ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

12/7 陰陽座 / 陰陽座結成20周年記念全国公演行脚 『生きることとみつけたり【参】』 at Zepp Tokyo

先週9mmのツアーファイナルを観に行ったばかりのZepp Tokyoへもう一度。今年で結成20周年を迎えた陰陽座の雷舞を観るため再びお台場に足を運ぶこととなりました。

 

9mmの時は午前中にトレーニングジムで走り込みと筋トレをやったがために、翌日目を覚ましたら13時を回ってしまった反省を活かし、今日はトレーニングは明日にお預け、昼メシ食って新木場のコメダ珈琲で休憩入れた後は(いつも行くところよりミニシロノワールが小さかったような...)お台場へ直行。ヴィーナスフォートをグルッと回ったり、ダイバーシティ洋服屋を物色したりして時間を潰し、開場を30分ほど過ぎた段階でZepp Tokyoへ。

 

今回はチケットを購入したのが公演直前だったため整理番号はかなり後ろの方。外のコインロッカーにコートとバッグを入れて(新木場コーストとかもですけど、何でライヴハウスのロッカーってあんな不親切なまでに通路が狭いんでしょうね)自分の番号が呼ばれたあとはワンドリンクのペットボトルをもらいすぐさまフロアへ。ステージからの距離は9mmのときとほぼ同じでしたが、今回は上手側での待機となりました。

 

ソールドアウトはしなかったようですが、前方は入り込めないほどの盛況ぶりで、7~8割は確実に入っているようには見受けられました。BABYMETALを別格とすると、日本のメタルアクトとしてはGALNERYUSと並ぶほど商業的成果を出しているバンドだけに当然の結果でしょう(とはいえ彼らほどの実力およびバシリスクタイムの知名度なら、土曜のZeppを埋めるくらいの集客があって良い気もしますけど)

 

勇壮なSE「焔之鳥」が鳴り響き歓声が沸くと、ほとんどオーディエンスを焦らすようなこともせぬまますぐにメンバーが入ってくる。当然そのまま「鳳翼天翔」へと流れ込む。オープニングとしてはこの上ない流れですね。

 

こないだ観たPURE ROCK JAPANでは若干音響面で割を食っていたように感じましたが、この日の音のバランスはかなり良く、ヴォーカル・ギター・ベース・ドラムそれぞれがしっかりと聴きとれ(キーボードはあまり意識的に聴きとることはできなかったけど)、招鬼さんと狩姦さんの見事なツインリードソロを堪能できました。

 

一昨年に観たTOKYO DOME CITY HALLの雷舞も素晴らしく音のバランスが良かったことを記憶していますが、彼らのPAスタッフが一流揃いなのか、それともメンバーの使っている機材が良いのか。まあどっちにしろ良い演奏を良い音で聴けるのだから雷舞の印象も必然的に良くなるもの。

 

そして毎度のことながら黒猫さんのヴォーカルの凄まじさ!今までツアーで全国を回ってきているにも関わらず一切ブレない歌唱力の高さと声の鋭さ。ホントに「喉からCD音源」レベルで、この人が調子を崩したときは今まであったのか疑問に思うレベルです。

 

瞬火さんがヴォーカルをとっているときは優美な振り付けや、妖怪に取りつかれたかのような怪しげなアクションでステージに華を添え、翻ってMCでは無邪気さ全開なところがまた魅力的。

 

このバンドは瞬火さんと黒猫さんのお二人がメインでしゃべり、振られればギタリスト二人もそれに応える形でMCを行うのですが、これがまた構築された楽曲とは反比例するかのようなユルさ瞬火さん招鬼さんはさすがのトーク力で茶目っ気たっぷりに話し、黒猫さんは歌のおねえさんか幼稚園の先生かと言うくらいほんわか。そして狩姦さんは「今年はタピオカが流行ったけど、自分は今ナタデココがブームになっていて、タピオカがブームになるのはこれが三度目だからいずれナタデココもまた来るんじゃないか」と、一切関係ないことをまとまらないまま話しかけて会場を笑わせにかかる。

 

印象的だったのは黒猫さんが「大阪から東京に来て初めて六本木というところに行ったときは、バブリーな男女が歩いているイメージで、そんなところに行って自分は生きて帰れるのかと思った」と語ったところ。僕も学生時代は札幌に住んでいたので東京はすごく危ないところなんじゃないかと思っていましたからね。

 

特に新宿歌舞伎町なんかGetBackersに出てくる無限城城下町みたいなトコなんじゃねえかと勝手に想像していました(笑) いや~無限城編での蛮の蛇咬はカッコよかった......ってそんなことはどうでもいいか。

 

今回は20周年記念のツアーということでここ最近のアルバムからはあまり選曲されず、過去作からふんだんにプレイされていた印象。つい先日全アルバムと全シングルをまとめたBOXセットが発売されたのも含め、今までの自分たちの活動の総括的な意味合いもあったのだろうと思われます。

 

僕は彼らの雷舞を観るのは三回目で、どの曲が定番でどの曲がレアなのかはいまいちわからないのですが(せいぜい「甲賀忍法帖」や「鬼斬忍法帖」が定番なのだろうという認識くらい)、アップテンポでギターが攻撃的なリフを刻む正統派メタルナンバーを主軸に、10分を超える大作「道明寺蛇ノ獄」、瞬火さんが自身の葬式をイメージして作り上げた「挽歌」などを交えた流れは、頭を振りつつ彼らの独特な世界観に酔うこともできる良質なものであったかと思います。

 

本編のラストスパート、「蒼き独眼」「黒衣の天女」というシングル曲で畳みかけた後、非常にキャッチーかつ神秘的なサビが素晴らしい「晴天の三日月」、そして僕が陰陽座の楽曲の中でもトップクラスに好きな劇的な疾走曲「而して動くこと雷霆の如し」の流れで興奮は最高潮に。「而して~」はイントロの突進力あるドラム、瞬火さんによる艶やかさと力強さを兼ねたヴォーカル、ドラマチック極まりないサビとそこから続く速弾きギターソロに至るまで、一切の隙がない名曲。この曲が生で味わえただけでこの日来た甲斐がありました。

 

ラストはオーディエンスが扇子を高々と掲げての「生きることとみつけたり」。僕は扇子は持っていなかったので普通に観るだけでしたが、眼前を色鮮やかな扇子が埋め尽くす様はなかなか壮観でした。まあその分ステージは全然見えませんでしたけどね(笑)

 

そして陰陽座といえばアンコールを何回かに分けてやるのが通例なので、もちろんここで終わるなんてことはありません。本日のアンコールは三回で、最初は極楽地獄となる疾走曲の連打。そこいらのスラッシュメタルバンドにも匹敵するかのような剛直なアグレッション渦巻く楽曲ばかりで、ここで振らなきゃいつ振るんだと言わんばかりに猛烈なヘッドバンギングの嵐で迎え撃つ。

 

残り二回のアンコールは「悪路王」と「蛟龍の巫女」の二曲。最後に披露された「蛟龍の巫女」は黒猫さんが「一緒に歌ってください!」と呼びかけていたのですが、基本的に彼らの楽曲って素人がおいそれと歌えるようなものではないと思うんですが、ちゃんと歌えた人いたんでしょうか...

 

アンコール含め2時間半超の濃密な雷舞、彼らならではの良質なメロディックメタルを、妖怪じみた安定感を持つヴォーカルと演奏にて存分に堪能することができましたね。音響面も含め今年観たライヴとしての客観的なクオリティーは随一だったと言えるかもしれません。

 

今回は彼らの東京公演としては珍しく千秋楽ではないノーマルな公演でありツアーはまだまだ続くようです。彼らの楽曲に惹かれるものを感じる人ならまず行って損はしない演奏・セットリストになるはずなので、今後の公演に足を運びぜひ魂を燃やしていってほしいなと思います。