ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

12/11 KISS / END OF THE ROAD WORLD TOUR at 東京ドーム

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正直に言ってしまうと、KISSは僕にとってほとんど縁のない存在です。

 

哀愁があってキャッチーなメロディーを持つメロディックなメタルが好きな僕としては、KISSの乾いた質感のあるアメリカンロックは興味の範疇とは言い難く、特にオリジナルアルバムをしっかりと聴きこんだり、特定の楽曲に思い入れがあったりとかいったことは全くと言って良いほどありません。そもそも世代があまりにも違いすぎますしね(それはJudas PriestやIRON MAIDENも同じだけど)

 

よって"これが最後!最後のワールドツアー!"と銘打たれても当初はライヴに足を運ぼうなどという気も起きていませんでした。地獄のロックよりも毒蛇のロックの方が好きだからなあ...って感じで(笑)

 

しかしKISSといえばライヴバンドとしての評価が高いことで何よりも有名。彼らのド派手なライヴパフォーマンスに刺激されてバンドを始めた人たちも世界にごまんといるらしいし、X JAPANYOSHIKIさん、GYZEのRyojiさんなど、日本の優れたミュージシャンが好んでいることも公言しています。

 

そんなロック界のリヴィングレジェンドが最後の来日を行うというのに、仮にもロックのファンをやっている身の者が無視してしまってよいものか?という考えが頭をよぎる。

 

さらにその気持ちに拍車をかけるようにこの日の仕事はいつにもましてだいぶ早くに片付いてしまい、定時過ぎればさっさと帰れるような状況に。これはきっとロックの神様が「ホレ、何をやっとるんじゃ?KISSが来日するんじゃから、さっさと東京ドームまで行きんしゃい!」と僕に語り掛けているのだと恐ろしいほど勝手に解釈しました。

 

そんなわけで行ってきました。KISSの最後のワールドツアー「END OF THE ROAD WORLD TOUR」の東京ドーム公演。一年前のBON JOVIのライヴ感想では「この機会を逃せば音楽ライヴで東京ドームに行くなんてことはもういくつあるかわからない」なんてことを書きましたが、一年経ってまたすぐ来ることになるとは。

 

東京ドーム前の広場、およびグッズ売り場はかなりの人だかり。今の日本において洋楽ロックバンドでここまで集客力があるバンドは今いくつあるんだろう...?

 

とはいえかつては東京ドーム3デイズとかやってた彼らが、「ラストツアー」という冠を引っさげても一日の公演がソールドしないという事実に、今の日本の洋楽ロック人気の低迷を改めて実感させられるんですけどね...

 

当日券を買って中に入ると、僕の席である二階席5列目のすぐ隣にメチャクチャに肥えたオッサンが座っており「ウゲーー...」とゲンナリ。電車の席とかもそうですが、なんで僕が座った時、隣はデブか体臭のキツイオッサンばっかりなんだよ...(泣)

 

ただ幸いなことに僕の右隣は数席分誰も座らずかなり広いスペースが出来上がる。立ち上がればかなり快適に観ることができ、これは運が良かったですね。太ったオヤジと2時間以上密着するという悲劇には至らなかった。

 

客層はやっぱり年配の人ばかりなのかな...と思っていましたが(実際おじいちゃん寸前の人も多かったようですが)、なかなか若い世代の人も多数見受けられ、僕のすぐ前の席の青年なんか"04 Limited sazabysのトレーナーを着て、スマホの待ち受けはPay money To my Pain"という、およそKISSとは結び付かない人でした。きっと隣のお母さんに連れてこられたのだろうなあ...(笑) ただライヴの最中退屈そうにするでもなく、しっかり最後まで楽しんでいたようなので良きことです。

 

二階席こそかなり空席は目立つものの、アリーナと一階席は観た感じほぼほぼ満員くらいか。平日の東京ドームでここまで埋められるのは結構すごいんじゃないでしょうか。やっぱり最後ということで全国のKISSARMYは気合が入っていたのでしょう。

 

しかもよく目を凝らして見てみると、ステージのすぐ下(海外の野外フェスとかでカメラマンや記者らがいるような位置)にまでお客さんがいるようで、あそこの場所をゲットした人は果たしていくら払ったんだろう...?疑問に思ってオフィシャルサイトを見てみると、VIPチケットは40万円もするのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

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ヨンジュウマンエン?????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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よし。考えるのを止めよう。

 

開演時間ちょうど位に暗転してKISSARMYの歓声が東京ドーム中に響き渡る...のですが、僕の周りの人たちは立ち上がろうとせず大人観の様子。何か僕よりライヴへの熱が冷めてる人がいるんじゃないか...?

 

ステージの暗幕が下り、ポール、ジーン、トミーのフロント三人が円盤上の台座に乗った状態で上から降りてくる。そしてバカでかい音量のパイロ(消防法やら何やらで大きな炎は上げられないのか、その分音はやたらデカい)と共に「Detroit Rock City」でスタート。

 

やはり音だけ聴いてみればシンプルかつ叙情性のないアメリカンなハードロックで、僕の琴線に触れるとは言い難いのが本音。とはいえ、無数の手が上がるアリーナを上から眺め、会場中の空気を味わいながらギラギラド派手に煌めくステージを観るのは、ハコライヴでは成し得ない独特の快感があるのも事実。そしてそんな会場の空気に彼らの楽曲はバッチリハマっている。

 

還暦をとっくにすぎ、世間的にはおじいちゃん扱いされておかしくないポールとジーンですが、びっくりするほど声が出ていてステージ上のパフォーマンスも堂々としつつ、動けるところでは端から端まで動いてオーディエンスにアピール。メイクとコスチュームによるところが大きいとはいえ、ジーサン感が皆無な現役ロックスター的立ち振る舞いは驚異的。

 

時折日本語を交えつつ感謝の言葉を述べるMCの後、お約束ともいえるような左右に分けてのコール&レスポンス、ぐんぐんせり上がるドラムセットに、ジーンによる火吹きパフォーマンスなど、高いエンタメ性を遺憾なく発揮したステージングを披露。逐一会場中から大きな歓声が巻き起こり、KISSARMYの熱量がここからでも伝わってくるようでした。

 

実際にステージ端の大型モニターで時折映されるオーディエンスにはかなり気合が入ってることが見て取れ、ホンモノ顔負けのメイクを施している人はもちろん、サイリウムやらうちわやらを持っている人までおり、かつて洋楽ロックが人気を集めていた時代のバンドはこういうアイドル的な応援をされていたのだなあ...と洋楽人気が衰え切ってから音楽ファンになった者としては非常に新鮮な気持ちになりました。

 

そんな僕は二階席からジックリ見下ろすのみにとどめていましたが、一番目につきやすいのはやはりジーン・シモンズ。スモークが大量に焚かれたステージ中央での火吹き、そして血糊を吐き散らし、コスチュームを真っ赤に汚したまま円盤状のステージに立って吊り上げられながら歌う。高所恐怖症なら一発アウトの高さでした。頻繁に行う舌出しは若干気持ち悪いのですが(笑)

 

そして個人的に一番カッコいいロック・パフォーマンスを披露していたなと思ったのが、最年少のギタリストであるトミー・セイヤーでした。純白のレスポールを掲げながらギターソロを弾きまくる姿はメンバー中最もスタンダードなスタイル。王道だからこそのカッコよさを演出している感じで、ハードロックのギタリストたる姿を見せつけるかのよう。

 

ライヴも終盤に差し掛かった段階で、ポールから「とても美しい曲だ。みんなも知ってると思うよ」と語ったあと、ややおぼつかないながらも日本語で坂本九さんの「上を向いて歩こう」をクリーントーンのギターに乗せて歌い出す。二番になるとサビをオーディエンスが合唱。改めて聴いてみると確かにこの曲のメロディーはキレイですね...

 

その後の「Love Gun」ではポールがターザンロープの要領でオーディエンスの上をすべるように移動し、アリーナ中央に鎮座していたミラーボールの真下にある足場へと到着。アリーナ中の視線を中央に集めながらサビを大合唱し、そのまま「I Was Made For Lovin' You」へと繋ぐ。サビメロで本日一番の声が上がり、ミラーボールがギラギラと煌めいて東京ドームの丸い屋根に無数の光の粒をバラまく光景は圧巻でした。

 

ここが本日最大の山場になった感があり、この後はもう何をやっても蛇足になっちゃうんじゃないか...?という考えが頭をよぎりました...が、アンコールでポールの呼びかけにより、X JAPANYOSHIKIさんが上手側から登場。「日本のロックスターを呼ぶ」という口上からひょっとしてYOSHIKI来るか?と多くの人は勘づいたとは思いますが、やはり一時代を築いた人、いざ登場するや大きな歓声が巻き起こる。

 

そしてYOSHIKIさんのピアノに合わせての「Beth」(この曲のメロディーが一番好きかも)、さらにラストは彼自身がドラムを叩き(本来のドラムのエリックはすぐ後ろに立ってた)、大量の紙吹雪とKISSのロゴが描かれた白黒のバルーンが舞うなかでの「Rock And Roll All Nite」。個人的にはどうしても"「ゆき」もちゃうねん 「ゆうき」ちゃうねん"のイメージが強い曲ですが(笑)、大団円に相応しい幕切れになったと思います。

 

2時間半以上に及ぶKISS最後の東京ドーム公演、正直最初はアメリカンなロックンロールを二時間以上聴くのは退屈なんじゃないかな...という心配もあったのですが、いざ体感してみるとその何よりもエンタメ性を重視したステージは予想以上に楽しめました。ラストだからといって変に湿っぽい雰囲気に陥らず、ピースフルな空間であり続けたことも良かったと思います。座席があることを言い事に、途中ちょっと座って休憩した瞬間もあったんですけどね。

 

まあこのライヴを機にこれから僕がKISSARMYになるかと言われれば多分ならないんでしょうけど(笑)、最後の最後にザ・ロックンロールショウを観ることができて良かったなと。素直にそう思えます。