間髪入れず「ロング・グッドバイ」の高速タッピングをブチかまし、続けて必殺の名曲「Black Market Blues」「新しい光」で本日最高潮の盛り上がりに。ラストの大サビでオーディエンスの大合唱を生み出し、クライマックスで本日のハイライトを見事に演出しました。

 

本編ラストはアルバム通り「Carry on」。最後を締めくくるに相応しい名曲ですが、この曲の一番の聴きどころでもあるかみじょうさんの縦横無尽に暴れまわるドラミングはやはり音がゴッチャになってて聴きとりづらかったな...。劇的なリードギターに導かれるラストのサビに入る直前の超速プレイが最高にカッコいいんだがなあ。

 

しばし間を開けた後はアンコール。来年の9mm結成の日(諸説あり)に開かれるカオスの百年の宣伝をちょろっとした後、アルバム中最高峰の泣きを見せる哀愁のバラード「いつまでも」をプレイ。

 

この曲のメロディーの切なさはやはり素晴らしい。強烈に泣いた滝さんのギターソロ、"終わらない僕らの愛の歌を今歌おう"のヴォーカルなんかエモーショナル全開ですね。この感動は卓郎さんのヴォーカルの飛躍的な成長があればこそでしょう。

 

そしてラストは定番の爆走チューン「Punishment」。この曲は何といってもメンバーの好き放題やらかす暴れっぷりが最高なのですが、今回は割と普通に演奏に徹している感じで、割とおとなしめのステージでしたね(テンポこそかなり速かったですが) もうちょっとはっちゃけてほしかったのですが、まあこれはツーデイズのライヴのラストということもあるので、ある程度は仕方ないでしょう。

 

アンコール含めて90分強というやや短めのアクトで終演時間は20時前、アンコール終了後は「え、もう終わり?」と思ってしまうほどでしが、定番曲から「Scarlet Shoes」「The Revenge of Surf Queen」といったレア目な曲、『DEEP BLUE』で特に気に入っているラスト三曲をすべて聴けて、満足度はかなり高かったですね。

 

メンバーのパフォーマンスもかつてのようなやりたい放題加減は鳴りを潜め(それが良いか悪いかはいったん置いといて)、ロックバンドらしい堂々としたものに変わっており、J-ROCKシーンの代表格としての風格すら感じさせる姿になっていました。